楽天モバイルは2月16日、米AST SpaceMobile(以下AST)と共に衛星と携帯電話の直接通信によるモバイル・ブロードバンド通信サービスを日本国内で2026年内に提供を目指す計画を発表した。2024年第2四半期にはASTのBlue Bird衛星5機が打上げられる予定で、日本国内では2026年に通信サービス提供を目指すとしている。
ASTは既存の携帯電話から直接アクセスできる衛星通信サービスを展開するベンチャー企業。2022年11月に試験衛星BlueWalker 3を打上げ、2023年4月にテキサス州ミッドランドのAST本社からの試験接続に成功した。
楽天モバイルの発表によれば、2024年1月15日に日本国内とハワイを結ぶ形で音声通話の試験に成功したという。2023年9月の試験では下り14Mbpsのブロードバンド通信にも成功している。
通信衛星と既存の携帯電話との直接通信は地上/衛星共用携帯電話システム(STICS)またはSupplemental Coverage from Space(SCS)とも呼ばれる。米連邦通信委員会(FCC)の用いる「SCS」という名称からも、衛星と携帯電話の直接通信は全ての接続を衛星通信に置き換えるものではなく、地上の基地局との通信が難しい場所で補完的に接続を提供するものであることがうかがえる。楽天モバイルでは、SpaceMobileとの連携により、地上の携帯電話網では70%程度となっている面積カバー率を100%まで向上。災害時や山間部・離島等を含む、日本全域をカバーする通信サービスを目標とする。
SpaceMobileを構成する衛星は、現在は試験機のみだが2024年第2四半期には本格的なBlueBird衛星網の構築が始まる。5機のBlueBird衛星(BlueBird Block 1)はSpaceXのFalcon 9で打上げられる予定だが、コスト面の制約から当初の計画よりも衛星を小型化し、約1,500kgの試験機BlueWalker 3と同程度となるという。
以後は、アンテナ面積が約450m2のBlueWalkerをさらに大型化したフルサイズのアンテナを持つBlueBird Block 2衛星20機の打上げに進む計画だ。FCC資料によれば、将来的には243機の衛星を地球低軌道(LEO)に展開する構想となっている。
楽天モバイルとASTは日本国内での通信サービス提供の目標に向けて、国内でも早期の実証を始める。福島県にBlueWalker 3衛星の運用を行なうためのゲートウェイ局を設置し、北海道の2カ所でスマートフォンとの通話を行なう計画だという。ゲートウェイ局と衛星間の回線(フィーダリンク)にはQ/V帯を、衛星とスマートフォン間の回線(サービスリンク)にはBand-8を利用する。
SCSの実現は、携帯電話のサービス未提供地域やサービス未整備地域にカバレッジを拡大することができるようになる反面、これまでの衛星通信を超える超大型アンテナの軌道上での安全な運用や電波天文学との干渉などの課題がある。ASTの衛星運用は試験的なライセンスの下で進められており、実証の積み重ねによって周波数管理の課題を克服していく必要がある。
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