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Thursday, February 16, 2023

ブルーゾーン 世界の100歳人に学ぶ健康と長寿9つのルール - 朝日新聞デジタル

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 世界の長寿地域「ブルーゾーン」とは、イタリア・サルデーニャ島、 日本・沖縄、アメリカ・カリフォルニア州のロマリンダ、コスタリカ・ニコジャ半島、ギリシャ・イカリア島の5カ所を指します。『The Blue Zones(ブルーゾーン)2nd Edition(セカンドエディション)』の著者は、各地のブルーゾーンから得た「世界の100歳人に学ぶ健康と長寿9つのルール」を本の中にまとめています。本から抜粋、編集して紹介します。

連載〈上〉100歳人が多く暮らす世界の長寿地域「ブルーゾーン」はどこ?

THE BLUE ZONES 2ND EDITION

The Blue Zones 2nd Edition
世界の100歳人に学ぶ健康と長寿9つのルール

ダン・ビュイトナー(著)荒川雅志(訳・監修)仙名紀(訳)
出版社:祥伝社

〝The Blue Zones, Second Edition: 9 Lessons for Living Longer From the People Who’ve Lived the Longest〟(2012年)の邦訳。「ナショナル・ジオグラフィック」誌とチームを組んだ著者のダン・ビュイトナー氏は、世界の長寿研究者たちを巻き込み、ブルーゾーンの徹底研究をスタートさせました。ブルーゾーンを訪ね、滞在し、そこに暮らす百歳人にインタビューをし、長寿の理由を探求したルポルタージュです。

この本を3名様にプレゼントします(2月27日締め切り)。申し込みは記事の最後へ。

地図ブルーゾーン


世界の百歳人(センテナリアン) に学ぶ健康と長寿の9つのルール

 これはつまり、さまざまな長寿文化から最善と思われる方法を引き出して磨き込んだものだ。ご自分の好みによって、取り組む順番はどう変えても構わない。

[ルール1] 適度な運動を続ける

 長寿をまっとうしている人たちは、マラソンをしたりトライアスロンで競ったりなどはしていない。その代わり、日常生活のなかに、あまり激しくない運動が組み込まれている。サルデーニャのブルーゾーンに住む男性の百歳人は、人生の大半を羊飼いとして過ごし、歩く距離は毎日、数キロに及んでいた。沖縄の人たちは、自分たちの食卓に乗せる野菜を育てるために、毎日、数時間は畑仕事をする。アドベンティストたちは、自然のなかを歩く。

 日常生活のなかで体を動かすことの少ない多くの現代人は、意図的に毎日運動をする必要がある。毎日、どんな運動に取り組むかは医者と相談して決めるべきだが、有酸素運動とバランス運動、それに筋力トレーニングをミックスしたものが望ましい。目標は、少なくとも30分間(理想的には60分間)の運動を週5回することを習慣とすることだ。

 日常生活のなかに、適度な運動を組み込むためには、以下のような方法がおすすめだ。 

◉身の回りを不便にする
 生活をいくらか不便にすることによって、日々の運動量を簡単に増やすことができる。
◉毎日を活動的に楽しむ
 楽しんで体を使えることをリストアップしてみよう。〝運動のための運動〟をするよりも、ライフスタイルを活動的にするほうがいい。たとえば、以下のようなことだ。
 ・車を使う代わりに、自転車に乗る
 ・買いものには、歩いて行く
 ・職場で、コーヒー・ブレークの代わりに散歩をする
◉毎日歩く
◉仲間と一緒に散歩する
◉草花を植える
◉ヨガのクラスに出席する

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[ルール2] 腹八分で摂取カロリーを抑える

 著者の沖縄の調査に同行したクレイグ・ウィルコックス博士は、「腹八分」の習慣は、苦痛を伴わないカロリー制限だと考えている。動物実験でも、カロリー制限によって寿命は延び、人の心臓の健康増進にもつながることが判明した。

 どうすれば達成できるのか。

 長期的に正しい食べ方を続けるための秘訣(ひけつ)は、世界で最も長生きした人たちの環境と習慣を見習うことだ。満腹になるまで食べるのではなくて、沖縄流にこれでお腹が足りたと感じた時点で食事を終えることだ。ブルーゾーンの大事な原則〝80パーセントルール〟を守るためのコツをまとめておこう。

◉取り分けたら料理は片づける
 キッチンでお皿に料理を取り分けたら、食卓に着く前に料理は片づけてしまおう。こうすると、少しずつ2回も3回もおかわりする場合より、14パーセントほど食べる量が減ることが実証されている。腹八分目にちょうどいい量を取り分けることを学んでいこう。
◉食事を大きく見せる工夫をする
 100グラムのハンバーガーに、レタスやトマト、玉ねぎをスライスしたものを加えてボリューム感を出せば、200グラムのハンバーガーを食べたのと同じ満腹感を得られる。また、カロリーは同じでも、倍の量にホイップしたスムージーを飲んだ学生は、30分後の昼食が少なめになり、それでも満腹感が得られた、と報告する研究もある。
◉小さめの器を使う
◉おやつは見えないところに
◉買いものでは小さいほうを選ぶ
◉毎日、体重計に乗る
◉ゆっくりと食べる
◉食事に専念する
 少なめの量を時間をかけて食べ、十分に味わうことが重要だ。
◉食事はテーブルで
◉食事は早い時間帯に
 ブルーゾーン地域の人たちはみな、午後遅くか夕方早くに一日で最も軽い食事を取る。

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  [ルール3] 植物性食品を食べる

 長寿者に適した食事には、豆類、全粒の穀類、家庭菜園の野菜が欠かせない。サルデーニャの羊飼いたちは、セモリナ小麦で焼いた平たいパンを牧場へ持っていく。ニコジャの人たちは、食事に必ずトウモロコシを原料にしたトルティージャを食べる。そして、アドベンティストたちは食事ごとに全粒の穀類を欠かさない。ブルーゾーンの食事では、豆類も重要な役目を果たしている。

 ナッツ類は、すべての「長寿食」のうちで最も印象的だった。最近行なわれたセブンスデー・アドベンティストの大規模調査によって、ナッツを週5回以上食べていた人たちが心臓疾患にかかる割合は、ナッツをほとんど食べていない人たちの半分、という事実が判明した。

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  [ルール4] 適度に赤ワインを飲む

 健康のためにワインを飲むなら、1日に赤ワインをグラスに1杯か2杯で十分だ。飲み過ぎればせっかくの健康を台なしにしてしまう。節度をもって飲むことだ。

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[ルール5] はっきりした目的意識を持つ

 沖縄の人たちは、それを「生き甲斐」と呼び、ニコジャの人たちは「人生の目標(プラン・デ・ビーダ)」と呼んでいるが、どちらの文化でもそのことばの本質は「朝、目覚める理由」と置き換えられる。生き甲斐を持つ沖縄の老人は行動的で、それがアルツハイマー病や関節炎、脳卒中などを減らすことに貢献している。

 自分の目的をはっきりさせ、生き甲斐を感じるためには、次のような方法が有効だ。時間をかけて大きな未来図を描こう。

自分の目標宣言を書く
 まずは、自分の目標をきちんと宣言することだ。次の問いに、記憶できるような簡潔な章で答えることから始めよう。
 ・毎朝、なぜ目覚めるのだろうか?
 ・自分は何に夢中になれるだろう?
 ・自分の能力が発揮できることを楽しんでいるだろうか?
 ・自分にとって本当に大事なことは何だろう?
パートナーを見つける
 自らの人生の目標を見つけ、それを実現する計画を話せる相手を探そう。自分の計画とその成功を率直に評価し、はげましてくれる人であれば、友だちでも家族でも、配偶者や同僚でもいい。
新しいことを学ぶ
 楽器の演奏でもいいし、新しい外国語でもいい。どちらも、頭脳の鋭敏さを保つために役立つ、きわめて効果的な方法だ。

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[ルール6] 人生をスローダウンする

 サルデーニャの人たちは、午前5時には道路にあふれ出てくる。ニコジャの人たちは、毎日、午後には休憩時間を取って、友人たちと交流する。

 100歳まで生きてきた人たちからは、このうえない安らぎの気持ちがにじみ出ているものだ。齢(よわい) を重ねたことによって、彼らの体が自然にスローダウンしてきていることもあるが、ふらついていたら、人生のなかで最も貴重な瞬間がいくつも通りすぎてしまうことを、彼らは十分にわきまえている。

 サルデーニャのアルザナ村で、ある曇った日の午後、107歳の女性に、107歳まで生きてきて、若い人たちに言いたいことはあるか、と尋ねると、彼女は著者を見上げ、目をきらきらと輝かせて、「もちろん」と、即座に答えた。

 「人生は短いものよ。あんまり急ぐと見逃してしまうわよ

 落ち着いて、ゆったりできる時間を生み出すために、次のような方法に取り組んでみてほしい。

◉電子機器を使う時間を減らす
◉目的地には早めに着くようにする
◉瞑想する
 家のなかに、暑すぎず寒すぎず、暗すぎず明るすぎない静かなスペースを作ること。そのスペースには、瞑想のための座布団か椅子を用意する。
 瞑想のためのスケジュールを組み、毎日、瞑想するよう心がける(ただし、それができなくても、いらいらしないこと)。まずは10分間から始め、1日に30分までが望ましい。ときには、仲間と一緒に瞑想してみるのもいい。

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[ルール7]信仰心を持つ

 どの国でも、健康な百歳人は信仰心を持っていた。崇拝するという素朴な行為は、健康な年月を長引かせてくれる大きな力を持つ習慣だ。宗派は関係ない。

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[ルール8]家族を最優先にする

 私たちがブルーゾーンで出会った幸せな百歳人たちは、家族を最も大事にしていた。彼らは結婚し、子どもをもうけ、それを核に生活を築いていた。彼らの生活は、家族への義務や家族の儀式を優先し、家族がともにいることを強く求めるなど、家族を軸にした生活だった。

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[ルール9] 人とつながる

 おそらく、これがライフスタイルを改善するうえで、最も強力なポイントだ。ブルーゾーンの住人にとっては、当然のことなのだが。

 ブルーゾーンでは、社会的つながりが根づいている。沖縄の人たちには模合があり、これは生涯を通じてお互いに寄り添う人たちのグループだ。サルデーニャの人たちは、地元のバーで友だちと語り合って一日を終える。毎年行なうブドウの収穫や村祭りには、コミュニティ全体がこぞって参加する。

 ハーバード大学のリーザ・バークマン教授は、社会的つながりと長寿に関する調査を続けている。9年あまりかけて分析した結果、社会的つながりの多い人ほど長命であることが分かった。

 価値観を共有できる人とつながるために、次のような取り組みをしてみよう。

◉価値観を共有できる人をリストアップする
 正しい生活習慣を促進してくれる人、ブルーゾーンの秘訣を理解している人、あるいは、それに沿って生活している人を探そう。
 自分の住所録や、友だちの連絡リストを調べてみるといい。だれが健康的な習慣をサポートし、意欲をかき立ててくれるだろうか。そして、だれが必要なときに心から頼りにできるだろうか。そして、彼らの名前の横に「BZ」(ブルーゾーンの頭文字)と大きく書いておこう。
◉人に好かれるようにする
 インタビューした百歳人たちには、愚痴をこぼすような人は一人もいなかった。好かれる老人は社会とのつながりがあり、訪れる人も多く、世話人役でもある。彼らはあまりストレスを感じず、しっかりした目的を持った人生を送っている。
◉仲間と一緒の時間を作る
 少なくとも1日に30分は、自分の仲間と過ごすことが望ましい。定期的に一緒に食事すれば、さらにいい。強い絆を築くのは努力が必要だが、やがてたっぷり見返りがくる投資だといえる。毎日、出歩くことにしよう。

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★成功するためのアドバイス

 ミネソタ大学のレスリー・ライトル博士は、私たちが推奨する習慣は、いったん機能し始めれば割と簡単に身に付くと言う。成功するためには次のようにするのが賢明だ、と彼女はアドバイスしている。 

取り組みやすいことから始める
 9つのルールのどれもが健康と長寿に役立つものだから、取り組みやすいものから始めればよい。過去に経験があって、うまくできたものから取り組むといいだろう。かつてできたことなら、集中することはやさしいはずだ。

同時に4つ以上は取り組まない
 9つすべてを同時にやろうとしたら、ほぼ間違いなく失敗する。最も成功しそうな3つから始めるのが賢明だ。成功の兆しが見えてから、徐々に増やせばよい。

家族または友人といっしょに取り組む
 習慣が定着する12週間をゴールに、それぞれが責任を持っていっしょに取り組めば、成功する確率はぐんと高まる。

自分へのご褒美を忘れない

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★この本を3名様にプレゼントします(応募締め切り2月27日)

<関連記事>

  • ダン・ビュイトナー

    研究者、探検家、作家

    1960年、米国ミネソタ州生まれ。セントトーマス大学卒業後、ワシントンのラジオ局勤務。世界6大陸を自転車で横断し、3つのギネス世界記録を達成する。その後も、健康・長寿・幸福を実現する手法を探し求め世界を旅している。ライフ誌、ナショナル・ジオグラフィック誌などに記事を執筆。ナショナル・ジオグラフィック誌の特集「長寿の極意」では同最高売り上げを記録するとともに、「ナショナル・マガジン・アワード」のファイナリストに選定される。CNNなどテレビ番組にも多数出演。ドキュメンタリー・プロデューサーとしてエミー賞を受賞。

  • 荒川雅志
  • 荒川 雅志(あらかわ・まさし)

    琉球大学国際地域創造学部ウェルネス研究分野教授

    1972年、福島県生まれ。学習院大学卒業、福岡大学大学院医学研究科社会医学系疫学専修修了。医学博士。1999年に沖縄に移住、長寿者のライフスタイル、沖縄健康長寿素材、海洋療法の研究を行う一方、地域資源を生かしたニューツーリズム、ウェルネスツーリズムのモデルを産学官連携で多数開発。旅の起源、健康と観光とを結ぶ「ヘルスツーリズム論」を日本で初めて開講。ウェルネス研究、ウェルネスツーリズム研究の第一人者。長寿やウェルネスに関する寄稿や国際講演多数。パワーリフティングの全日本学生選手権で優勝の経歴も持つ。

  • 仙名 紀(せんな・おさむ)

    翻訳家

    1936年―2021年。東京生まれ。上智大学新聞学科卒。朝日新聞社で雑誌編集などにたずさわる。訳書に「マネーの進化史」「憎悪の世紀」(いずれも早川書房)など多数。

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