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Tuesday, June 21, 2022

拡大を続ける“アラフォー・ミドル”スマホ - Impress Watch

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いま“アラフォー・ミドル”が熱い

シャオミのRedmi Note 11 Pro 5G。価格は44,800円で、カメラ、ディスプレイ、バッテリーの3つが売りだ

今、スマホ市場で“アラフォー・ミドル”が、にわかに注目を集めている。筆者もギリでアラフォーでミドル世代だが、これはスマホの話。4万円前後で購入できるミドルレンジモデルのバリエーションが、以前にも増して豊富になりつつあるということだ。

この価格帯では、元々、シャープの「AQUOS senseシリーズ」やOPPOの「Reno Aシリーズ」が販売を伸ばしていたが、シャオミやモトローラといったメーカーも、相次いでオープンマーケットに新モデルを投入。こうした端末を採用するキャリアも増えている。

ここ1、2カ月で発売されたモデルで代表的なのは、シャオミの「Redmi Note 11 Pro 5G」やモトローラの「moto g52j 5G」、OPPOの「Reno7 A」だろう。シャオミとOPPOは、価格も同じ44,800円。モトローラは一段安い39,800円だが、いずれのモデルも4万前後でミドルレンジという基準を満たしている。auやUQ mobile、J:COM MOBILEで販売しているシャープの「AQUOS sense6s」も価格は40,470円で、このグループに入る端末だ。

OPPOのReno7 Aも、44,800円。機能だけでなく、デザインなども日本のユーザーの嗜好に合わせた
モトローラのオープンマーケットモデルとして初めておサイフケータイに対応したmoto g52j 5G
オープンマーケットでは販売されていないが、AQUOS sense6sも4万円前後のミドルレンジモデル。機能面では、これら海外勢の3モデルに近い

こうした端末が伸びている背景には、ミドルレンジモデルの性能が底上げされたことに加え、'19年10月の電気通信事業法の改正がある。同法改正により、端末の購入補助が22,000円に制限された結果、ミドルレンジモデルの売れ行きが拡大。シャープのAQUOS senseシリーズは1世代で300万台規模を出荷しているほか、OPPOのReno Aシリーズも過去3機種の出荷台数が合計で130万台を超えたという。

OPPOのReno Aシリーズは、昨年までに発売した3機種合計で130万台の出荷台数を誇る

ここで挙げたようなモデルは、一括でも買いやすいとあって、オープンマーケットはもちろん、キャリアでの採用も増えている。

例えば、OPPOのReno7 Aは、従来からReno Aシリーズを販売していたワイモバイルや楽天モバイルに加え、auやUQ mobileでの取り扱いが始まった。シャオミのRedmi Note 11 Pro 5Gも、同社初の楽天モバイル取り扱いモデルだ。AQUOS sense6sは現状、KDDIとKDDIグループの計3ブランドでの展開だが、シリーズ全体で見れば、全キャリアが販売しており、MVNOの採用も多い。

Redmi Note 11 Pro 5Gは、楽天モバイルが初めて採用したシャオミの端末

ボリュームゾーン。だからアラフォー・ミドル

アラフォー・ミドルは、いわばボリュームゾーンの製品。販売台数が多ければ、そのぶんだけ、規模の経済が働き、コストパフォーマンスを発揮しやすくなる。シャープやOPPOの成功を受け、日本のユーザーが重視する傾向があるおサイフケータイや、防水・防じんといった仕様を満たしている端末も拡大している。moto g52j 5Gは同社のオープンマーケット向け端末として初めておサイフケータイやIP68の防水・防じんに対応。シャオミのRedmi Note 11 Pro 5Gは、グローバルモデルとデザインは共通だが、おサイフケータイを搭載する。

おサイフケータイが、この価格帯では標準装備になりつつある

価格が近いだけに、おサイフケータイや防水・防じん以外でも、機能面での共通項は多い。1つ目がチップセットだ。4機種ともクアルコムの「Snapdragon 695 5G」を採用しており、普段使いには十分な性能を発揮する。ディスプレイはmoto g52j 5Gのみ液晶でほかは有機ELだが、90Hzなり、120Hzなりの高リフレッシュレートに対応する機種が多い。カメラはトリプルカメラが標準で、メインカメラのみ、ピクセルを統合して感度を上げるピクセルビニングを利用できる。

ここで挙げた4機種は、いずれもSnapdragon 695 5Gを搭載。価格が近いだけに、共通項は多い

ただし、機能を全部載せにしたうえで独自の特徴を盛り込みやすいハイエンドモデルとは異なり、コストに制約のあるアラフォー・ミドルは足し算と引き算をうまく使い分けながら、端末ごとの個性を出している。仮に五角形なり六角形なりのレーダーチャートがあったとすると、均一にグラフが大きいのがハイエンドモデル。これに対して、アラフォー・ミドルはコストをどこに割り振るかで凸凹があり、そこで差別化を図っている。

それぞれのアラフォー・ミドル

それが分かりやすいのは、カメラ、ディスプレイ、バッテリーの3つを重視しているRedmi Note 11 Pro 5Gだろう。4機種の中では同モデルのみ、メインカメラに、ハイエンドモデルにも搭載されるのと同じ、1億800万画素のセンサーを採用。ディスプレイは有機ELで、リフレッシュレートも120Hzと高い。バッテリーは5,000mAhで、67Wの急速充電に対応する。一方で、設計がグローバル版と共通のため、防水性能はIP35にとどまっているのが難点か。

Redmi Note 11 Pro 5Gは、カメラ、ディスプレイ、バッテリーの3つを重視。中でもメインカメラは1億800万画素で、ハイエンドモデルに近い性能だ

対するReno7 Aは、日本のユーザーの好みをより色濃く反映させることで差別化を図る。元々、Reno Aシリーズは日本市場に投入する専用モデルとして開発された経緯があり、Reno7 Aでは、その取り組みをデザインにも拡大。背面加工やカラーリングなどを、日本の消費者やデザイナーと一緒に決定していったという。防水仕様がIP68と高いのも、このモデルの特徴だ。逆に、メインカメラは4,800万画素で、ディスプレイのリフレッシュレートも90Hzと、他のモデルより低めだ。

「OPPO Glow」と名付けられた背面デザインは、日本のユーザーの声にこたえて採用された

moto g52j 5Gも、「j」の文字が示すように、日本専用モデルとして開発された。おサイフケータイだけでなく、要求の多かったIP68の防水に対応するなど、位置づけはOPPOのReno7 Aに近い。ディスプレイは液晶ながら、120Hzの高リフレッシュレートに対応。メインカメラは5,000万画素だ。一方で、背面が樹脂だったり、有機ELの搭載が見送られている点は、コストカットの結果と言えるかもしれない。そのぶん、価格は上記2機種より5,000円ほど安い。

moto g52j 5Gは、日本のユーザーの要望にこたえて開発された専用モデルだ

AQUOS sense6sは、昨年の秋冬モデルである「AQUOS sense6」のチップセットをSnapdragon 695 5Gに置き換えた端末。コントラスト比が1,300万:1と高く、10億色を表示できるIGZO OLEDの表示性能や省電力性能は魅力的だが、リフレッシュレートは60Hzにとどまっている。メインカメラは4,800万画素で、4機種中、唯一800万画素の望遠カメラを搭載。日本メーカーが日本市場向けに投入してきたシリーズなだけに、防水性能もIP68と高い。ただし、メモリが4GB、ストレージが64GBとほかの端末より少なめで、価格はこうしたところで抑えていることが見て取れる。

IGZO OLEDを採用し、省電力性能を高めた。写真はCPUを置き換える前のAQUOS sense6

大雑把にまとめるとどのモデルにも一長一短があるといったところだが、重視するポイントで、選択する1台が変わってくる。カメラや充電の速さで選ぶならRedmi Note 11 Pro 5Gになりそうだが、防水・防じんまでバランスを取りたければReno7 Aやmoto g52j 5Gも候補に上がってくる。メモリやストレージが少ないため、ほか3モデルよりヘビーに使えない可能性はあるが、ディスプレイの見栄えや省電力性能を取るなら、AQUOS sense6sがいい選択肢になる。

高倍率ズームや1インチセンサー、折り曲げられるディスプレイといったハイエンドモデルならではの派手な特徴はないものの、アラフォー・ミドルの端末も、限られたコストで、それなりにメーカーの“色”は出せていることが分かる。

ハイエンドモデルが軒並み10万円を超え、一部が20万円前後の価格をつける中、アラフォー・ミドルは“普通のスマホ”を求めるユーザーの現実的な選択肢になりつつあると言えそうだ。

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