新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」による感染「第6波」は収束の兆しが見えず、都内で感染した自宅療養者は8万人前後で高止まりが続く。訪問看護と健康観察を担う豊島区看護師会の村崎佳代子会長(55)に現状と課題を聞いた。
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区看護師会の看護師約10人が、区内八つの訪問看護ステーションとクリニック1か所の計9か所で、保健所から委託された自宅療養者の健康観察を行っています。
「第5波」の後半、昨年8月末からの約2か月間で区看護師会が請け負った健康観察は84件でした。その後しばらくありませんでしたが、年明けからの第6波では、今月7日までの1か月間で107件に上ります。オミクロン株の強い感染力を実感します。
健康観察は日中に行いますが、深夜に「息苦しい」といった電話を受けることもあり、症状を聞いて緊急搬送を要請するか判断します。
どんな薬を持っているかはその都度、療養者本人から聞かないとわかりません。ある時は、話しているうちに、処方されたせき止めやたん切り用の薬を服用していないことがわかり、「飲むと楽になりますよ」と伝えると、ほっとした声に変わりました。療養者は夜に電話がつながると安心するようです。
新型コロナのような本格的な感染症の健康観察は誰もが初めての経験でした。そこで、区内の医師や看護師らが健康観察を通して得た知見を記録し、区内の医療・介護従事者限定のSNSで共有しています。
ある解熱剤は服用しても熱が下がらないことがあるといった実例、療養者と同居家族の隔離方法などです。療養者の症状や体調はおのおの異なるので一筋縄ではいきませんが、医師やほかの看護師らから助言をもらえて助かっています。
感染拡大が長期化し、医療従事者は心身をすり減らしています。訪問看護では原則、患者ごとに担当看護師を決めています。たとえ患者の同居家族が感染しても、患者が感染していなければ、訪問看護を続けなければいけません。感染リスクが高いので、自分の家族にうつしてしまわないか常に不安を抱えています。
ある看護師は家族にうつさないように長らくホテル暮らしをしています。「早く家族と一緒に暮らしたいが、終わりが見えない」とつらい思いを吐露していました。長期間に及ぶ感染症との闘いでは、現場が疲弊しないよう、相談体制を整える必要もあると感じています。(聞き手・長嶋徳哉)(随時掲載)
<むらざき・かよこ> 上天草看護専門学校で看護師、聖マリア看護専門学校で保健師の資格を取得する。虎の門病院のCCU(循環器の集中治療室)などで勤務後、医療法人社団・重光会で約20年間、訪問看護に携わる。2019年7月から豊島区看護師会長。昨年3月、一般社団法人・池袋本町訪問看護ステーションを設立した。
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