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楽天モバイルが家族割引で攻勢に出てきた。2024年2月21日に提供を始めた「最強家族プログラム」を適用すると、Rakuten最強プランの料金が月100円(税込みで110円)引きとなる。同社はRakuten最強プランの紹介者や被紹介者に楽天ポイントを付与するキャンペーンも展開している。両者の組み合わせで契約回線数の拡大を図る考えだ。
楽天グループが2024年2月14日に発表した2023年12月期の連結決算(国際会計基準)は携帯電話事業が重荷となり、最終損益は3394億円の赤字だった。最終赤字は5期連続だ。同社はEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)ベースで2024年中の単月黒字化を目指しており、契約回線数は800万~1000万件、ARPU(契約当たり月間平均収入)は2500~3000円の目標を掲げる。今回の施策で目標達成へと弾みをつけたいところだが、もくろみ通りとなるだろうか。
家族プランは便利な断り文句?
筆者が疑問に思ったのは、家族割引の必要性である。楽天モバイルへの乗り換えを促すに当たって、携帯大手3社が導入している家族割引が大きな障壁となっていそうなことは理解できる。だが、楽天モバイルが家族割引を導入したからといって、家族で一斉に乗り換えようとはならないはずである。
そもそも家族割引が大きな障壁となっているかも怪しい。乗り換え意向に関する調査を過去に何度も見てきたが、乗り換えない理由の上位に家族割引が入っていることは少ない印象である。総務省の「利用者意識調査(2023年9月)」を確認したところ、乗り換えるつもりがない理由の1位は「現在利用している料金プラン内容に特に不便を感じていないから」で19.7%、2位は「手続きを行うことが面倒だから」で16.5%だった。別途、「特に理由はない」が26.8%もある。
「特に理由はない」を除く8位でようやく「(乗り換えると、)光セット割や家族割が適用されなくなってしまうから」が登場するが、4.8%にすぎない。古い話になるが、筆者は公正取引委員会が2018年5月に公表したアンケート結果を見てがくぜんとしたことがある。「通信料金や通信品質に関係なく契約中の携帯電話会社を乗り換えるつもりはない」との回答が半数近くを占めていたからだ。消費者は必ずしも経済合理性に基づいて行動するとは限らないということを痛感した。
楽天グループの三木谷浩史会長兼社長は、周りを勧誘しても携帯大手3社の家族プランに入っていることを理由に断られることが多いと決算説明会などで説明していたが、筆者は「家族プランが便利な断り文句になっているのではないか」とまで思っている。
からの記事と詳細 ( 楽天モバイルの家族割引導入は悪手、紹介キャンペーンだけで十分だったのでは? - ITpro )
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