スウェーデンから来日したベストセラー書の著者に聞きました(写真:mits/PIXTA)
運動はうつ病に効く
――精神科医のハンセンさんが運動に興味を持ったきっかけは、クリニックで診ていた患者さんだったと聞いています。
その通りです。うつ病や不安神経症の患者さんをたくさん診ていると、運動をしている人は、半年や1年経っても診療に戻ってこないことがわかりました。それをきっかけに、運動はうつ病を予防するのではないか?と考えるようになりました。
それと、もう1つ理由があります。私は日ごろから医学の研究論文をたくさん読んでいるのですが、そのなかで運動はうつや不安から身を守るだけでなく、創造性を高め、集中力を高め、記憶力を向上させる、とても重要なものであるということを示す重要な研究を目にしたのです。
――運動がもたらす効果はそれほどすごいものなのですか?
そうです。もし運動が脳や体に与える効果を錠剤にできたら、とてつもなく売れるでしょうね(笑)。アディダスやナイキ、プーマなどのスポーツメーカーも、最近になって運動が健康にもたらす効果を紹介するキャンペーンをやっていますが、私は「創造性推進装置」とか、「不安解消剤」のようなネーミングのシューズを作ればいいのにと思っています。
――運動がうつ病に効くということについて、もう少し教えてください。
医師としてヘルスケアに携わっていると、どの患者さんにはうまくいって、どの患者さんには問題があるのか、そういうパターンが見えてきます。もちろん単なる偶然という可能性もあるので、慎重に見極めないといけないのですが、それでも運動には抗うつ薬のような効果があるのではないか?と思いました。
ただ、重症のうつ病の人は運動してはいけません。また、現在抗うつ薬を必要としている人も、医師に相談せずに薬をやめて走り始めるようなことはしないほうがいいです。
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