ダイエットと筋トレに必要なのは「適度な食事と運動」。このことはほとんどの人が知っているはずです。そして、それが面倒であることも、同様です。
そんなとき、「食べるだけでやせる」「着るだけで筋トレ」とうたう商品が目につくと、手を出してしまいたくなる心理は、実は人間に共通するものと言えます。
工場など危険を伴う職場の安全管理でよく使われ、近年は医療安全についても使われるようになったのが、「ヒューマンファクター(人間の行動特性)」という言葉です。「錯覚」「不注意」「省略行為」、そして「近道行為」に代表されます。
遠くに安全な迂回路があっても、面倒だからと、早く行ける危険な道を通ってしまうように、人間は近道をしたがるもの。
しかし、「記憶している知識(例:少し歩くと迂回路がある)」「学習・行動した経験(例:迂回路を通っても間に合った、近道でケガをした)」などをもとに、情報を正しく処理することができれば、判断ミスを防げると言われています。
ここでポイントなのは、時に無意識ではなく、危険だと認識しているのにもかかわらず、あえて行動するような判断ミスを生んでしまう場合です。
その原因としては、内的なものと外的なものがあります。前者では「何か強い欲望があるとき」「疲労・心配など心身の異常があるとき」「知識不足のとき」など、後者では「期限が迫っているとき」「邪魔が入ったとき」などに、判断が狂いやすくなるのです。
例えば「一生の記念である結婚式の前撮りには自分の理想の体型で写りたい」という想いは、切実であるがゆえに「藁にもすがる」ことにつながる場合もあるでしょう。その日取りが迫っているとしたら、なおさらです。
また、前述した2つの商品についてのニュースを知らなければ、今後も類似の商品に手を出してしまうおそれもあります。
「主観的な憶測」も作用します。「リスクが小さい」「成功したときのメリットが大きい」「リスクを回避するデメリットが大きい」などと思い込み、それが実際と乖離していると、判断ミスが生じやすくなるということです。
ゼリーについて言えば、キャッチーな宣伝文句とお菓子のようなパッケージを見て、「これなら大丈夫だろう」と思い込んでしまうことは十分にあり得ます。海外で死亡事例のある成分が含まれているとはなかなか想像がつかないでしょう。
シャツも「このくらいの値段で多少なりとも効果があれば」と思うかもしれませんが、根拠がないことを知れば、金額が妥当かどうかの判断は変わるはずです。そもそも、お金を払っても、目的が達成される可能性が極めて低いのですから。
安全管理においては、人間の行動特性を知り、自分の判断が適切かを顧みることが必要になります。何度も繰り返される「ダイエット」「筋トレ」関連の商品の問題についても、健康や財産の被害を避けるために、同じことが必要だと言えそうです。
からの記事と詳細 ( 健康被害「やせるゼリー」根拠なし「着るだけ筋トレ」〝近道〟狙う罠 - withnews )
https://ift.tt/ksRNDC4
No comments:
Post a Comment