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Tuesday, April 19, 2022

モバイル向け「Ryzen PRO 6000」はどのくらい“高速”なのか? AMDが解説:Microsoft Pluton対応 - - ITmedia PC USER

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 AMDの新型モバイルPC向けAPU「Ryzen PRO 6000シリーズ」を搭載するノートPCが、2022年第2四半期(4〜6月)に登場する。このAPUは「Ryzen 6000シリーズ」をベースとして企業向けの管理/セキュリティ機能「AMD PRO」と、Microsoftが提唱する新しいセキュリティプロセッサ「Microsoft Pluton」に対応したものだ。

 Ryzen PRO 6000シリーズを搭載するノートPCの発売を前に、AMDは報道関係者を対象に同APUを改めて説明する機会を設けた。その概要をお伝えする。

特徴 Ryzen PRO 6000シリーズの概要
ラインアップ Ryzen PRO 6000シリーズ(と、Ryzen PRO 5000シリーズの追加モデル)のラインアップ。この表の中には、Lenovoにのみ供給される「Ryzen 7 PRO 6860Z」が含まれていない
ThinkPad Z AMD APU専用モデルとして“復活”することになったLenovoの「ThinkPad Zシリーズ」。同シリーズにはRyzen 7 PRO 6860Zを搭載する構成も用意される
EliteBook G9 HPの「EliteBook G9」は、AMD PROに自社独自の「HP Wolf Security」を組み合わせることでより強固なセキュリティを実現している

「Zen 3+ CPU」性能と「RDNA 2 GPU」でライバルと勝負!

 Ryzen PRO 6000シリーズのCPUコアとGPUコアは、先行するRyzen 6000シリーズとおおむね同じ構造となっている。

 CPUコアは6nmプロセスの「Zen 3+アーキテクチャ」を採用している。消費電力当たりの処理パフォーマンスプロセッサの面積当たりの処理パフォーマンスの2点を意識したアーキテクチャで、Ryzen PRO 5000シリーズの「Zen 3アーキテクチャ」と比べると最大で1.3倍のパフォーマンス改善を果たしている。

Zen 3+アーキテクチャ Zen 3+アーキテクチャは、Zen 3アーキテクチャを微細化しただけでなく、さまざまな面で改良を施した。そのことにより、前世代比で最大1.3倍のパフォーマンス向上を果たしている

 GPUコアは6nmプロセッサ化した「RDNA 2アーキテクチャ」を採用している。演算ユニット(CU)の数に応じて「Radeon 660M(CU6基)」または「Radeon 680M(CU12基)」を名乗るのはRyzen 6000シリーズと同様で、先代の「GCN(Graphics Core Next)アーキテクチャ」ベースのGPUと比べて最大2倍のパフォーマンス改善を実現した。

RDNA 2 GPUコアは、2世代飛びでRDNA 2アーキテクチャベースとなった。そのこともあってか、CPU以上にパフォーマンスアップの幅は大きいようである

 問題は、これらの改善が処理パフォーマンスにどのような影響を与えるかである。AMDの自社調査によると、Ryzen 7 PRO 5850U(1.9GHz〜4.4GHz、8コア16スレッド)を基準とした場合、Ryzen 7 PRO 6850U(2.7GHz〜4.7GHz、8コア16スレッド)のパフォーマンス改善効果(平均値)は以下の通りとなったという。

  • 15W稼働時
    • CPUパフォーマンス:1.1倍
    • GPUパフォーマンス:1.5倍
  • 28W稼働時
    • CPUパフォーマンス:1.3倍
    • GPUパフォーマンス:2.1倍
先代との比較 Ryzen 7 PRO 6850UとRyzen 7 PRO 5850Uのパフォーマンス比較。同じ消費電力だとCPUのパフォーマンス改善はそれほど大きくないが、消費電力を28Wに高めるとCPUパフォーマンスの改善効果も大きくなる

 Ryzen PRO 6000シリーズでは、TDP(熱設計電力)を15W〜28Wの範囲で調整できるようになっている。最大消費電力は、競合の第12世代Coreプロセッサ(開発コード名:Alder Lake)のPシリーズの基本消費電力とちょうど重なる。そのこともあり、AMDはRyzen 7 PRO 6860Z(8コア16スレッドであること以外の詳細は不詳)とCore i7-1260P(Pコア4基8スレッド+Eコア8基8スレッド)と比較したテスト結果を提示した。

 それによると、CPUベンチマークである「CINEBENCH R23」ではシングルコアのスコアこそわずかに劣るものの、マルチコアのスコアは約25%高速だったという。「全てが“パフォーマンスコア”」であるZen 3+アーキテクチャの優位性をアピールした格好である。

 GPUコアの力がモノをいう3DMarkでも、Ryzen 7 PRO 6860Zの方が良好なスコアを残したという。Core i7-1260Pが搭載する「Iris Xe Graphics」も内蔵GPUとしては性能が良好な部類だが、“現行の”RDNA 2アーキテクチャにはかなわないということなのかもしれない。

 総合ベンチマークテスト「PASSMARK」では、全体スコアが約1.5倍にもなったそうだ。その他のベンチマークテストでも、UL Procyonの一部テストを除きRyzen 7 PRO 6860Zの方がスコアが良好だったという。

スコア比較 CPUのシングルコア性能ではCore i7-1260Pに負けてしまったが、それ以外ではRyzen 7 PRO 6860Zの勝利だったという
ULの日常使い ULのベンチマークでは、PCMark 10では総合スコアとProductivity(生産性)スコアでは優位に立ったものの、UL ProcyonのOffice Productivity(オフィス生産性)テストでは僅差で敗れている
Teamsやりながらだと逆転 しかし、僅差で敗れたUL ProcyonのOffice Productivityテストを「Microsoft Teams」のビデオ会議をしながら行うと、最大で17%高速になるという。率直にいうと、ここまでして勝ちたいのかという疑問はある

バッテリー持ちも良好

 Ryzen 7 PRO 5850Uを基準として「消費電力当たりのパフォーマンス」を比べると、Ryzen 7 PRO 6850Uはビデオ会議で最大35%、Webブラウジングで最大17%、ビデオのストリーミング再生で最大32%の消費電力を削減できたという。単純なビデオ再生であれば、最長で29時間再生できたそうだ。

 Teamsを使ったビデオ会議におけるバッテリー駆動時間をRyzen 7 PRO 6860Zの搭載PC(50Wh)とCore i7-1260Pの搭載PC(57Wh)で比べると、Ryzen 7 PRO 6860Z搭載PCは最大45%長くなるという。競合がよく使う「MobileMark 2018」のバッテリー駆動時間テストでも、Ryzen PRO 6850Uは長い時間の稼働を確認できたという。

世代比較 Ryzen PRO 5000シリーズと比べて消費電力の削減効果はそれなりに大きいようである
競合比較 57Whバッテリーを備えるCore i7-1260P搭載PCよりも、50Whバッテリーを備えるRyzen 7 PRO 6860Z搭載PCの方がビデオ会議を最大45%長くこなせたそうだ
29時間再生 76Whバッテリーを搭載するRyzen 7 PRO 6850U搭載PCは、最長29時間のビデオ再生が可能だという
競合と比べても強い 自社や競合のの過去世代のノートPCと比べても、バッテリー駆動時間が長いことをアピール

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