新型コロナウイルスの「第6波」で自宅療養者が2万人を超える中、府と京都市は、業務
医師や看護師の目が届きにくい懸念がある自宅療養者の健康観察。「第5波」に見舞われた昨夏、各地の保健所の業務は逼迫し、山城北保健所(宇治市など7市町管轄)では、保健師が事務職員の応援を得ながら多い時期で毎日900人余りの対応に忙殺される事態になった。
その教訓から府と京都市は、自宅療養者の健康観察で地域の医療機関との連携を強化。保健所に患者の感染を届け出た医師に毎日、電話のほか、情報通信機器を使う「遠隔診療」で症状が悪化していないか、入院の必要がないか確認してもらう体制を構築することにした。担当者は「医療機関との協力体制を進めることが急務」と訴える。
国は、遠隔による健康観察の必要性を認めた医師が、患者の同意を得たうえで診察すること、1日あたり1人323点(3230円)の診療報酬を請求することを臨時的に認めている。こうした臨時措置で府や市の施策を後押しし、保健所が積極的疫学調査や入院調整などに専念できる余裕を生み出したい考えだ。
ところが、医師による健康観察は思惑通りには進んでいない。
府によると、乙訓保健所(向日市、長岡京市、大山崎町管轄)や山城南保健所(木津川市など5市町村管轄)で体制構築が比較的進み、それぞれ44、30の医療機関が協力を申し出ている。ただ、今月2週目の時点で乙訓で療養者全体の45%ほど、山城南では半数程度だった。6医療機関が協力する山城北保健所では同時期、全療養者の4%ほど(100人弱)にとどまっていた。
そもそも他の4保健所は医師による健康観察の仕組みを導入していない。中丹東保健所(舞鶴市、綾部市管轄)の幹部は「保健所が対応する感染者は年明けから2000人を超えた。濃厚接触者も含めると、1万人ぐらいと向き合ってきたのでは」と緊迫した状況を説明する一方、複雑な表情も見せる。「診療体制を維持しながらの健康観察は医療機関の重い負担になる。すでに十分協力してもらっており、健康観察をお願いすることで医療が逼迫することも望まない」
「健康観察を原則として保健所が担う形が2年ほど続いたことで、医療機関に担当してもらいたくても、その雰囲気がなかなか生まれない」。府や京都市の担当者からはこうした声も上がる。
新型コロナウイルスは感染症法上「2類感染症」の位置づけで、担当者は「感染拡大を防ぐ業務を保健所が担当するのは当然」ととらえる。一方、医療関係者は「コロナ禍という緊急事態で、健康観察が医療者にしかできない医療行為にあたるのか厳密に検討しないまま保健所に任せ、普段は全く違う仕事をしている事務職員も担当してきた」と振り返る。
国が医師による自宅療養者の健康観察の方法を示し、診療報酬の請求も認めたことを背景に、今後は医療機関が積極的に関与するべきだとの見方は強まっている。府医師会の松井道宣会長は「国が診療報酬の請求を認めたのであれば、医療行為と考えるべきだ」と指摘。府医師会としても、「会員医師に国の判断を周知し、医療行政の体制整備に協力する」と話す。
施策が医療機関にとり、新たな負担になるのは事実だ。だが、命を守るという同じ目標のため、医療行政には施策の必要性を丁寧に説明することが求められている。
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