Society5.0で目指す予防医療や健康増進が浸透した日本社会の実現には、(1)データ測定、(2)データ分析、(3)データ活用の3つのサイクルの好循環が必要である。本連載の第2回で触れた「健康可視化」は(3)に該当し、個人に分かりやすく健康を評価し、健康維持へのインセンティブを与えるソリューションの兆候を述べた。
(1)と(2)は、その前提として必須となる技術開発に位置づく。信用性の高いデータを、分析・評価に効果的なタイミングで測定し、分かりやすく結果を返す技術があってこそ、データ活用が進み、個人への意識づけにも繋がる。第3回となる本稿では、(1)と(2)に該当するウエアラブルデバイス*1の進化による生活の変化を述べる。
*1 ウエアラブルデバイスは、手首、頭などに装着するコンピューターデバイスを意味する。スマートフォンは通信機器端末で該当しないが、ウエアラブルデバイスの普及に大きな影響を与えるものとして、本稿では一体的に論じる
ヘルスケア領域のウェアラブルデバイスの実用化は、スマートフォンの普及が大きく影響している。スマートフォンが、公衆電話をなくし、パソコンの代替となり、キャッシュレス社会への移行に寄与したように、ウエアラブルデバイスが、約15年をかけて、常時、自分の活動量や体内の情報が測定されて、手軽に携帯するという様式を浸透させてきた。
リストバンド型のパイオニアであるFitbitは、AppleがiPhoneを世に出した2007年に設立された。2021年にGoogle傘下となり、スマートフォンOSの2強争いから、ウエアラブルデバイスを軸とした医療・健康ソリューション拡大競争の局面に突入した。
最新デバイスに搭載された心電図センサーや血中酸素濃度測定は、新型コロナウイルス感染症の在宅療養での活用可能性にも注目された。米スタンフォード大学医学部では、新型コロナウイルス感染症の検出などを目的として、AppleWatchやFitbitなど複数のウエアラブルデバイスからデータを収集し分析を行った。
その結果、新型コロナウイルスに感染し、症状が悪化する1週間前から生体シグナルにその兆候が確認できることが分かった*2。測定されるデータの精度が高まり、利用者も常に手首に装着して生活している状況が整ったことで、データに価値が出て、利用者への健康アドバイス機能も高度になっている。
*2 Fitbitホームページ、各種記事より
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