10月1日、たばこ税増税のため、たばこが値上がりした。昭和44年に1箱100円で登場したセブンスター(20本入り)が600円になった。そこで、平成12(2000)年以降の統計を用いて、たばこにかかる費用の推移を試算してみた。
財務省の統計資料によると、紙巻きたばこの販売本数は12年から令和元年までに約3分の1に減少した。たばこ販売量が大きく減少したにもかかわらず、たばこ税は増税により約2兆円を維持してきた。従来、たばこはほとんどが紙巻きたばことして消費されてきたことから、紙巻きたばこ以外のたばこ製品の課税の割合は0・1%であったが、令和元年には25・1%になったいう。これは加熱式たばこの登場によるものと考えられ、令和元年の加熱式たばこ販売本数は、紙巻きたばこに換算して約394億本と推定される。
次に男女の喫煙者数を推定した。まず、総務省の3年齢区分人口統計を用いて、0歳から14歳までの年少人口の1・4倍を19歳以下の人口とし、これを全人口から除いた数を成人人口とした。この推定成人人口に厚生労働省の喫煙率統計の男女喫煙率を乗じて喫煙者数を推定すると、平成12年には男女合わせて2900万人を超えていた喫煙者が令和元年には1800万人弱に減少したものと思われる。
さらに、得られた喫煙者数を利用し、たばこの販売量は消費量に等しいと仮定して、喫煙者1人当たりのたばこ消費量を計算した。その結果、平成12年には1日30本余りであった1日当たりのたばこ消費量が、令和元年には24本程度に減ったものと推定された。
喫煙者1人当たりのたばこ代は、セブンスターの値段を適用し推計した。1人の喫煙者が年間に、たばこ代にとして費やす金額は、平成12年の13万8千円余りから、令和元年には22万4千円余りと、1・5倍に増大した。同様に、喫煙者1人当たりのたばこ税の平均額も、平成12年には7万8千円程度であったのが、令和元年には11万円程度になったと推定される。さらに元年以降にも2回、増税・値上げが行われており、現在のたばこ税負担は、さらに高額になっているはずである。
たばこを止めにくいのは、たばこの煙に含まれるニコチンに対する依存が発生するためである。依存症の治療には、専門家の支援を利用するのがよい。今ではニコチン依存症治療は未成年者を含め健康保険の利用が可能となっている。もちろん、加熱式たばこ利用者も適用可能である。保険を使った禁煙治療費の患者負担額は総額2万円程度で、所要期間は3カ月である。3カ月分のたばこ代で禁煙できて、お釣りがくる計算である。
本年7月現在、群馬県内には37の病院と252の診療所に保険が使用できる禁煙外来が開設されており、そのリストは、群馬県医師会のホームページに掲載されている。たばこの値上げは、禁煙を決断する大きなチャンスである。たばこが値上がりした、この機会に、禁煙にチャレンジしませんか。
(高崎健康福祉大教授 東福寺幾夫)
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