KDDIは10月11日、東京都主催の「令和3年度 東京都『次世代ウェルネスソリューション構築』支援事業」として選出された実証事業を開始すると発表した。具体的には、豊島区、板橋区、江戸川区に在住または在勤・在学する生活者を対象に、同社が提供する健康管理アプリ「ポケットヘルスケア」の利用効果と健康増進への影響、および複数の自治体に導入することによるサービス性の検証に取り組む。実証は2021年10月18日から翌年2月28日まで実施される。
今回の公募事業において同社は、区が主催する住民向け保健事業の一環として、PHR (Personal Health Record) データの記録や、歩数などの健康活動に応じたインセンティブの提供、健康診断結果に基づく生活習慣病リスク予測の提示などが可能なアプリを提供して、健康行動や受診行動を支援する。また、同アプリを利用して住民向けに各自治体独自の健康イベントなどの情報を配信し、イベント参加者にはインセンティブを付与するなど参加を促す方法も検討する予定だ。
同社は同アプリの利用実績を分析することで、都内の他区市町村への展開も検討し、将来的には都民全体の医療費の適正化や健康指標の改善に寄与する狙いがあるという。さらに、より精度の高い分析を行うため、自治体などが保有するデータの分析環境整備について検討を進めるとしている。
同社は、健康から医療までのヘルスケア領域の課題を解決するアプリとして、「ポケットヘルスケア」の提供を2020年11月に開始している。同アプリは日々の歩数や体重などが記録できるほか、将来の生活習慣病の発症リスクを予測してスコア化する「健康スコア」、症状から関連する参考病名や適切な相談先を調べられる「AI受診相談」、ビデオチャットを利用して医師の診察を受けることのできる「オンライン診療」といった機能を備えており、スマートフォンアプリを使用して日々の健康管理から医療体験までをトータルで支援するものだ。
また、同社は2020年に「令和2年度 東京都『次世代ウェルネスソリューション構築』支援事業」に参画しており、「デジタル技術を活用した高齢者・現役世代向け健康増進」をテーマに同アプリを利用した取り組みを豊島区で実施している。その結果から、スマホ利用を前提としたアプリでありながらも、若年世代から高齢者世代までの幅広い利用が見込まれる素地があることが明らかになっている。
今回の都公募事業で同社は、同アプリを複数の自治体に導入して、自治体に応じた健康増進施策やコロナ禍における健康不安の解消に取り組む。自治体導入にあたっては、公益性の高いサービスを提供するとしている。
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