兵庫県宝塚市が始めた「健康・生きがい就労トライアル」が注目されています。高齢者の健康維持と生きがいづくりに、介護施設や保育園での「周辺業務」の仕事を組み合わせた取り組みです。宝塚市と市民による「宝塚市お互いさまのまちづくり縁卓会議」から生まれたものです。「健康・生きがい就労トライアル」を経て、その後も介護施設で働く人たちに、この制度の意味やその後の変化について聞きました。 【本編】画像を見る
伊福博(いふく・ひろし) 69歳。宝塚市出身。子ども3人は独立し、現在は妻と二人暮らし。62歳で自動車会社を定年退職し、趣味を楽しむ傍ら、240世帯が入居する集合住宅の自治会長として地域活動に尽力。一人暮らしの父親の看取(みと)りの過程で、ケアマネジャーの献身的な仕事ぶりに触れ、介護に関心を抱く。「明るく・楽しく・仲良く」がモットー。 松尾治江(まつお・はるえ) 72歳。岡山県出身。1975年に家を購入し、宝塚市に転入。夫は6年前に他界。子ども2人は独立し、現在は大学に通う孫娘と暮らす。知的障害者施設で約20年間の勤務経験があり、介護福祉士、知的障害者支援専門員、調理師の資格を持つ。介護保険制度ができる前、姉妹4人が交代で親の介護に通った経験を持つ。「忍耐強さ」に自信あり。
市民発案で始まった「健康・生きがい就労トライアル」
大阪や神戸のベッドタウンの宝塚市。2015年8月、WHO(世界保健機関)が提唱する「エイジフレンドリーシティ・グローバルネットワーク」のメンバーに承認され、高齢者にやさしいまちづくりの実現へ動き出しました。2017年3月、エイジフレンドリーシティ宝塚としての行動計画を策定。2018年9月、エイジフレンドリーシティを推進するため、公募された市民と市役所職員による「宝塚市お互いさまのまちづくり縁卓会議」(以下、「縁卓会議」)が設けられました。そこで市民側から提案された「健康・生きがい就労トライアル」(以下、「就労トライアル」)は2019年から事業化されています。 伊福博さんと松尾治江さんは、2019年に市の広報紙で2回募集があった「就労トライアル」に応募。説明会や受け入れ介護施設「宝塚せいれいの里」の現地見学会、3カ月間のトライアル勤務を経て、正式に雇用契約(非常勤の有期雇用)を結んで働き始めた人たちです。伊福さんは週3回、午前9時~午後1時まで、松尾さんは週2回、午前11時~午後2時まで働いています。 伊福さんや松尾さんは、なぜ「就労トライアル」に参加したのでしょうか? 伊福さんが介護予防に関心を持つきっかけは、240世帯ほどが暮らす集合住宅の自治会長になってからです。高齢化率が35%前後あり、一人暮らしの高齢者が十数人いることを知りました。 「62歳で自動車会社を定年退職し、しばらく趣味を楽しんでいましたが、自治会活動を通じて地域の高齢化の深刻さを肌身で感じました。自治会傘下のグループを組織して『高齢者を独りにしない』『外に出てきてもらう』ために様々な行事を仕掛けました。カラオケ、マージャン、囲碁、夏祭り、旅行……。こうした活動のなかで高齢者との会話の楽しさに気づき、複雑な高齢者の思いに触れ、何か手伝えることはないかと考えるようになりました」(伊福さん) 知的障害者施設で約20年間の勤務経験がある松尾さん。当時勤務していたグループホームでは70歳を超えると雇用契約の更新はしないと聞き、次なるステージを求めて「就労トライアル」に参加しました。 「体は元気だし、おしゃべりするのも大好きだし、70歳を過ぎても働ける場所はないかなと考えていました。そんなとき広報紙で『就労トライアル』を見つけました。紹介した友だちもバリバリ働いています」(松尾さん)
からの記事と詳細 ( 健康だから働くのではなく、健康のために働く「就労トライアル」 介護人材確保を支援する宝塚モデル(なかまぁる) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース )
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