中国では最近,28の海外ゲームの発売が正式に承認された(参考URL)。つまり,これらのゲームにはISBN出版ライセンスが与えられて,充実したマネタイズのオプションとともに対応するパブリッシャから合法的に発売・配布が可能となっている。
1つ1つのタイトルについてコメントするとしたら,掘り下げるべきことが多すぎるので,とくに興味深いと思ういくつかのケースと,そこから中国市場の現状についてより広く読み取れることを取り上げてみたいと思う。まず,出版許可が下りるまでには半年から1年かかることを覚えておいてほしい。承認されればだが。
家庭用ゲームはまたもや死んだ ― しかし,実際にはそうではない
承認された28本のゲームのうち,家庭用ゲーム機向けは1本のみだ。COVID-19のロックダウンのために,今年の初めの数か月間に中国での人気の大きな急上昇となった,リングフィット アドベンチャーは今,中国で正式発売がクリアになった。筋が通っているか? もちろんそんことはない。
つまり,過去5か月間に中国で承認された海外の家庭用ゲームは1つだけだったのだ
今年の上半期には,中国での任天堂のゲームの需要が非常に高く,一時はオンラインやタオバオで2倍以上の価格で販売されていた。では,なぜ,そしてどのようにして,このゲームは今,公式にリリースされたばかりなのだろうか? 私は非常に意図的に「公式に」という用語を使用していることに注意してほしい。それは,中国ではほとんどの消費者が正規品ではなく輸入品を購入しているからだ。この件についてはこのサイトのこことここで大々的に書いたのだが,要するに輸入機はオンラインでの入手が非常に容易であるのに対し,公式に発売されているハードにはさまざまなリージョンロックの制限があり,情報に精通している消費者の多くはそれを避けるということだ。
リングフィット アドベンチャーの輸入版がここ数か月の間に中国でどれくらい売れたのかを調べ,追跡することは事実上不可能だが,もし私が推測するとすれば,少なくとも数十万本はあると思う。―それ以上ではないにしても。では,発売された正式版はどれくらい売れるのだろうか。輸入版に対して中国での正式版Switchの販売本数の少なさを考慮すると,楽観的に見積もっても3万本程度だろう。承認されたバージョンのゲームは,中国版Switchでしか動作しないのだ。
以上のことから,過去5か月の間に中国で承認された海外家庭用ゲーム機ゲームは1本のみだ。Xbox OneとPS4もまた,それぞれの一連の制限事項付きバージョンであれば,中国内で公式に利用可能だ。Switchと同様に,ほとんどの消費者はこれらのゲーム機の輸入版を購入しており,そのためにソニーとMicrosoftの公式プレゼンスは市場では低迷している。
海外のデベロッパやパブリッシャにとってモバイルは唯一の選択肢
承認された28のゲームのうち,24がモバイル向けである。これだけ見ると,中国進出を目指す海外企業がいかに一方的な道を歩むようになったかが分かる。もちろんこれは中国のゲームにも当てはまることで,承認されたタイトルの大半はモバイル向けである。注目すべきは,一度パブリッシングライセンスを取得したゲームは,同じタイトルで,同じ内容のゲームであれば,そのゲームが利用できるすべてのプラットフォームで有効であるということだ。つまり,パブリッシングライセンスが承認されたモバイルゲームは,iOSアプリストアだけでなく,Androidアプリストアでもリリースできる可能性があるということだ。
Call of Duty Mobileが中国にやってくる
TencentはCOD Mobileができるとすぐに中国向けパブリッシングライセンスを申請したが,手続きには10か月かかった
多くの人にとって,これは当たり前のことのように聞こえるかもしれない。結局のところ,Call of Duty MobileはTencentが所有しており,発売以来ほぼ3億ダウンロードを記録し,これまでで最も成功したゲームの1つとなっている。しかし,私はそれが中国でのリリースでクリアされているのを見て驚いたことを認めなければならない。実際,数か月前,South China Morning Post紙にこのテーマについての考えを述べたとき(参考URL),私はこのゲームが中国でリリースされることはないだろうと確信していた。覚えておいてほしい,Fortniteは中国では発売されていない。漫画のような外見で,血なまぐさい暴力がなく,世界で最も人気のあるゲームの1つであるにもかかわらず,Fortniteは中国で大きな人気を得ることはなく,公開するライセンスを持っていなかった。また,Tencentが40%の株式を所有するEpicが作っている。これらすべてのことと,CoD Mobileの,はるかにリアルな外観を考慮すると,私はこのゲームが承認されないだろうと確信していたのだ。しかし,明らかに間違っていた。
CoD Mobileの状況で本当に興味深いのは,しかし,ゲームが最初にリリースされたのは10月だったということだ。つまり,Tencentはゲームが認可されるとすぐに中国向けのパブリッシングライセンスを申請したのだが,その手続きには10か月もの時間がかかっていたということだ。このゲームは常に中国でのリリースを意図されていたものであり,最初のグローバルローンチから今に至るまで,この計画に関する重大なリークが一切出てこなかったという事実は驚き以外の何物でもない。
それでも,今後中国でCoD Mobileが発売禁止になっても不思議ではない。その成功やメディアの取り上げ方,露出の多さによっては,いずれ反発が起きる可能性は十分にあると思う。アメリカの軍国主義,戦争,リアルな戦闘/暴力,銃の美化など,「中国の価値観」を誤解させる要素がこのゲームには多すぎて,私の考えでは,Tencentはおそらくゲームが承認されたことを確認するためにその影響力と力を使ったのだろう。
こそこそしたEAとスター・ウォーズ
承認されたタイトルの中で,最も驚いたのはStar Wars: Galaxy of Heroesだ。最近までこのゲームはiOSで利用可能だったが,中国向けのパブリッシングライセンスを持っていなかった。昨年末 ― そして今年初め ― Appleは,政府の規制に準拠していないゲームを中国のApp Storeから削除すると発表した(関連英文記事)。この場合,アプリ内購入,有料ダウンロード,および/またはサブスクリプションベースのゲームは,パブリッシングライセンスが必要となる。Appleが設定した期限は2020年7月だった。
EAはこの期限前にGalaxy of HeroesをApp Storeから削除したため(関連記事),多くの人はこのゲームが中国から永久に消えてしまうのではないかと考えていた。驚いたことに,Galaxy of Heroesは今回リリースが承認されたゲームの1つであり,これは,EAがこの動きをかなり前から計画しており,パブリッシングライセンスの申請を数か月前から行っていたことを意味している。
この時点で,とくに海外ゲームの場合,中国向けのパブリッシングライセンスを取得することが,いかに困難であるかを理解しておくことが重要だ。1年も前にAppleがApp Storeからゲームを削除すると発表したため,多くのデベロッパは完全に油断していた。中国のパートナーがパブリッシングライセンスを取得することは法的に必要であり,ライセンスは承認を得るまでに最低でも6か月かかるが,通常は1年近くかかる。このため,何千人ものインディーズデベロッパは,中国でのゲームの将来のための解決策を模索しながら,脆弱な立場に置かれていた。しかし,EAとスターウォーズにとっては,すべてがうまくいったのだ。
中国でのハリー・ポッターとワーナーブラザーズ
最後になったが,私は,中国での発売が承認された数少ない海外のゲームの中に「Magic Awakened」が含まれていたことに眉をひそめた。Warner Bros. InteractiveのAT&T売却の可能性があるという最近の噂が主な理由だ(関連英文記事)。Netease(中国でのゲームのパブリッシャ)とWarner Bros. Interactive(ハリー・ポッターIPの所有者)の間で結ばれた契約書には,実際に売却が行われた場合に備えて何か規定が含まれているのかどうか,私はただ疑問に思っている。
ああ,PCゲーム? はい,海外のPCゲームも4本が承認された。それについてはこれ以上語ることはない。
Daniel Camilo氏は深圳在住。中国でゲームのパブリッシングを専門とするApptuttiの海外事業デベロッパだ。
"モバイル" - Google ニュース
August 20, 2020 at 08:45AM
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Opinion:海外デベロッパはモバイルゲームで中国に進出するしかない - GamesIndustry.biz Japan Edition
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