楽天モバイルは27日、携帯電話のつながりやすい周波数帯「プラチナバンド」を使った商用サービスを開始した。後発で参入した楽天は、屋内や地下でのつながりにくさが課題となっている。プラチナバンドの利用による通信品質の改善が、利用者の拡大につながるかが注目される。(小野卓哉)
楽天モバイルの親会社、楽天グループの三木谷浩史会長兼社長は27日の記者会見で、プラチナバンドについて「我々が熱望していた大変重要なものだ」と強調した。東京都内など主要都市の地下などの場所で利用を開始し、対象エリアを順次拡大する方針だ。
700~900メガ・ヘルツ帯の周波数を指すプラチナバンドは、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの携帯大手3社も利用している。2020年に携帯事業に本格参入した楽天にはプラチナバンドが割り当てられておらず、屋内や地下でつながりにくいことが課題となっていた。
今回使い始めたプラチナバンドは700メガ・ヘルツ帯のうち3メガ・ヘルツ幅の二つの枠で、大手3社が使っている帯域よりは狭い。楽天は既に利用している周波数帯に加えて補完的に利用する。
プラチナバンドの提供エリア拡大に向け、楽天は33年度末までに544億円を投じて、1万局超の基地局を整備する計画だ。楽天モバイルの矢沢俊介社長は会見で、「電波は国民の財産。(プラチナバンドを)最大限活用し、顧客の満足度を上げていきたい」と述べた。
楽天グループの携帯事業の利益は、基地局設備などの先行投資が響いて24年1~3月期は719億円の赤字だった。ただ、家族割引などの投入で契約数は6月に700万回線を超え、単月黒字化に必要と試算する800万~1000万回線に近づきつつある。
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