楽天モバイルの「最強青春プログラム」が、3月12日にスタートしました。これは、22歳以下のユーザーに向けたポイント還元施策。2月に始まった「最強家族プログラム」と合わせて、家族単位での獲得を強化する一環として導入されました。
これまでは、割引などがなく、ワンプランで勝負していた楽天モバイルですが、その方向性を徐々に変えてきていると言えるでしょう。
一方で、そのポイント還元額は毎月110ポイントと少ないような印象もあります。最強家族プログラムに関しても、割引額は110円。2つを合わせても、220円しか料金は変わりません。楽天モバイルがうたうように、“最強”と言えるのでしょうか。ここでは、若年層に特化した料金プランや割引サービスを比較しつつ、それを確かめてみました。
22歳以下なら毎月110ポイント還元で、料金の実質割引が可能に
最強青春プログラムは、いわゆる“学割”的な特典。新規契約の多い若年層に特化して特典を付与するサービスで、モバイル業界では一般的な施策として定着しています。最強青春プログラムは、割引ではなくポイント還元。
楽天モバイルの場合、楽天ポイントを料金に充当することが可能なため、その設定をしておけばほぼほぼ同じようなものですが、ポイントの方が楽天ペイなどを通じて自由に使えるメリットがあります。
とは言え、還元されるのは110ポイント。コンビニエンスストア飲料がギリギリ1本買えるか買えないかのレベルで、正直なところ、インパクトは薄いような気もします。先に導入されていた最強家族プログラムと合わせても、220円ぶんです。“最強”という名称と割引額の実態が、やや乖離しているような印象も受けました。
一方で、 Rakuten最強プランに最強家族プログラムと最強青春プログラムを合わせると、自社でネットワークを持つMNOとしてはかなり割安 になります。割引額は一定のため、特に3GB以下の場合の料金には割引&ポイント還元が効きやすくなると言えるでしょう。
Rakuten最強プランは3GB以下の場合、1078円まで料金が下がるため、両プログラムが適用され、ポイントを料金支払いに充当した際の実質価格は858円まで下がります。
各社とも、サブブランドで低容量の料金プランを展開していますが、NTTドコモの「irumo」は各種割引適用前で2167円、ワイモバイルも4GBプランの「シンプル2 S」は2365円かかります。
2つの料金プランは、光回線とのセット割とクレジットカードがあれば1000円前後まで料金が下がりますが、まだ楽天モバイルの方が安いと言えるでしょう。
auでんきでも割引が効き、比較的適用範囲が広いUQ mobileの「ミニミニプラン」も、素の料金は2365円。「自宅セット割」と「au PAYカードお支払い割」の2つを入れても1078円にとどまります。
UQ mobileとワイモバイルは1GBほどデータ容量が大きい一方で、割引を入れて楽天モバイルと同水準かやや高い程度になるというわけです。また、irumo、UQ mobile、ワイモバイルのいずれも、3GBプランや4GBプランには若者向け割引が適用されません。
微差ではありますが、MNOの低容量プランとしては“最強”と言えそうな気がします。
中容量は一定期間経過後に“最強”化? 割引が強力な他社プラン
一方で、MNO各社は、若者向けの料金プランを別枠で展開しています。例えばドコモには「U15はじめてスマホプラン」という年齢を限定した料金プランがあり、15歳以下のユーザーが18歳になるまでの間、利用できます。
また、UQ mobileには「UQ親子応援割」があり、コミコミプランがその対象に。ワイモバイルも、「ワイモバ親子割」を用意しており、5歳~18歳の子どもが契約できます。
この中で、低容量なのはドコモのU15はじめてスマホプラン。こちらは、5GBと10GBの2つから選択でき、前者の料金は1815円です。「dカードお支払割」を適用すると、1628円まで料金が下がります。
12カ月間、毎月500ポイントのdポイントも付与されるため、これを加味した実質価格は1128円。楽天モバイルのプログラムフル適用時の858円よりはやや高めですが、そのぶん、データ容量が2GB多くなります。
仮に楽天モバイルで5GB使ったとすると、Rakuten最強プランの2段階目に料金が上がってしまうため、割引適用後でも実質1958円の料金がかかります。
2段階目から3段階目の無制限に上がる閾値が20GBのため、データ容量を5GB以上使うことは可能ですが、4~5GBのデータ通信を使うといったケースでは、ドコモの方が安くなるのも事実。やや限定されたシチュエーションではありますが、 必ずしも常に最強ではない ことが分かります。
また、UQ mobileのUQ親子割は、データ容量が20GBのコミコミプランに適用され、データ容量が10GB増量になるとともに、料金が12カ月間、1320円割り引かれます。
1回10分の音声定額がつき、データ容量30GBのプランが1958円で利用可能になるというわけです。この金額は、Rakuten最強プランの3GB超20GB以下の金額と同じ。
仮に楽天モバイルで30GB使ったとすると、割引込みの料金は3050円になり、UQ mobileを上回ります。12カ月間は最強とは言えなくなってしまいます。
これはワイモバイルとの比較でも同じ。同社のワイモバ親子割はデータ容量20GBの「シンプル2 M」に適用され、12カ月間1100円の割引が受けられます。
このワイモバ親子割と「PayPayカード割」を適用した場合の料金は2728円。ここに「おうち割 光セット」を組めば、料金は12カ月間1078円まで下がります。
光回線のセット割をつけたときで、かつ12カ月間限定ではありますが、必ずしも最強とは言えないことが分かります。 小容量のときよりも、限定的な“最強” と言えそうです。
無制限では“最強”ながら、子ども向けケータイが不在の楽天モバイル
とは言え、データ容量が無制限の料金プランでは、楽天モバイルの右に出る会社はありません。各社とも、メインブランドには無制限プランを用意しているものの、若者向けの割引には非対応。
料金的にはもっとも高額なプランのため、最強家族プログラムや最強青春プログラムがなくとも、楽天モバイルの方が割安になります。 データ容量無制限に関しては、文句なしの“最強” と言っていいでしょう。
逆に、楽天モバイルには、超低容量で通話やみまもりに特化した料金プランがありません。最強青春プランは、0歳から対象になる一方で、「キッズケータイ」のような子ども向けの料金プランがなく、セットで購入できる端末もほぼスマホ一択。
子ども向け端末はおろか、フィーチャーフォン型の端末も販売されていないため、実質的には小学校高学年からの利用が中心になりそうです。
現状では、子ども向けケータイにもSIMロックはかかっていないため、楽天モバイル回線を入れて使うことはできますが、この場合、GPSで子ども側の端末の位置を検索するサービスが非対応になってしまいます。
さらに、料金的にも割高。ドコモのキッズケータイプランは月額料金が550円で、親側に料金がかかるGPS検索サービスの「イマドコサーチ」をつけたとしても770円で済みます。
KDDIの「ジュニアケータイプランN」も、au PAYカードお支払い割の適用で550円に。ソフトバンクのキッズフォンやみまもりケータイで加入できる「基本プラン」も、539円です。
楽天モバイルの回線だと、最低でも実質858円かかってしまい、3キャリアを上回ってしまいます。0歳から契約はできますが、幼稚園や小学校低~中学年ぐらいの子どもには、あまり向いた料金プランとは言えない部分があります。
スマホの利用シーンに最適化し、シンプルで汎用性を高めたRakuten最強プランですが、特定用途に特化した場合にはその汎用性こそが弱点にもなると言えそうです。
こうした実態を踏まえると、無理に対象年齢を0歳からにしなくてもよかったような気がします。最強青春プログラムの発表会で、子ども向けケータイの導入意向を問われた楽天モバイルのマーケティング企画本部長、中村礼博氏は「共感するところはあるが、現時点では未定」と語っていました。
一方で、端末だけでは“最強”になれないのも事実。利用者のすそ野が広がるにつれ、ワンプランでカバーしきれないユーザーも出てくるため、料金プランのあり方は今後の課題になりそうです。
からの記事と詳細 ( [石野純也の「スマホとお金」] 楽天モバイルの「最強青春プログラム」は本当に最強か? 他社プランと比較解説! - ケータイ Watch )
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