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Friday, February 9, 2024

ソフトバンク、モバイル事業は前倒しで黒字化 宮川社長は“楽天モバイルの支援”にも言及 - ITmedia Mobile

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 ソフトバンクは2月7日、2024年3月期第3四半期決算を発表した。連結の累計売上高は前年同期比4%増の4兆5116億円、営業利益は前年同期の一時益であるPayPay再測定益を除くと同7%増の7319億円となり、「実力ベースでは増収増益」(宮川潤一社長)だった。携帯値下げの影響でモバイル事業が低迷していたが、「減収トンネルを抜け出せた」(同)ことから今後業績はさらに上向くとみて、通期予想を売上高で600億円増など上方修正。中期経営計画の目標達成に向けて順調な進捗(しんちょく)をアピールする。

ソフトバンク ソフトバンクの宮川潤一社長(提供:ソフトバンク)

モバイルは前倒しで黒字化、PayPayもEBITDAは通期黒字化へ

 モバイルを含むコンシューマー事業は、売上高が同0.3%減の2兆1218億円、営業利益が同2%減の4231億円。ただ、国の要請による「携帯4割値下げ」以降、赤字続きだったモバイルの売上高がこの第3四半期に反転して増収となり、第4四半期もこの傾向が続くことから、通期での黒字化が見込まれる。

 同社ではこれまで、値下げ影響を3年と見積もっており、2024年度から黒字化すると見込んでいたが、これを前倒して、2023年度で増収に転じることになった。同期の営業利益は減益だが、通期では4700億円予想を4900億円に引き上げて増収を見込む。

ソフトバンク セグメント別の売上高。モバイルを含むコンシューマー事業以外が増収
ソフトバンク 同じく営業利益。こちらもコンシューマー事業以外は増益(ファイナンス事業は「実力ベースで」
ソフトバンク 連結業績
ソフトバンク 通期予想を上方修正

 その背景として、モバイル契約が順調に拡大し、スマートフォンの純増数も拡大した点が挙げられる。累計では同5%増の3021万契約となった。スマートフォン契約の拡大はデータ通信の利用を拡大してARPU(1ユーザーあたりの月間平均収入)増につながる。さらに、金融サービスとの連携プランである「ペイトク」も好調でARPUの引き上げを期待する。

ソフトバンク コンシューマー事業の売上高
ソフトバンク モバイル売上高はとうとう反転
ソフトバンク モバイル契約の純増数
ソフトバンク スマートフォン累計契約数

 データの利用増と電波資源の効率利用の面から5G端末の拡大も急ぐ。宮川社長は、「本当は5Gの普及をもっと急ぎたい。これ以上端末普及が遅れるのをよしとしていない」と力説。5G端末の流通を増やすために、新たな端末購入サポート施策として「新トクするサポート(バリュー)」を提供。1年間で返却すると端末を割り引くことで、早期に機種変更をしたいユーザーの利用を狙った。

 総務省は端末補助を規制していく方針で、その結果として端末販売が低迷するとの判断から打ち出した施策であり、宮川社長は「半分は(総務省に)怒られるかなと思ってやったが、意外によかったようで、できる限りのことをして(端末販売の拡大を目指して)いる」と強調した。この施策の効果は今後明らかになってくるだろう。

 エンタープライズ事業は売上高が同5%増の5764億円、営業利益が同15%増の1248億円で増収増益。特にソリューション事業が好調で、継続的に課金する継続収入が伸びたことが奏功した。

 LINEヤフーのメディア・EC事業は、売上高が同3%増の1兆1995億円、営業利益が同29%増の1635億円。コスト削減が功を奏したが、別会社ということもあって、宮川社長自身は経営にもの申したいようで、「もうちょっとやんちゃに、思い切って色んなチャレンジをして、昔のヤフーらしさ、LINEらしさを、数字にとらわれずやってほしい」と注文を付けた。「もう少しトライをやってほしい」。

 PayPayなどのファイナンス事業は、売上高は同95%増の1709億円だが、PayPay子会社化による一時影響。営業利益は83億円改善して35億円の減益。「実力ベースでは大幅に改善した」と宮川社長。PayPayの連結売上高は同28%増の1552億円、連結EBITDAは3期連続の黒字で74億円となった。

ソフトバンク EBITDAでは「年間黒字もかなり高い確度で達成できると期待」(宮川社長)する

 営業利益としてはまだ赤字のままで、「営業黒字化は今年(2024年)達成できるかというと、もうちょっと先」(同)の見込み。ただし、「減価償却は正直わずかな金額なので(営業黒字化には)十分手応え」(同)だという。営業黒字化するとPayPayの上場も見えてくるものの、「決済では敵なしだが、(店舗向けのマイストアなどのサービス収入である)2階建て、(金融サービスの)3階建てまで踏み込みながら時期は検討する」と宮川社長は話す。

 ファイナンス事業では、他にSB Payment Serviceが営業利益同10%増の85億円、決済取扱高(GMV)が同20%増の5.8兆円と順調。PayPay証券はポイント運用の累計運用者数が2023年12月末で1360万人を突破し、前年比66%・540万人増になったことは好材料だ。

 特にモバイル事業における値下げ影響の出口が見えたことで、中期経営計画の目標達成に自信を深める宮川社長。通期予想の上方修正でさらなる取り組みを強化していく考えだ。

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