聞き手/斎藤 正一(日経ESG経営フォーラム事務局長)
衛生商品や健康商品の提供、環境保全の取り組みをグローバルで展開して成長を続けてきた。2025年開催の大阪・関西万博に向けて、海洋保全を目的にブルーオーシャン運動に取り組む。
世界の「衛生・環境・健康」に貢献するという企業理念を掲げています。
更家 悠介(さらや・ゆうすけ)
サラヤ 代表取締役社長
1974年大阪大学工学部卒業、75年米カリフォルニア大学バークレー校修士課程修了後、76年サラヤ入社。取締役工場長、80年専務取締役を経て、98年より現職。NPO法人ゼリ・ジャパン理事長、ボルネオ保全トラスト理事(写真:太田 未来子)
更家 悠介 氏(以下、敬称略) 創業以来、世界の「衛生・環境・健康」に貢献するため、グローバルなネットワークを構築し、独自の商品やサービスを提供することで事業を発展させてきました。
2020年初頭に日本でも新型コロナウイルスによる感染症の拡大が始まり、主力事業である手洗い石けんや手指消毒剤などの衛生商品の需要が急増しました。医療用の手袋やマスク、ガウンのような個人防護具(PPE)の不足で価格が高騰し、感染症や各種災害などへの対応に必要な医療機器や商品の海外依存度が高いことが懸念されました。
実は当社では、主力商品の洗剤や消毒剤の製造を増強するため、コロナ禍が始まった20年3月に茨城県北茨城市に国内4カ所目となる関東工場を完成させたところでした。供給責任を果たすため、全社一丸となって増産を続けて対応しました。
その後も生産設備の増強に取り組み、22年3月に国内でマスクを生産する堺PPE工場(大阪府堺市)の運用を開始しました。中国・江蘇省では合弁会社を設立して衛生用のニトリル手袋の工場を建設し、23年1月から生産を開始しました。
コロナ禍で感染管理に必要な医療器具や商品などのサプライチェーンのぜい弱性が顕在化したため、政府はこうした製品や素材の国内生産拠点などの整備に乗り出しました。
当社は、経済産業省による「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」事業に採択され、関東工場内に手指消毒剤などの医薬品・医薬部外品を製造する工場を新設して、23年4月に竣工する予定です。
未知の感染症に備える
コロナ禍での経験を通じてどのようなことを学びましたか。
更家 感染症の危機は今回のコロナ禍が初めてではありません。21世紀に入ってからも02年末頃に始まった重症急性呼吸器症候群(SARS)や12年の中東呼吸器症候群(MERS)など、コロナウイルスを原因とする感染症が広まりました。09年にはメキシコから始まった新型インフルエンザの流行がありました。当社が事業を展開するアフリカのウガンダでは、エボラ出血熱が繰り返し流行しています。
今後も感染症がなくなることはありません。未知の感染症への準備を怠らず、衛生管理を進めることが大切です。衛生商品はウイルスや菌によって効果や使い方が異なります。感染症対策に効果のある商品を正しく使ってもらえるよう啓発し、需要に応じて供給が滞らないよう事業を進めることが、衛生関連事業に取り組む当社の役目です。
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