歯を失った時の治療の選択肢の一つ、インプラント。インプラント治療をしている人は60代後半~70代後半の世代に多く、他の治療を受けた患者と比べて満足度が高いという調査結果もあります。ただし、インプラントによる治療がうまくいくためには、定期的なメンテナンスが必須です。要支援や要介護となった時でも、本人や介護をする人が口の中やインプラントの周囲を清潔に保ちやすいよう、設計に工夫があるといいます。広島大学の赤川安正名誉教授が最新のインプラント事情を解説します。
インプラント治療のメリット・デメリット
歯や歯列(歯並び)がなくなった場合に受ける治療を「補綴(ほてつ)歯科治療」(人工材料で歯を作り、歯や歯並びを回復する治療)といい、これにはブリッジや義歯(入れ歯)、インプラントなどがあります。
インプラント治療は、インプラント体と呼ばれる歯の根になる部品を顎(あご)の骨に埋め込み、その上に歯を作るものです(写真1、写真2)。
隣の歯を削って作るブリッジ治療や歯のない粘膜の上に入れ歯を乗せる入れ歯治療と比べて、隣の歯を削らなくてよい▽違和感が少ない▽よくかめる▽見た目が良い――などの利点があります。
国民生活センターの調査によると、インプラント治療を受けた患者の満足度は、他の治療患者に比べて高いようです(表1)。
一方、埋め込みの手術が必要▽治療期間が長い▽治療費が高額になる――などの問題もあります。したがって、患者は歯科医師からインプラント治療に関する説明を聞いて十分に理解し、納得した上で治療を受けることが重要です。
インプラントの基本構造とは
インプラントの基本構造は、①インプラント体②アバットメント(支台)③上部構造――の三つです。インプラント体とは顎の骨に埋め込まれる純チタンやチタン合金製のスクリューのことで、直接骨と接触し、人工の歯の根としてかむ力を支えます。この状態を「オッセオインテグレーション」といいます。
アバットメントは上部構造を支える部分です。上部構造は天然歯(自分の歯)の歯冠(歯ぐきの上に出ている部分)に相当するもので、…
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