【大規模法人向け】健康経営優良法人の申請が受付開始されました~昨年までとは何が違う?~
8月22日、「健康経営優良法人2023」の申請が始まりました。
今年度の申請期間は2023年8月22日~10月14日で、これまでは経済産業省が直接運営していた健康経営優良法人の認定ですが、今年度は民間事業者(日本経済新聞社)を補助事業者として導入することが決定しています。
この記事では、特に大規模法人部門について、昨年度から大きく変更された点をご紹介いたします。
中小企業については下記記事をご覧ください。
2022年8月22日、「健康経営優良法人2023」の申請受付が始まりました。 期間は10月21日までです。 この記事では、「健康経営優良法人2023」のうち、特に中小企業法人部門について、前年度から大きく変更された点...
申請が有料化します
今年度より認定申請料として、大規模法人部門では1件あたり88,000円(税込)が必要となります。
また、グループ会社と合算で申請する場合は、1法人あたり16,500円が加算されます。
ただし、健康経営度調査への回答はするものの健康経営優良法人への申請は行わない場合は、認定申請料は不要です。
その際も評価結果を記載したフィードバックシートは返却されます。
設問項目が改定されます
2022年7月26日に開催された「第6回健康投資ワーキンググループ」では、今年度の健康経営優良法人設問項目について、大きな改定ポイントとして以下の3つがあげられています。
① 情報開示の促進
大規模法人部門では、健康経営度調査に回答すると、数か月後に評価結果を記載したフィードバックシートが返却されます。
この開示に同意した企業については、後日経済産業省のHPにて公表され、投資家や求職者などが企業の情報を集める際に活用できるようになっています。(ホワイト500を目指す場合、少なくとも認定された際には、情報開示の許可が必須です)
今年度はこの情報がさらに活用されやすいよう、定量的な項目の記載が検討されています。
それに伴い以下2項目について、具体的な状況を問う設問が追加されました。
(以下、太字は今年度追加された項目です。また、該当する健康経営度調査票の設問番号も記載しています)
・ 健康経営の推進について、前年度の経営レベルの会議で取り上げた回数に加え、内容の詳細【Q26】
→経営層が健康経営フローの中で関与している内容・回数から、積極性が評価できるようにする
・ 実施した具体的な健康経営施策について、内容の具体的な記載(選択式から記述式へ)【Q45、Q51、Q52】
→食生活改善や運動習慣の定着、コミュニケーション促進の取り組み等について、内容を50字程度で記述。これまで通り、参加率もあわせて調査し、社内への浸透度合いが確認できるようにする。
※【】内は認定申請書の設問番号
② 業務パフォーマンスの評価・分析
従業員の業務パフォーマンスについて、昨年度までの健康経営度調査では以下の3つについて、調査の実施有無がこれまで問われていました。
・ 従業員のアブセンティーイズム(傷病による欠勤状況)
・ 従業員のプレゼンティーイズム(出勤はしているが、健康上の問題により業務パフォーマンスが下がっている状態)
・ ワークエンゲイジメント(仕事に対しポジティブで、心理的に充実した状態)
今年度は業務パフォーマンスについて、より企業の自発的な分析を促すため、以下についても問われることになります。
・ 上記3項目の測定方法や経年変化の社外への開示状況【Q19】 ※認定評価には関与しない
・ ワークエンゲイジメントの調査結果(点数)【Q67】 ※任意記載・認定評価には関与しない
→ストレスチェック内のワークエンゲイジメントに関わる設問(「仕事をしていると、活力がみなぎるように感じる」「自分の仕事に誇りを感じる」の2設問)の結果
・ 従業員の生産性や組織の活性度についての指標の測定有無と、その内容【Q70】 ※昨年度設問に加え評価指標選択肢の一部変更
認定評価には関与しないとされている項目もありますが、組織としてワークエンゲイジメントが向上するよう、現状の定量的な分析を実施し、経年変化を追っていくよう働きかけていくことが促されている印象があります。
③ 健康診断データ利用・活用の促進【Q31、Q43】
これまでは保険者への健診データの提供は、40歳以上の従業員についてのみ提供有無を問われていました。
しかし、今年度からは40歳未満の従業員についても提供有無が問われます。
今年度は40歳未満の従業員のデータ提供状況は評価には使用されませんが、第6回健康投資ワーキンググループ資料によると、次年度以降は何らかの形で評価に使用される可能性があります。
また、従業員のヘルスリテラシーの向上のため、健診結果等を何らかの形で電子記録として閲覧・活用できる形にしているかを問う設問も新たに追加されました。
例えば、保険者と連携してマイナポータルから健診結果を閲覧できるようにしたり、企業が独自に導入している健康管理アプリやイントラ等から健診結果を閲覧できるように環境整備をしているかなどです。
その他、新たに追加された設問について
1.自社従業員を超えた健康増進に関する取組【Q22~24】
製品やサービスの発注で取引する企業を選定するにあたり、取引先の健康経営の取り組みをどれくらい考慮しているかを問う設問群では、何を把握し、どのように考慮しているのか、取引先の健康経営の支援をどのように行っているかを記述式で問う設問が追加されました。
2.健康経営の最終的な目標指標や経営上の課題改善の検証方法【Q72】
健康経営を実践することで、解決したいと感じている経営上の課題や、健康経営の実施により期待する効果を問う設問は以前からありましたが、今年度からはその効果検証をどのように実施しているのかを問う設問が追加されました。
全体として「具体的な健康経営施策を実施し、効果を数値等できちんと評価できるような形をとっているか」「それを踏まえ、最終的な健康経営の改善状況を検証しているか」という観点がいっそう重視されるようになった印象があります。
単に認定要件を満たすだけではなく、健康経営の本質を重視し、PDCAに則って運用できているかを十分に検討していく必要があるでしょう。
健康経営優良法人の申請制度ができて、今年で7年目となります。
認定される法人が増加したことから、より深く、主体的な健康経営への取り組みを求められています。
今年度から新たに開設された健康経営に関する情報発信ページ「ACTION!健康経営」では、セミナーや情報発信など、コンテンツの拡充が今後行われていくようです。
これらを参考にしながら、健康経営優良法人の認定申請をされる企業は、申請締め切りまでに準備を進めていきましょう。
<参考>
・ 経済産業省「第6回健康投資ワーキンググループ」
・ 健康経営優良法人認定事務局ポータルサイト「ACTION!健康経営」
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