政府は10日夕、国家戦略特区諮問会議(議長・岸田文雄首相)を開き、同特区の「デジタル田園健康特区」(仮称)に茅野市、岡山県吉備中央町、石川県加賀市を指定することに決めた。デジタル技術を活用して健康、医療面を中心に地域の課題解決を目指す。区域指定の決定を受け、今井敦茅野市長は11日に市役所で会見し、「(健康や医療などで)地域課題を抱える市町村がたくさんある。模範となれるよう頑張りたい」と意欲を見せた。
特区に指定されると、地域のデジタル化とともに規制改革の取り組みを進めることになる。具体的な規制改革として、茅野市は諏訪中央病院(同市)などと連携した在宅医療での看護師の特定行為の拡大、非過疎地域である市内でのタクシーによる医薬品配送(貨物と旅客の貨客混載運送)などを提案している。
市は規制緩和される時期を示さなかったが、タクシーによる 医薬品配送については国と 方向性をおおむね合意していると説明。在宅医療での 看護師の特定行為拡大について今井市長は「ハードルもあると思うが(規制を)突破する気概を持って取り組むのがわれわれの使命」と述べた。
吉備中央町は救急救命士の権限や役割の拡大による救急体制の充実など、加賀市は本人の同意を前提にした健康医療情報の一元管理を可能にする医療版情報銀行制度の構築などを提案している。
3市町が指定されたのは「革新的事業連携型」と呼ばれる国家戦略特区の一つの類型。各市町が施策連携し、相乗効果を高める。他の2市町との連携について今井市長は「協議はこれからだが、スクラムを組んで取り組みたい」と述べた。
今後、閣議で正式に決定。地方創生担当大臣や関係自治体の首長、健康・医療の専門家らで構成する「デジタル田園健康特区会議」(仮称)が設置され、具体的な協議が始まる。事業推進に当たっては国の交付金を活用する。
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