高齢化に伴い関心が高まっている健康寿命。2019年の調査結果が厚生労働省から公表され、男性は72・68歳、女性が75・38歳でいずれも16年の前回調査(男性72・14歳、女性74・79歳)を上回った。都道府県別で目を引いたのが男性で36位から1位に躍進した大分県、女性で全国トップの伸びで3位に浮上した宮崎県だ。「健康寿命日本一」を目指してきた両県の取り組みの成果が数字となって表れた。【井上和也】
1月26日。大分市内であった「健康寿命日本一おおいた創造会議」のあいさつで、広瀬勝貞知事が健康寿命の速報(21年12月20日)を聞いた時のことを振り返った。「不覚にも思わず『うそだ』と言ったら担当部長から注意された」と笑顔でエピソードを披露。男性の念願の全国1位(73・72歳)、女性4位(76・60歳)は、音頭を取ってきた知事さえ疑うほどの驚きだった。
健康寿命は国民生活基礎調査で「健康上の問題で日常生活に影響がない」と答えた人の割合や年齢別の人口、死亡数などから算出する。3年ごとに数値が発表され、大分県は目標より3年前倒しで男性が日本一を達成。県は20~50代の働く世代と75歳以上の後期高齢者の「不健康」と感じている割合が大幅に減ったと分析している。
要因に上げているのが、従業員が健康な状態で働ける「健康経営」の事業所を増やし、事業所ぐるみで健康づくりに取り組んだこと。県は14年に健康経営認定制度をつくり、約640の事業所が認定された。16年度から「健康寿命日本一」に向け各種団体と県など官民一体で「おおいた創造会議」をスタート。県民の健康づくりの情報を共有し、イベントでも協力してきたことで「不健康」と感じる働き盛りの男性の割合が全国平均より10ポイント以上低かった。
高齢者の「通いの場」の参加者を増やしたことも大きいとみている。公民館などでの茶話会や体操といった介護予防となる場は約2900カ所あり、19年度の参加率は全国で最も高い16・3%だったという。
30年での日本一を目指す宮崎県は、野菜(ベジタブル)摂取を増やす「ベジ活」や塩分を減らす「へらしお(減塩)」活動などに取り組んでいる。女性の健康寿命が前回よりも1・77年延びて全国3位となり、男性も9位に上がった理由について、県は「まだ分析していない」としながら「目指せ日本一というのが少しずつ浸透しているのでは」という。
10年に始まった健康寿命の調査は6月に5回目が実施される。懸念されるのは新型コロナウイルス感染の収束がいつになるのか。延伸傾向にある全国の健康寿命にも影響してくることになりそうだ。
からの記事と詳細 ( 健康寿命、男性36位→1位 知事も「うそだ」 大分、躍進の要因 - 毎日新聞 - 毎日新聞 )
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