神奈川県は二十一日、医療関係者らを集めた感染症対策協議会を開き、新型コロナウイルスに感染した自宅療養者のうち、重症化リスクが低い人への健康観察や安否確認を省略するなど保健所の業務負担を軽減することで合意した。黒岩祐治知事は新規感染者数が一月末に二万人に達するとの予測を示し、「業務が追いつかず、何かを捨てなければならない」と理解を求めた。(志村彰太)
県によると、オミクロン株の流行とみられる現状は、感染者のほとんどが軽症。重症用病床にいる患者も、調査した十三人のうち八人が他疾患が入院の直接の原因で、三人がデルタ株だったという。県は圧倒的に多い軽症者への支援を簡素化し、重症化リスクの高い人に支援を集中しなければ、医療体制を維持できないと判断した。
具体的には肥満や基礎疾患のある人、五十歳以上、五歳以下、血中酸素飽和度が95%以下のいずれかに当てはまる人を「重点観察対象者」とし、療養支援を優先する。これ以外の人には、保健師らによる電話での安否確認、健康観察を後回しにするか、取りやめる。
陽性の確認は現在、医療機関で検体を採取し「確定検査」をしなければならない。今後は、無料のPCR検査や、抗原検査キットでセルフチェックした結果を、受診した医療機関の判断で採用できるようにし、検査のために医療機関がパンクする事態を防ぐ。
主に家庭内感染を広げないための「隔離の手段」として設けている宿泊療養施設は、位置付けを変更する。重症化リスクの高い人に入所してもらい、医師が巡回するなど医療機関に準ずる施設とする。
現状よりさらに感染状況が悪化すれば、「重点観察対象者」への健康観察は、保健所だけでなく医療機関も協力する。それ以外の自宅療養者には血中酸素飽和度を測るパルスオキシメーターと食料品の配送をやめる。また、セルフチェックで陽性が出た人は医療機関を受診するか、受診せずに「自主療養」に入るか選べるようにする。
自主療養者には県のシステムに登録してもらい、学校や勤務先に提出する電子証明書を発行する。県による安否確認などはなく、療養は自己責任となる。県は自主療養者も感染者として扱うが、他の感染者とは分けて発表する方針。
自主療養者を登録するシステムは月内にも構築するが、利用開始は未定。自主療養者の体調が急変した場合の対応や、重症化リスクの高い人を見逃す可能性、虚偽の申請で証明書を取得するなどの課題が残されており、早急に検討する。
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