スポーツ選手を支える「スポーツ栄養学」に詳しい女子栄養大栄養学部の上西一弘教授が提唱するのは、食事トレーニングによる身体のコンディショニングだ。上西教授はこう話す。

「コロナ禍の長期自粛と健康2次被害ということで巣ごもり生活が引き起こすさまざまな健康問題が危惧されています。たとえば心身のストレスや筋力、体力の低下、コロナ太り、消化器、腸の不調などがあります」

心身へ与えるストレスとはつまりコロナ感染へ不安に加えて失業や倒産への心配、あるいは娯楽・レジャーなどを控えることでストレスを解消できないといった課題、そしてテレワークによる運動・活動不足、外出の自粛、巣ごもりの中で増える間食による肥満、さらには消化吸収力の低下や腸の不調により便秘になるといった状態が人々の間に増えているのだ。

今年9月、上西教授らが首都圏の20~60代の男女1000人に対して行った「コロナ禍の体調変化に関する調査」では体調変化があったと回答した人のうち、「悪い変化」と答えた人は全体の78%にも上った。

「生活が変わって規則正しくなることで良い変化があったと答える方もいましたが、4分の3が体調の変化で悪くなった。具体的には精神的なストレスがたまっているという人が多く、次いで体力が低下した、体重が増加した、筋力が低下した、あるいは肩や首の凝りが増えたなどの変化があったという答えでした」