さいたま市のNPO法人が、コンピュータゲームの腕前を競う「eスポーツ」の高齢者への普及に取り組んでいる。健康増進やコミュニケーション促進に重点を置く「シルバーeスポーツ」と銘打ち、行政機関や大学からも注目されている。
JR浦和駅(さいたま市浦和区)前にある市の複合公共施設の一室は、毎月1回、ゲームの画面を前に歓声を上げる高齢者らの熱気に包まれる。NPO法人「さいたま市民ネットワーク」が設立した「さいたま市民シルバーeスポーツ協会」の会員たちだ。
会員は約40人で、発足した2018年に比べると約7倍に増えた。「ストレス解消になった」「孫や子供と共通の話題ができた」と好評という。
目標はレベルの高いゲーマーの育成ではなく、健康増進や高齢者同士の交流を活発にすることにある。
NPO法人の理事長、森田孝さん(86)によると、複雑な指の運動を行うと大脳前頭前野への酸素供給が増えるという研究成果があり、ゲームの操作によって認知症の予防につなげることを目指している。
そもそも、eスポーツに着目したきっかけは、事務総長の水野臣次さん(64)が脳出血を起こして左半身がまひした際、病室でゲームをやっていたら症状が改善したことだった。
さいたま市も協会の取り組みを後押しし、健康づくりの活動に参加した高齢者にポイントを付与する市の制度の登録団体に指定した。また、協会は日本薬科大(埼玉県伊奈町)などと共同でシルバーeスポーツの研究会も開いている。
eスポーツの試合のため会員たちが台湾へ遠征する計画もあるといい、水野さんは「シルバーeスポーツを世界中に広めたい」と意気込んでいる。(中村智隆)
eスポーツ エレクトロニック・スポーツの略。PCや家庭用ゲーム機を使ってゲームの腕を争う競技で、格闘技やサッカーなど種目は幅広い。欧米や韓国で広まり、日本でもプロの選手やチームが生まれている。
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