ドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手3キャリアと、モバイル事業に新規参入して1年半が経過した楽天の決算が出そろった。政府主導で行われた料金値下げの影響を受ける形で、大手3社の通信事業は減益に見舞われている。対する楽天は、楽天モバイルのエリア拡大が途上ということもあり、1000億円を超える大幅な赤字を計上。基地局建設などのコストに加え、エリア補完用にKDDIから借りるローミングコストが重石になった格好だ。 楽天モバイルの契約数 料金値下げによる減益を非通信事業や法人で補おうとしている大手3社に対し、楽天は自社エリア拡大で来期の黒字化を目指すというのが大枠での状況だ。ここでは、4社の決算で分かった、モバイル業界のトレンドを読み解いていきたい。
料金値下げの影響が3社を直撃、ドコモはMVNOの基本料値下げも響く
ドコモ、KDDI、ソフトバンクともに、料金値下げの影響を受け、上期の決算ではそろって減益を記録した。ドコモの上期売上高は2兆3162億円と増収だったが、営業利益は4963億円と673億円の減収に見舞われた。KDDIも売上高は2兆6252億円で増収だったが、営業利益は5731億円で減益。ソフトバンクも2兆7242円の売上高に対し、営業利益は5708億円と上期は増収減益に着地した。 3社とも横並びで増収減益になった上期決算だったが、最大の要因は、やはり料金値下げだ。各社のARPU(1利用者あたりからの収益)を見ると、その影響が見て取れる。例えば、KDDIはマルチブランド通信ARPUが第2四半期で4270円まで低下。値下げに打って出た前年度の第4四半期から、徐々にARPUが落ち込み始めていることが分かる。ソフトバンクも、主要回線の総合ARPUは4090円で、前年同期の4300円から下落幅が大きい。 KDDIとソフトバンクは、UQ mobileとY!mobileそれぞれで料金値下げを行っており、ここに流れるユーザーが多いことがその一因だ。さらに、povo2.0やLINEMOといったオンライン専用プランへユーザーが移行することも、ARPUを引き下げる要素になる。ソフトバンクの代表取締役社長兼CEOの宮川潤一氏は、「(今は)ソフトバンクブランドからY!mobileやLINEMOに移動する方が絶対値として多い。(中略)本当は1対1ぐらいで循環してくれれば減益はしないが、残念ながらY!mobile側に移動する数の方が多い」と語る。 一方で、ドコモは少々事情が異なる。同社にはUQ mobileやY!mobileに相当するサブブランドがなく、こうした価格帯を求めるユーザーの受け皿としてオンライン専用プランのahamoを立ち上げたが、モバイルのみに限定したARPUは前年上期の4250円から変化していない。ahamoは、「移行による収入減もあるが、加入数が増え、(他社からの)ポートインも相当ある」(代表取締役社長 井伊基之氏)ため、収益源にもなっている状況だ。 ドコモの減収要因は、「どちらかというと、MVNOへの音声料金の値下げがほとんど」(同)だという。大手キャリアの値下げを受け、総務省はMVNOに回線を貸し出す際の料金見直しを要請。結果として、基本使用料が大幅に下がり、それを原資にMVNO各社が値下げに踏み切っているが、ドコモ回線を使うMVNOはユーザー数が多いこともあり、影響がドコモ自身に直撃した格好だ。KDDIやソフトバンクに比べ、21年の料金値下げの減収効果が間接的だったといえる。 中身は少々異なるが、3社とも減益しているのは事実。各社とも、ソリューションを含めた法人事業や、金融・決済などを中心とした非通信領域を新たな収益源にして、通信料金の値下げ影響を最小限にとどめようとしている。5Gの普及に伴い、ユーザーのデータ使用量が増えれば、「(データ容量無制限の)定額制を使う方が、ソフトバンクに戻ってくる」(宮川氏)見込みもあるが、こうしたトレンドになるには、まだ時間がかかりそうだ。
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