快適な睡眠は、食事、環境、寝具の組み合わせによって得られる人間のなくてはならない生命活動だ。近年、日本では、睡眠負債やコロナ禍での睡眠環境の乱れから、睡眠診療の受診や食生活の改善、寝具の見直しなど、消費者はかつてないほどに快眠を求めている。こうした流れを受け、健食業界では「睡眠」関連サプリメントの開発が活発化している。機能性表示食品の受理件数も300品に迫る勢い。また、テクノロジーを使って睡眠の質を分析するスリープテックや医師と連携した寝具の開発など、より高いレベルでの睡眠提案が活発になってきた。 ■睡眠時間、日本人が先進国最短 厚生労働省の「令和元年国民健康・栄養調査」によると、20歳以上の男性2667人、女性3035人のうち、「日中眠気を感じた」と回答した人の割合は、男性が32.3%、女性が36.9%に上った。また、「睡眠の質に満足できなかった」との回答は、男性が21.6%、女性22%となり、睡眠の質に不満を感じている人も一定数いることが分かった。2019年のOECDによる世界の睡眠時間に関する調査によると、日本人の睡眠時間は先進7ヵ国の中で最も少ない7時間22分だった。 日本では近年、仕事や生活習慣のストレスから睡眠不足が積み重なる「睡眠負債」という言葉が浸透しており、さらにコロナ禍のテレワークにより、ストレスはもちろん、在宅中に仮眠を取り、夜に眠れないなど睡眠環境が乱れている人が増えているという。 現在、我が国の睡眠市場は3兆円とも言われているが、食品や寝具、テクノロジーや医療など睡眠にかかわる産業が密接に結びついているため、はっきりとした数字は特定できない。しかし、良質な睡眠は健康寿命を延ばし、結果的に、日本の医療費削減にも繋がることから、各産業界では睡眠で悩む人を取り込むことに注力している。 久留米大学の学長で、日本睡眠学会学会の理事長である内村直尚氏は、「免疫力を上げるには、睡眠が有効で、コロナ禍においてはバランスの良い食事と眠りにつくタイミングも重要だ」と説く。「睡眠は成長ホルモンが分泌され美容効果や認知症の予防にも繋がる」とも話す。 ■機能性表示食品の受理は昨対2ケタ増 消費者の快適な睡眠を求めるニーズを受け、快眠を訴求する健康食品の市場が拡大している。GABA、L-テアニンなどを機能性関与成分とした睡眠の質を高める機能性表示食品は年々増加。「睡眠」カテゴリーの機能性表示食品の受理件数は、279品(2021年9月9日時点)となっている。ここ数年の動きではラフマ由来ヒペロシドやサフラン由来クロシンなどの利用が増えている。 サプリメントは、通販ルートでは味の素の「グリナ」とライオンの「グッスミン」が市場を牽引している。店販ルートではハウスウェルネスフーズの「ネルノダ」シリーズ、アサヒグループ食品の「ネナイト」シリーズ、大塚製薬の「賢者の快眠」シリーズなどがドラッグストアなどで支持されている。特に、「ネナイト」シリーズは、テレビCMを通じて、若い男性層にも売れ始め幅広い世代に浸透。2年連続で2ケタアップの売上となった。 沖縄で自生する眠り草とも呼ばれるクワンソウも注目度が上昇。県内事業者による地道な活動が実り、近年は、サプリメント、飲料、お茶など、様々な形態の商品が流通。機能性表示食品の組合せとしての利用も増えている。 ■寝具やテクノロジー製品が市場押し上げる 一方、寝具業界では、2020年の特別定額給付金の恩恵を受け、高価格帯のマットレスなど、ステイホームを快適に過ごす寝具が売れたという。センサー付きのマットレスやポリエチレン樹脂を使い通気性を高めながら、スプリングのような高反発のマットレスの開発なども見られる。 また、睡眠時の脳波を測る機器は食品メーカーなどに支持されている。食品メーカーにとっては、特定の食品を摂取後、睡眠の質改善に繋がったデータを元に機能性表示食品に必要なエビデンス取得に役立てているという。医師と連携してエビデンスある製品に認証する「AskDoctors」マークは、寝具などの売り上げ増に繋がっているという。
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