「ASUS Expert B9 9400CEA」は、ASUS JAPANのビジネスPCブランド「ASUS Expert」シリーズのフラッグシップに位置づけられるプレミアムな薄型モバイルPCだ。
14型の液晶ディスプレイで約1kg、薄さが約14.9mmのボディーにハイスペックなパーツ搭載しており、上位モデルはIntelが最高の体験ができるPCと認める「Intel Evoプラットフォーム」認定も受けている。
今回はその上位モデル(B9400CEA-KC0749R)の評価機を入手した。その実力を検証しよう。
厚さ約14.9mmのスリムでソリッドなボディーを採用
まず外観を見ていくと、厚さ約14.9mmのボディーは存在感が際立つ。「スターブラック」と呼ばれるマット塗装で、フラットなスタイルに、画面占有率94%のスリムベゼル、軽量かつ硬質な外観が印象的だ。実機を目にして触れてみると、普及機とは一線を画すプレミアムな上質感を確かめられる。
ボディーの具体的なサイズは、約320(幅)×203(奥行き)×14.9(厚さ)mmだ。サイドのカットラインからボディーを絞っているように見えるが、実際にはフラットなスタイルになっている。重量は約1005gと軽量で、楽々と持ち運ぶことができる。
ボディー底面と液晶ディスプレイ天面はマグネシウムリチウム合金、キーボードベゼル/パームレスト部はマグネシウムアルミニウム合金を使い、CNCミルド製法による高精度なビルドで軽量化と頑丈さを両立。米軍調達の基準を定めた「MIL-STD-810H」規格の厳しいテストに合格する頑丈ボディーと耐久性を備えている。
公称約16.3時間のロングバッテリーで2種類のACアダプターが付属
バッテリーは66Whと大容量タイプを内蔵しており、公称のバッテリー駆動時間は約16.3時間とモバイルPCとしても長い。
ACアダプターはUSB Power Delivery(USB PD)対応で65W仕様だ。ややサイズが大きめで急速充電対応のアダプターと、交換用プラグが付属する超小型アダプター(ウルトラミニ・ユニバーサルアダプター)の2種類が付属している。
充電端子は、Thunderbolt 4(USB Type-C)を利用する。2基あるポートどちらでも充電に利用できる。USB PDに対応しているので、いざという時には市販のACアダプターやモバイルバッテリーを使うことも可能だ。

続いて、液晶ディスプレイや内部スペックを見ていこう。
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見やすい14型液晶ディスプレイを搭載
液晶ディスプレイのサイズは14型で、画面解像度は1920×1080ピクセルだ。表面は映り込みの少ないノングレア仕上げで、長時間使っても目が疲れにくい。評価機は輝度が322ニトと明るさも十分で、色域もsRGB約100%カバーするパネルが使われていた(i1 Profilerでの計測)。
画面側の非表示部が左右は約4mm、上部が約8mmというスリムベゼルデザインを採用しており、画面占有率は94%と高く、フレームレスという感覚に近い没入感がある。それでいてWebカメラとマイクを画面の上部に内蔵し、自然なアングルで配信できることも見逃せない。
Webカメラにはスライド式の「プライバシーシャッター」を用意する。レンズ部分を物理的に覆えるので、カメラに映りたくない時に確実に映像をカットできる。「設定ミスで配信されているのではないか」「リモートで盗撮されているのではないか」といった生産性の低下につながる不安要素を完全に排除できるのはうれしい。

ワンランク上のキビキビ動作を実現するIntel Evoプラットフォーム
ASUS Expert B9 9400CEAシリーズのCPUは、Intelの開発コード名「Tiger Lake」を採用している。上位モデルの評価機は、4コア8スレッドのCore i7-1165G7(下位モデルはCore i5-1135G7)、メモリは16GB(LPDDR4X-4266)、ストレージは1TBのPCI Express SSD(PCI Express 3.0 x4)を搭載している。
この上位モデルは、Intelが最高の体験ができるモバイルPCであると認める「Intel Evoプラットフォーム」の対象モデルでもある。Intel Evoプラットフォームは、単純なスペックだけでなく、PCの起動やスリープからの復帰のレスポンスや画面やサウンドまで含めてガイドラインがあり、その要件を満たした製品のみが認定される。
実際に使ってみても、やはり似たようなスペックの普及モデルとはワンランク違うキビキビ感がある。CPU(内蔵GPU)、メモリ、ストレージ、チップセット(PCI Expressや各種パーツの電力管理)までエコシステムを形成し、トータルで最適化が図られている成果が出出ていると思われる。バッテリー駆動時間が長いのもこうした最適化の恩恵だろう。
次に、インタフェース回りをチェックする。
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マルチに使えるThunderbolt 4端子を2基搭載
ボディーの左側面にThunderbolt 4 (USB Type-C)ポートを2基備えており、どちらのポートでも最大40Gbpsのデータ転送速度、デュアル4Kディスプレイ出力、USB PDによる充電が利用できる。
USB 3.2 Gen 2 Type-A端子を1基、4K映像出力に対応したフルサイズのHDMI 2.0、ヘッドフォン/マイク兼用端子(3.5mm)を搭載するなど、薄型としては充実した内容だ。
通信機能は、Wi-Fi 6対応の無線LANとBluetooth 5.1を標準で備える。付属する専用アダプター(microHDMI形状)を使えば、有線LAN(1000BASE-T)も扱える。
「ASUS Business Manager」で強固なセキュリティ機能が利用可能
パームレスト右には指紋センサーを搭載しており、Windowsに指紋を登録しておけば、PCがロックされた状態から、指でサッと触れるだけでスピーディなログインができる。内蔵のカメラもWindows Helloに対応しているので、登録した顔を画面に向けるだけでスムーズなログインも行える。
また、PCを物理的に固定して盗難を防止するワイヤーを装着するためのセキュリティロック・スロットも装備している。
セキュリティツール「ASUS Business Manager」を標準で導入しており、ハードウェア暗号鍵(TPM 2.0)による強固なセキュリティ保護を利用できる。ストレージの暗号化「Security Drive」やUSBメモリなどのアクセス制限を行う「Security Guard」、漏えい防止のためファイルを完全に消去する「File Shredder」など強力なセキュリティ機能を活用可能だ。
浮かび上がるテンキー「NumberPad 2.0」を搭載
キーボードは6段のアイソレーションタイプだ。主要キーのキーピッチは約18.75mmとゆとりがあるが、右端のキーはかなり狭くなっているキーがある。加えて、Deleteキーと電源ボタンの配置はやや違和感があるところだ。特に、電源ボタンがミスタイプしやすい場所にあるだけでなく、長押ししなくともすぐに反応してしまう仕様でソフトウェアの調整で改善できるなら対応してもらいたい部分だ。
キーの入力感も良好で、キートップにはわずかなくぼみがあるため指がキートップに自然になじみ、スイッチの感触も反発が強すぎることなく安定している。長文入力時も快適に行え、疲れを感じにくい仕上がりだ。
入力音は静かで、配信時などにタイプ音が耳障りになるといったことはないだろう。防滴仕様で1000万回のキー入力テストを実施するなど、耐久性にも配慮しているのはうれしいところだ。
キーボード手前には、タッチパッドとクリックボタンを一体化したマルチタッチ・パッドを搭載する。ゆったりとしたサイズで滑りも良好だ。Windows 10標準のジェスチャー機能も快適に扱える。
マルチタッチ・パッド上に、LEDでテンキーが浮かび上がる「NumberPad 2.0」を装備する。パッドの右端にあるオン/オフボタンの反応も絶妙に調整されていて、誤操作の不安なく、テンポよくパッド機能とテンキー機能を使い分けられる。パッド左上にあるマークをスワイプすることで電卓を起動できるので、ちょっとした際に役立つ。
最後に、ベンチマークテストで本製品の性能を確認する。
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ビジネスシーンで快適に利用できるパフォーマンス
ベンチマークテストの結果を掲載する。MyASUSのモードについては、評価機の「パフォーマンスモード」の挙動が安定しなかったため、「スタンダード」で統一した。猛暑日が続くタイミングでのテストだったこともあり、環境の影響が顕著に表れたようだ。これは製品発売前の試作機ゆえという部分もあるだろう。
いろいろな条件で試した末、外気温33〜34度、室温25〜26度の室内で比較的エアコンに近い場所(直線距離で1.5m程度)で測定したスコアを中心に掲載しているが、この条件で測定する限りは、どのテストでもCore i7-1165G7搭載機として順当なスコアが出ている。
ただ、測定する場所の温度や前回実行時とのインターバルなどによってスコアは敏感に変動する。特に3D描画系では変動の度合いが大きく、半袖でも少し暑さを感じるくらいの室温(28〜29度程度)になると、FINAL FANTASY XIV:暁のフィナーレベンチマークのスコアが6割程度になってしまうような場面も見られた。
バッテリーの駆動時間は、PCMark 10/Modern Office Battery Lifeでテストしたが、ディスプレイの輝度50%で公称値に近い駆動時間を確認できた。バッテリー駆動時のパフォーマンスも高速だ。


アイドル時はほぼ無音で、静音性も優秀だった。高負荷時に少し大きくはなるが、空調を強めにかけていると意識しないと分からない程度にとどまる。放熱口がヒンジ奥にあることもあって、体感では高負荷時でもほとんど気にならなかった。
また、動作時はボディーのヒンジ奥を中心に発熱するが、全体に低めの温度が保たれる。室温が低い時はもちろん、多少室温が高めの状態でもパームレスト部は体温以下に保たれており、不快な熱を帯びるということはなかった。
生産性向上に貢献してくれるプレミアムモバイルPC
ASUSストアでの販売価格は、Windows 10 Pro(64bit)プリインストールモデルで税込み21万8900円だ。CPUがCore i5-1135G7でメモリとSSDの容量を本機の半分にした下位モデル(B9400CEA-KC0751R)は同19万1400円となる。約1kgの薄型軽量ボディー、ビジネスシーンで快適に使えるパフォーマンスとロングバッテリーを両立させ、画面の品質、セキュリティ機能も兼ね備えており、アクティブなビジネスユーザーの生産性を向上させてくれることは間違いないところだ。この内容を考えると、納得できる価格だろう。
本製品は、通常の1年保証に加えて、購入後30日以内にMyASUSにユーザー登録するだけで手厚い保証が受けられる「ASUSあんしん保証」が付帯するのも魅力だ。さらに有償の拡張保守サービスも、個人向け、法人向けともに用意されている。長く安心して使いたいユーザーにとってはこの点もプラス要素だろう。
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