
環境省は全国の大学生らを対象に東京電力福島第一原発事故に伴う放射線による健康影響について正しく理解してもらうための事業を今秋、開始する。子や孫に何らかの影響が出ると考えている国民が少なくないことに対応した取り組みだ。次世代を担う子どもたちが差別や偏見にさらされることがないよう、科学的根拠に基づく正しい情報の発信と浸透に努めてほしい。 国連放射線影響科学委員会は二〇一三(平成二十五)年に原発事故後の県民への影響について「被ばくした人の子孫に遺伝的な疾患が増加するとは予測していない」とする報告書をまとめた。その後も見解を維持し、二〇二一年三月には「放射線に関連した将来的な健康影響が認められる可能性は低い」とする改訂版を公表した。ところが、環境省が全国の成人男女四千二百人を対象に行ったアンケートでは次世代に影響が出る可能性が高いと答えた人の割合が41・2%を占めた。県内でも26・9%に上った。
東日本大震災と原発事故から丸十年が経過し、事故や放射線などへの人々の関心が薄れてきている。新たな情報に触れる機会が減ることで、放射線の健康影響に関する誤った理解が固定化する懸念がある。県内の首長からも正しい知識を普及させるよう求める声が上がっていた。 新たな事業では、放射線の基礎、遺伝性影響などをテーマに専門家を招いて勉強会を開く。百回程度の開催を想定しており、東北、関東、関西など全国を七ブロックに分け、学生らが学習内容を発表し情報を共有する。その様子は、国が開く風評払拭[ふっしょく]のためのシンポジウムなどで披露するほか、ホームページに掲載し若い世代に伝える。 科学的な根拠に基づいた正しい情報を発信し、浸透させていくためには、震災と原発事故への関心を高め、より多くの学生に勉強会などに参加してもらう必要がある。環境省は学生からの申し込みを待つばかりでなく、復興庁や文部科学省などと連携し、学生や大学などにも開催を働き掛けるべきではないか。
小泉進次郎環境相は「正しい知識を広め、福島県民へのいわれなき差別をなくす」と述べ、来年度以降も事業を実施し、誤った理解をしている人の割合を二〇二五年までに今回調査の半分に減らす目標を掲げた。環境省は学生らの学びの場を継続して確保するとともに、若い世代だけでなく国民全体、さらには国外に向けても科学的根拠に裏付けされた正しい情報の発信を強化すべきだ。(円谷 真路)
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