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Friday, April 30, 2021

明治の牛乳宅配 ネットワーク活用し“地域の健康見守り役”へ、「明治メイバランスのむヨーグルト」で栄養面をサポート - 食品産業新聞社

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明治の牛乳宅配 ネットワーク活用し“地域の健康見守り役”へ(画像はイメージ)

明治の牛乳宅配 ネットワーク活用し“地域の健康見守り役”へ(画像はイメージ)

93年の歴史がある明治の牛乳宅配が、シニアへの運動提案・栄養提案、配達の際の見守りサービスへ、役割が変わろうとしている。

牛乳宅配は近年、顧客の高齢化が進んでいる。2021年2月、明治は外食のワタミと協力し、宅配商品の牛乳類と冷蔵弁当「ワタミの宅食」を一緒に配達する取り組みを始めた。4月からは、自社の栄養食ブランド「明治メイバランス」から宅配専用のヨーグルトを発売した。従来から扱う牛乳類に、冷蔵弁当、栄養素豊富なヨーグルトが加わったことで、シニアの1日の食をカバーする宅配の商品が揃った。

時代遅れと見られがちだった「牛乳宅配」が、全国に張り巡らされたネットワークを活かし、今こそ強みになる時が来ている。全国に特約店約3000店舗を持ち宅配シェアNo.1の「明治の宅配」は、シニアの見守りと栄養サポートの社会的役割を担おうとしている。

牛乳宅配の市場は現在900億円といわれ、明治はその46%のシェアを占める。市場自体は縮小傾向にあるが、明治は販売店オーナーが高齢化した店舗の統廃合を進め、1店当たりの規模を拡大している。全国約250万軒の宅配顧客のうち、集中しているエリアは北陸や山陰、長野県、新潟県などで、地方に顧客が多い。特約店は人口減少、高齢化の加速、単身シニア世帯の増加とその課題を、日々目の当たりにしている。

そこで近年力を入れ始めたのが、宅配センターを地域のシニアの健康課題(栄養、運動、社会参加)を解決していく拠点にしていく取り組み。シニアの中でも対象者は、「ギャップシニア」(2014年に日本総研が命名)と呼ばれる人たち。体力の衰えなどで、やりたいことと、できることに、ギャップが出てきたシニアのことだ。この層がコロナ禍で活動機会が減り、食事の栄養バランスも乱れがちになって、一見元気そうでも、フレイル(虚弱になり身体の機能が低下すること)の進行が懸念されているという。

フレイルが社会的な問題となり始めた2020年春、明治は牛乳宅配で栄養飲料「明治メイバランスMiniカップ」の取り扱いを全国で始めた。これに加え、配達員がフレイル対策や適切な栄養の摂り方について説明する取り組みも始めている。そしてここにワタミの弁当と「明治メイバランスのむヨーグルト」が加わったことで、より日々の食事にまで踏み込んだ栄養提案ができるようになった。

「明治メイバランスのむヨーグルト」は、栄養飲料と同じ6大栄養素(たんぱく質、脂質、糖質、食物繊維、11種のビタミン、7種のミネラル)が入っている。「栄養を総合的に摂る」というコンセプトは共通だが、異なる点は、「明治メイバランスのむヨーグルト」は通常の食事が食べられるギャップシニア向けのため、カロリー、糖や脂質に配慮していること。様々な機能性をもつ糖質源である「フラクトオリゴ糖」と、エネルギーになりやすい中鎖脂肪酸を配合し、100kcalに抑えている。発想は「足りない栄養素を補う」のではなく、「(シニアの体の土台となる)ベースの栄養を整える」という考え方。

「明治メイバランスのむヨーグルト」宅配専用びん100ml

「明治メイバランスのむヨーグルト」宅配専用びん100ml

 
牛乳宅配は自宅用だけでなく、遠方に住む両親や祖父母、親戚などの安否確認も含め、30~40代も契約する時代に移り変わりつつある。実際、「明治の宅配」契約者の中にも、そうした「親のため」という人もおり、コロナ禍でその需要は高まってきている。また今は在宅率が上がったことも背景に、早朝の配達よりも昼配達の方が増えている。契約者(シニアの子供など)の意向もあり、あえて手渡しで商品を届けるケースも増え、そこでは主婦の配達員が活躍している。

宅配車を運転する配達員

宅配車を運転する配達員

 
「一人暮らしの見守りを兼ねて、声かけを積極的に行っている特約店もある。歩くことに特化した健康の研究『中之条研究』に基づいて、厚労省が推奨する『1日8000歩』のうちの計20分間の速歩きを、健康維持・増進のため勧めている。記録帳を渡し、1カ月結果を記録した人に商品をプレゼントするなど、顧客との会話とコミュニケーションを特に重視している」(小池康文マーケティング本部牛乳マーケティング部宅配グループ)。
 
明治の牛乳宅配センターは、看板はそのままに、地域のシニアをサポートする「ウェルネスセンター」への発展を今後加速させていく。サービスの領域を広げ、シニアの健康を体の中と外から支える「明治の宅配」が、シニアの子供世代からも必要とされていくのか、2021年は「宅配のかたち」が大きく変わりそうだ。
 
〈食品産業新聞2021年4月26日付〉

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