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Thursday, April 15, 2021

3Gから4G、そして5Gへ モバイル通信の進化で業界のトレンドはどう変わった?:ITmedia Mobile 20周年特別企画(1/4 ページ) - - ITmedia

seserpeer.blogspot.com

 ITmedia Mobileが創刊20周年を迎えた。筆者が自身の連載「石野純也のMobile Eye」をスタートさせたのは2012年1月のことで、丸9年の間、書き続けてきた。当初は隔週だった連載も、いつの間にか週刊になり、今に至っている。当初、ここまで長く続くとはまったく思っていたが、モバイル業界はニュースも多く、連載も穴を開けることなく続けてきている。9年というと、ITmedia Mobileの歴史のほぼ半分に相当する計算だ。

 記念すべき(?)連載第1回のテーマは、CES 2012でのソニーモバイルとKDDIのスマートパスポート構想、そしてWireless City PlanningのAXGPだった。ここで取り上げた「Xperia S(Xperia NX)」は、3Gのスマートフォン。KDDIやソフトバンクも、LTEのサービスは開始していなかった。ドコモは2010年12月に、他社に先駆けLTEを商用化していたものの、対応スマートフォンが発売されたのは2011年11月のこと。当時はちょうど、LTE対応スマートフォンが出始めのころだった。

石野純也 筆者の連載第1回目が掲載されたのは、2012年1月20日だった。足かけ9年以上、掲載が続いている

2001年には384kbpsだった通信速度は、20年で5000倍近く上昇

 モバイルの通信規格は、おおむね10年に1回、世代が進むといわれている。実際、日本では5Gがスタートしたのは2020年だったが、3.9Gとも呼ばれたLTEのサービスインは上記の通り2010年で、ちょうど10年の間が空いていることが分かる(なお、厳密に言えば4Gはキャリアアグリゲーションを採用したLTE-Advancedを指す言葉だが、ここでは便宜上、LTE=4Gとして扱っていく)。さらにさかのぼると、3Gの商用化は2001年。LTE開始までにかかった期間は9年になり、通説が正しいことを証明する。2GのPDCは1993年にサービスを開始し、次世代の登場までに8年間かかった計算だ。

 もともとは音声通話のために使われていた携帯電話だが、2Gの途中でiモードが登場したことにより、データ通信サービスが一気に花開く。といっても、当初の通信速度はわずか9.6kbpsと10kbpsにも満たない。2001年にドコモがFOMAとして開始した3Gでは、これが384kbpsに拡大した。3Gにはデータ通信に特化した拡張規格のHSPAがあり、ダウンロードを高速化したHSDPAの採用が2006年に登場。通信速度は3.6Mbpsにまで拡大した。

P2102V 初代FOMAの1機種である「P2101V」。第3世代になり、通信速度は384kbpsまで拡張した
N902iX HIGH-SPEED ドコモ初のHSDPA対応端末「N902iX HIGH-SPEED」。ガンダムっぽいデザインでも話題を集めた1台だ

 LTEは、この約10倍にあたる37.5Mbpsで2010年12月にサービスをスタート。利用できる周波数帯を追加していくことで、現在は1Gbpsを超える速度を出せるようになった。ITmedia Mobileの前身となるZDNet Mobileが開設した2001年には384kbpsだった通信速度が、今では2Gbpsを超えていると思うと、その進化の速さには驚かされる。2020年で5000倍近く速度が向上した結果、モバイルのサービスは劇的に変わった。2001年当時には考えられなかったモバイルでの動画視聴なども、今では当たり前のようになっている。

Xi 2010年12月にLTEの商用サービスである「Xi」のサービスが開始された。写真はセレモニーの様子。左から2番目が、当時のドコモ代表取締役社長の山田隆持氏

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世代交代を進めるために必要なキラー端末/サービス

 もっとも、新規格がすぐに普及するとは限らない。むしろ世代交代を進めるには、キラーとなる端末やその上で楽しめるサービスが必要だった。例えば、3Gの普及はドコモの900iシリーズで潮目が大きく変わっている。900iシリーズでiアプリを拡張し、「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」といったゲームが遊べることは大きな話題を呼んだ。こうしたアプリも、通信速度の速い3Gならダウンロードできるというのは、通信規格の進化を分かりやすく示した一例といっていい。

900iシリーズ 2004年に発売された900iシリーズで、3Gがドコモケータイの“本流”になった。メガピクセルカメラやiアプリの容量拡大、動画機能のiモーションなどが売りだった

 上記はW-CDMAを採用したドコモのケースだが、CDMA側も同様に世代交代が進み、2003年にはCDMA2000 1x EV-DO方式を採用した「CDMA 1X WIN」が登場。当時のダウンロード速度は2.4Mbpsで、HDPA未導入のW-CDMA陣営より高速で通信できた上に、パケット定額制の「EZフラット」を初めて導入した。定額制のインパクトは大きく、コンテンツの大容量化も進んでいく。音楽ダウンロードサービスの「着うたフル」がauから登場したのも、通信規格や端末、料金プランという下地があったからこそだ。

WIN 初のWIN端末として登場した「W11K」(左)と「W11H」(右)。端末以上にインパクトが大きかったのが、パケット定額制の「EZフラット」。他社に先駆け導入したことで、auは競争上優位になった

 LTEの普及も同様で、キラーとなる端末やサービスを待たなければならなかった。LTE普及の立役者となったのは、他でもないスマートフォンだ。ただし、日本での初代iPhoneとなる「iPhone 3G」が登場したのは2008年のこと。Androidの第1号機となった「HT-03A」は、その翌年の2009年にドコモから発売され、いずれもLTEのサービス開始前に3G端末として市場に投入されている。そのため当初は、スマートフォンを使いこなすのに十分な通信速度は出ていなかった。通信インフラが常時接続を前提にしていたスマートフォンに追い付いていなかった結果、ドコモやKDDIでは大規模な通信障害も発生してしまった。

iPhone 3G 黒船として2008年に日本に上陸したiPhone 3Gだが、その名の通り、当時の通信方式はまだ3G。LTE対応のiPhoneが登場するのは、4年後の2012年だ

 こうした中、LTEに対応した2012年の「iPhone 5」の登場に合わせ、KDDIやソフトバンクもLTEのサービスを開始。翌2013年のiPhone 5sをドコモが導入し、3社でiPhoneが横並びになったことで、LTEのエリア競争が加速した。端末が横並びなら、広くて速いLTEを提供するキャリアが選ばれるという理屈だ。キャリアアグリゲーションが導入されたのは、その翌年の2014年。異なる周波数を束ねることで、LTEの通信速度は年を追うごとに高速化していく。

iPhone 5 初のLTE対応iPhoneである「iPhone 5」。auとソフトバンクが取り扱い、ほぼ同時にLTEのサービスを開始。ここから、エリア競争が激化していく

 それに伴い、スマートフォン上で提供されるサービスも徐々に高度化。当初はTwitterなど、文字ベースのSNSがスマートフォン上で流行したが、写真を中心にしたInstagramや動画ベースのTikTokなど、さまざまなサービスが生まれ、普及していった。動画や音楽のサブスクリプションサービスがスマートフォンで利用できるのも、LTEが広く行き渡ったからこそだ。また、今ではほぼ全てのスマートフォンユーザーが利用するLINEが登場したのも、2011年のLTE普及前夜だった。

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キャリアのビジネスモデルは垂直統合から水平分業へ

 端末やサービスの変化からも分かる通り、キャリア側のビジネスモデルも通信規格の進化によって大きく変わった。垂直統合型から水平分業型への移行といってもいいだろう。型番やメニューの細部に至るまで仕様をキャリアが決め、その上で展開するサービスでも主導権を握っていたのは3G時代まで。LTEでスマートフォンが普及して以降は、グローバル仕様の端末が増え、サービスもサードパーティーが提供するものが主流になった。

ドコモ 3社とも、サービスやアカウントのオープン化に踏み切ったのは、スマートフォン普及後の動向を踏まえてのこと。ビジネスモデルが垂直統合型から水平分業型へと変化したことがうかがえる。写真は2018年5月にドコモが会員基盤を軸とした戦略を発表したときのもの

 キャリアもこうした変化を踏まえ、サービスのオープン化を進めてきた。代表的なのは、d払い、au PAY、PayPayなどの決済サービスだが、動画や雑誌などのコンテンツサービスも、他キャリアに開放している。逆に、もともとEコマースや金融などのサービスを中心に提供してきた楽天が、2020年4月に第4のキャリアとして通信事業に本格参入したことも記憶に新しい。約20年かけて通信規格が変わり、それを取り巻くビジネスも様変わりしたというわけだ。

 そして、2020年3月には大手キャリア3社が5Gを導入。参入直後の楽天モバイルはやや後れを取ったが、半年後の9月に5Gを商用化した。4G以上の超高速・大容量や低遅延、多端末接続が実現するのが5Gの特徴。3GからLTEになったときのように、変調方式が変わったわけではないが、より高い周波数帯が使えるようになった他、SA(スタンドアロン)方式では、コアネットワーク自体も5G専用のものに置き換わり、MEC(マルチアクセス・エッジ・コンピューティング)やネットワークスライシングなどが利用可能になる予定だ。

5G 2020年3月に、3社がそろって5Gのサービスをスタートさせた

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まだ見えぬ5Gのキラーサービス コロナ禍のトレンドがヒントに?

 一方で、現在進行形でエリアの拡大が進む5Gのキラーサービスが何になるかは、まだ見えていない。契約者は順調に増えているものの、どちらかというと5Gを目当てにしているわけではなく、最新のスマートフォンを購入したら、5Gに加入することになったユーザーの方が多いだろう。楽天モバイルやY!mobileは自動で5G契約に切り替わる上に、各社のオンライン専用プランは4Gと5Gを区別していないため、今後も見た目上、契約者数の増加は加速していくはずだ。状況としては、先に挙げた900iシリーズ登場以前だった3Gや、iPhone 5登場前のLTEに近い印象を受ける。

 大容量や高速通信を生かす端末として、サムスン電子やファーウェイ、モトローラなどからフォルダブルスマートフォンが続々と登場している。スマートフォン事業からの撤退を表明したが、LGエレクトロニクスがここ数モデルで打ち出してきたデュアルスクリーンも、こうした流れに沿った端末といえそうだ。一方で、フォルダブルスマートフォンはまだ価格が高く、一般的なユーザーが簡単に手を出せるものにはなっていない。これがどこまでスタンダードなものになるのかは、もう少し状況を見守っていく必要がありそうだ。

Galaxy Fold 写真は初代「Galaxy Fold」。サムスン電子がリードするフォルダブルスマートフォンは評価が高い半面、価格の高さがネックになり、本格的な普及の兆しはまだ見えていない

 ただし、その萌芽のようなものは見えている。1つは、コロナ禍でにわかに脚光を浴びたオンライン会議。Zoom、Teams、Google Meetなど、さまざまなサービスがあるが、これらをより高画質で、かつ気兼ねなく使おうと思ったら、やはり容量に制限がない5Gの方がいい。リモートワークの広がりを受け、PCやタブレットの販売台数が急拡大したのも、5Gにとって追い風だ(全てがモバイル通信対応ではないが)。こうした販売動向の変化には、次のスマートフォンに対するヒントが隠されているような気がしている。

 また、5Gは売りの1つに超多端末接続がある。スマートフォンをはじめとする、携帯電話以外のデバイスも通信につながることが想定されているというわけだ。個人向けのIoTデバイスが徐々に身近になる一方で、その多くは接続をWi-FiやBluetoothに頼っている。こうしたところに5Gが入り込んでいければ、思わぬヒット商品が生まれるかもしれない。現状では、「データシェア」のような複数回線を持つ仕組みが不十分なため、5Gでの多端末接続を前提に、各社にブラッシュアップしてほしいと感じている。

 20周年を迎えたITmedia Mobileだが、通信規格にしておよそ2世代分を丸ごと見守ってきたことになる。次の節目は30周年。そのころには、5Gが日本全国で当たり前のように使えるようになり、6Gのサービスが開始されている可能性もある。そのサービスインをいち早く報じられるよう、ここからの10年の健闘にも期待したい。筆者も(発注さえしていただければ)、微力ながら編集部を支えていきたいと考えている。改めて、20周年、おめでとうございます。

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