毎日8000歩! 運動習慣目標を達成、血圧や肥満を改善、健康年齢が若い…などの評価で保険料が安くなり、還付金がもらえる「健康増進型保険」の加入者が増えている。「もしも」のときの金銭保障に加えて、専用アプリやウェアラブル端末などを通じて「日常」から元気を支援する新しい保険の仕組み。コロナ禍での健康意識の高まりも追い風だが、健康悪化で保険料が上がってしまう商品もあり、自分にとってのメリットの見極めが肝心だ。(重松明子)
「保険契約される方の思いは、給付金を受け取るよりも『そもそも病気になりたくない』との願いが勝る。当社の『インシュアヘルス』(保険+健康を意味する造語)商品は、そこにタッチしたいと開発されました」。SOMPOひまわり生命保険、経営企画部の小澤亮さんが語った。
同社は平成30年4月に主力保険商品を健康増進型の「リンククロスじぶんと家族のお守り」にバージョンアップし、20万人超が加入。認知症保険など全商品を健康増進型へと、切り替えを進めているところだ。
加入者には追加料金なしで「健康☆チャレンジ!」制度を付与するのが特色で、専用アプリで生活習慣病リスク予想や食生活改善をサポートする。禁煙達成や健康診断結果で改善が認められると保険料を減額し、支払った保険料と改定後の差額を契約時に遡(さかのぼ)って還付する。チャレンジ参加者の8~9割が健康改善に成功。1人あたり年間平均1万2000円の保険料減額、平均2万7000円が「祝い金」として還付されている。
横浜市内で妻子と暮らすメーカー勤務の営業マン(46)は過去に大腸がん手術をしたが、2年前に同保険に切り替え、がん根治とコレステロール正常値のチャレンジ達成が認められた。「病気になっても保険に入り直せて、安心感と健康改善意欲が持てた。家計的にも助かって家族も喜んでいます」と、電話取材に答えてくれた。
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平成30年7月、住友生命保険が発売した「Vitality(バイタリティ)」は南アフリカの企業が開発し、1国1社提携で世界展開している健康増進プログラムとセットになった保険だ。健康診断結果だけでなく、毎日の歩数やスポーツ大会参加などの健康増進活動が幅広く評価の対象となり、結果に応じて保険料が変動する。
月額880円の利用料がかかるが、加入時に保険料が15%割引され、高評価を9年間維持できれば保険料が最大30%引きとなる。提携する飲食店やジムなどで使えるクーポンなどの特典が得られる一方、フィットネスできなければ保険料が上がる“緊張感”も伴う。
これらは「損したくない」という人間心理に基づく行動経済学の理論で、運動や節制生活を維持する仕掛け。これまでの加入者数は57万件を突破した。
明治安田生命保険も平成31年4月、主力保険商品「ベストスタイル」に「健康キャッシュバック」特約をスタート。毎年の健康診断結果に応じて最大1カ月分相当の保険料をキャッシュバック還元する。ビッグデータを活用した疾病リスク予測を伝えて病気の早期発見を促すなど、「MY健活レポート」と題した個別の情報提供が特色。1年8カ月で57万件を販売するヒットとなっている。
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「平均寿命と自立生活可能な『健康寿命』の差が男性が約9年、女性で約12年と大きな開きがあり、医療費逼迫(ひっぱく)の大きな要因となっている。健康増進型保険は、健康寿命を延ばしたい国の方針にも合致している」と指摘するのは、ファイナンシャルプランナーの浅田里花さんだ。
喫煙と非喫煙などで保険料に差をつける「健康体割引」は従来からあったが、そもそも不健康な人には意味がない。それに対して健康増進型保険は、「健康状態が良くなくても加入後に禁煙したり、運動や食事に気を付けて結果を出すことで恩恵を受けられる商品があり、幅広い人に対応できるよう進化している」と評価。「個々人で取り組むフィットネスのきっかけや、モチベーション維持につながる」と期待した。
加入者が健康であれば保険会社側のメリットも大きい。保険商品の競争が激化するなかで独自性が打ち出せ、寄り添って健康をサポート…といったイメージアップにもつながる。
かつてのように保険は“付き合い”で契約したり、生涯1社で通す時代ではなくなった。商品が多様化するなか、各社横断型で提案する「保険ショップ」が増えているが、「手数料率の高い商品への誘導や、必要以上の契約を勧められることもないとはいえず、一長一短がある。大切なのは『いわれるがまま』にならないこと」と、浅田さんは念を押す。
それには、公式サイトなどで情報収集したうえで、「保険本来の目的である『自分や家族が求めている保障』を確認し、その中でコスパの良い商品を選ぶこと」。大手企業の社員なら、会社の健康保険でカバーできる公的医療保障の範囲も広いという。「それぞれの方が、本当に必要な保険を見極める目を持つことが大切です」と、消費者に主体性を求めた。
“(保険の)おばちゃん”に丸投げの時代ではない。健康増進も保険選びも、基本は自助努力だと再認識させられた。
からの記事と詳細 ( 【近ごろ都に流行るもの】「健康増進型保険」 給付金+運動や節制のモチベーションに - 産経ニュース )
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