20GB未満は月額1,980円、他キャリアより値下げ
楽天モバイルは、スマホ新料金プラン「Rakuten UN-LIMIT IV」を発表しました。月2,980円で楽天自社エリア内で使い放題という特徴に加え、月1GBまでのデータ通信は0円からという段階制の料金プランとなっています。 【写真】楽天モバイルが示した4キャリアの最新プラン比較。やや強引なところもあるが、対応エリア内であれば楽天モバイルは安く運用できる 既存の楽天モバイルユーザーは、4月1日より自動で新プランに移行するため、プラン変更の手続きは不要です。楽天モバイルが実施中の「1年間無料キャンペーン」も、契約者数が300万人に達するまで継続します。現時点の楽天モバイル自社回線の会員数は約220万回線ですから、残りは80万人ほどとなります。 「ワンプラン」でより多くの人に 楽天モバイルは“第4のキャリア”として自社設備による携帯電話事業(MNO)に新規参入し、2020年4月より商用サービスを開始しました。 当初のエリア展開は都市部を中心とした狭い範囲のものですが、自社エリアなら使い放題で、郊外エリアもau網でカバーします。 さらに月額プラン料金は月2,980円ですが、当初の300万人は1年間プラン料金を無料で使えるという大盤振る舞いなキャンペーンも実施。急速にユーザーを拡大させました。2020年9月には非常に限定的ながら、5Gエリアでのサービスも開始しました。 その本格参入からまもなく1年を迎えます。その節目の料金改定となるのが「Rakuten UN-LIMIT VI」です。 Rakuten UN-LIMIT VIでは、月2,980円で自社回線エリア使い放題という条件はそのままに、毎月のデータ消費が少ない人の料金を安くする優遇措置が加わりました。 具体的には、使ったデータ容量に応じてプラン料金が4段階に変動します。月1GBまでならプラン料金は0円、1GB以上で月3GBまでは980円、3GB以上で20GBまでは1,980円、そして20GB以上使い放題で月2,980円という内容です。 「Rakuten UN-LIMIT VI」の概要 ただし、使い放題は楽天が自社で基地局を建てているエリアだけ。エリア外はau網のローミング接続となりますが、こちらは月5GB以上を使うと速度が1Mbpsに制限されます。 また、海外では66の国と地域で追加料金なしでデータ使い放題となりますが、月2GBを超えると速度が128kbpsと大幅に制限されます。 音声通話料金は30秒当たり20円の従量課金制。電話アプリ「Rakuten LINK」で通話する場合、携帯の番号で発信可能で、データ容量を消費せず通話料金もかかりません。 「使わなければ無料」が新プランの強み 使い放題の段階制料金プランというと、フラット型プランの再来のようにも見えます。料金を安く抑えるには毎月使うデータ容量を気にしながら使う必要がありますが、1つのプランでさまざまなニーズをカバーするには適した内容と言えるでしょう。 本格サービス開始から1年が経過し、初期に契約したユーザーは1年無料期間が終了し、月額料金が発生するようになります。また、3月からは先発の3キャリアが「オンライン限定」の20GB・2,980円という料金プランを開始します。 そのとき、「1GBまでは無料」は楽天モバイルの強みとなるでしょう。「使わなければ無料で維持できるから」という心理で解約ラッシュを緩和することができます。 さらに、大手キャリアの新プランと競合する「月20GB」の水準では月額1,980円と、一段階安い料金となっています。 なお、「1GBまでは無料」という料金は、個人で複数回線を契約している場合、ひとり1回線のみが適用となります。 キャリアメールに今夏対応予定 Rakuten UN-LIMIT VIの変更の目玉は段階制の料金体系への変更ですが、さらっと告知された新機能もあります。「キャリアメール」です。 楽天モバイルのキャリアメールは2021年夏ごろに提供を開始する予定。3G時代に繁栄したキャリアメールは、5G時代に至った現代でも一部のWebサービスで本人確認の手段として利用されています。キャリアメールの提供は、こうしたサービスに対応するためのもの。楽天モバイルでは今夏までに携帯キャリア間での相互認証を行い、提供する予定としています。 なお、大手3キャリアは新しいメッセージサービス「+メッセージ」も展開していますが、楽天モバイルでの対応予定は現時点では未定としています。 大手3キャリアが3月から提供するオンラインプランは、月2,980円の楽天モバイルを意識した料金設定となっていますが、キャリアメールの提供はありません。また、サポートもWebサイトやアプリのみで行う形となっています。 実質値下げの新プラン、楽天経済圏への効果に期待 先行する3キャリアはNTTドコモ「ahamo」、au「povo」、ソフトバンク「SoftBank on LINE」として、楽天モバイルと競合する価格帯の専用プランを投入します。 先行3社のオンライン専用プランは充実したエリアと高速なネットワーク品質を安価に提供する代わりに、店頭・電話サポートを非対応で、ネットを通じてのみのサポート体制です。また、キャリアメールも提供されません。 楽天ではこれに対し、楽天モバイルの店頭でも同じ価格のプランが申し込めることや、店頭・電話でのサポート体制を強みとしています。加えてキャリアメールにあえて対応することで、先行する3キャリアのオンライン専用プランに対抗する構えです。 エリア拡大と契約者数を拡大している段階の楽天モバイルですが、今回のプラン刷新は楽天モバイルにとって値下げと言える内容です。ユーザーの増加が当初の想定通りだとしたら、黒字化が遠のくことになります。 これに対し三木谷氏は「ユーザーひとりあたりの収益は減るものの、ユーザーの1人辺りの獲得コストは下がる見込んでいる」と説明。当初、サービスが黒字化する目標として示していた契約者数700万人という数値は変わらないと述べました。 楽天ではオンラインモール楽天市場をはじめとした多数のサービスを擁しており、共通ポイントの楽天ポイントが使える「楽天経済圏」を構築しています。楽天モバイルをきっかけとして、楽天の他のサービスを使ってもらうことで、楽天全体での収益化を目指す考えです。
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