Pages

Monday, December 28, 2020

モバイルノートとして完成度が高まった「XPS 13」。16:10の画面でA4用紙以下のポータビリティが魅力 - PC Watch

seserpeer.blogspot.com
XPS 13(9310)

 デル・テクノロジーズからIntel第11世代Coreを搭載した「XPS 13」、「XPS 13 2-in-1」が登場している。今世代のXPS 13シリーズはIntel Evoプラットフォームに準拠する製品である。今回は「XPS 13(9310)」クラムシェルモデルを試用する機会を得たので紹介しよう。

 なお、直販価格はおおよそ23万円以上だが、執筆時点では年末割引が行なわれており、Core i7-1185G7、メモリ16GB、SSD 512GBのモデルが1万8,780円引きで、それに加えて20%オフクーポンで18万2,712円で購入可能となっている。

Tiger Lakeを中心に性能重視の構成

 内部スペックを見ていこう。評価機はCPUにCore i7-1165G7、16GBメモリ、1TB SSDを搭載する構成だが、カスタマイズモデルが選べるので詳しくは購入・検討のさいに確認してほしい。

 まずCPUのCore i7-1165G7は、4コア8スレッドのTiger Lake世代CPUで、定格はTDP-upが28Wの2.8GHz、TDP-downが12Wの1.2GHz、ターボブースト時の最大が4.7GHzといった仕様だ。ただし、執筆時点で製品サイトを調べたところ、すべてがCore i7-1185G7を搭載する構成だった。Core i7-1185G7は1165G7よりも高クロックのモデルだ。

CPUはTiger Lake世代のU-SKU。Core i7-1165G7が搭載されていた

 グラフィックス機能はCPUに内蔵されている機能を利用する。Core i7-1165G7ではIris Xe Graphicsだ。これまでのIntel UHD Graphics系からアーキテクチャを変え、より高性能へと進化した統合GPU機能となる。

GPUは性能向上を果たしたIris Xe Graphics

 メモリはLPDDR4x-4267。Core i7-1165G7自体は通常のDDR4-3200もサポートしているが、より性能の高いLPDDR4xを採用しているのがXPS 13のポイントと言える。また、カスタマイズでは32GBまで搭載できるので、メモリ消費の激しいアプリケーションを利用する方はカスタマイズに挑戦してみよう。

メモリは16GBまたは32GB。LPDDR4x-4267とされる

 ストレージはNVMe対応のSSDで、容量に関してはカスタマイズモデルごとに異なる。Tiger LakeはPCI Express 4.0に対応しているが、評価機のSSDはPCI Express 3.0対応のものだ。ただ転送速度はシーケンシャルリードで3.197GB/sと十分に高速である。性能を求めるならばPCI Express 4.0対応SSDという選択肢もあるが、4.0対応SSDは消費電力や発熱も大きいため、スリムなモバイルノートに搭載するにはまだ難しいのかもしれない。

ストレージはNVMe SSD。PCI Express 3.0 x4インターフェイスで最大3GB/s前後の転送速度のものが採用されていた

 ネットワークはインターフェイス部分で見たとおり有線非搭載で無線のみとなる。その無線だが、チップはKiller Wi-Fi 6 AX500-DBSとなっていた。Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)対応のチップで、Bluetooth 5.1も統合されている。Wi-Fi 6チップでメジャーなIntel Wi-Fi 6 AX200ではないが、KillerもIntel製であり、Evoを満たす条件にはWi-Fi 6とあるだけでチップは問わないようだ。

無線LANはWi-Fi 6対応のKiller Wi-fi 6 AX500-DBS

Ice Lake→Tiger LakeでCPU&GPU性能ともにアップ!

 では、ベンチマークによってXPS 13(9310)のパフォーマンスを見てみたい。まずシステム性能テストで利用したベンチマークソフトはUL Benchmarksの「PCMark 10 v2.1.2506」、「3DMark Professional Edition v2.16.7094」、Maxonの「Cinebench R23」と「Cinebench R20」、「Handbrake v1.3.0」の5種類だ。比較対象としてIce Lake版のXPS 13(9300)のスコアを加えている。

【表1】検証機
XPS 13(9310、Tiger Lake) XPS 13(9300、Ice Lake)
CPU Core i7-1165G7(4コア/8スレッド) Core i7-1035G7(4コア/8スレッド)
チップセット Tiger Lake-U/Y PCH Ice Lake PCH
GPU Iris Xe Graphics(CPU内蔵) Iris Plus Graphics(CPU内蔵)
メモリ 16GB DDR4 16GB DDR4
ストレージ 1TB NVMe SSD 512GB NVMe SSD
OS Windows 10 Home Windows 10 Home
【表2】ベンチマーク結果
XPS 13(9310、Tiger Lake) XPS 13(9300、Ice Lake)
PCMark 10 v2.1.2506
Extended Score 4,530 3,593
Essentials Scenario 9,783 9,123
App Start-up Test 12,721 11,689
Video Conferencing Test 8,202 8,185
Web Browsing Tset 8,975 7,937
Productivity Scenario 6,706 5,570
Spreadsheets Test 6,092 4,977
Writing Test 7,383 6,235
Digital Content Creation Scenario 4,793 3,964
Photo Editing Test 7,807 5,589
Rendering and Visualization Test 2,922 2,708
Video Editing Test 4,827 4,117
Gaming Scenario 3,619 2,337
Fire Strike Graphics Test 5,130 2,840
Fire Strike Physics Test 9,953 10,284
Fire Strike Combined Test 1,447 1,064
3DMark v2.11.6846
TimeSpy 1,504 877
FireStrike 4,163 2,496
NightRaid 12,059 8,646
SkyDiver 12,895 8,179
Cinebench R23
CPU(Multi Core) 4,680 3,681
CPU(Single Core) 1,425 1,201
Cinebench R20
CPU 2,041 1,435
CPU(SingleCore) 560 462
HandBrake v1.3.0
4K/60p/MP4→フルHD/30p/H.264/MP4 Fast SW 20.19fps 17.98fps
4K/60p/MP4→フルHD/30p/H.264/MP4 Fast HW(iGPU) 26.86fps 24.27fps
4K/60p/MP4→フルHD/30p/H.265/MP4 Fast SW 20.91fps 19.52fps
4K/60p/MP4→フルHD/30p/H.265/MP4 Fast HW(iGPU) 26.03fps 24.01fps

 PCMark 10ではほとんどの項目でTiger Lake版がIce Lake版を上回るスコアを示している。CPU性能の影響が大きいProductivityシナリオも、GPU性能の影響が大きいDigital Content Creationシナリオもどちらも向上している。

 3DMarkでは、これが代表的なベンチマークということもあって最適化が進んでいるのだろう。テストによっては70%以上の向上率を示したものもある。おそらくこのクラスの製品でよくプレイされるだろう軽量なDirectX 11という位置づけのSky Diverは57.7%の向上を見せている。逆にこのクラスでは負荷が高過ぎるだろう高負荷のDirectX 12テストのTime Spyは計測中最大の伸び率で71.5%の向上があった。

 CPU性能を見るCinebench R23/R20でも、すべてのテストでスコアが向上していた。Cinebench R23ではおおむね20%の向上。シングルスレッドテストよりもマルチスレッドテストのスコア向上率のほうが高い。

 Handbrakeでのエンコードテストも向上が確認できた。CPU処理も向上しているが、Quick Sync Videoでの処理速度も向上しているようだ。

【表3】ゲーム系ベンチマーク結果
XPS 13(9310、Tiger Lake) XPS 13(9300、Ice Lake)
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク
1,920×1,080ドット、最高品質 2,959 2,198
1,920×1,080ドット、高品質(ノートPC) 4,417 3,125
1,920×1,080ドット、標準品質(ノートPC) 6,101 4,329
ドラゴンクエストX ベンチマークソフト
1,920×1,080ドット、最高品質 11,770 7,906
1,920×1,080ドット、標準品質 12,409 9,061
1,920×1,080ドット、低品質 14,835 10,975
World of Tanks enCore RT
超高(1,920×1,080ドット、RTオフ) 4,889 2,899
中(1,920×1,080ドット、RTオフ) 10,062 6,900
最低(1,366×768ドット、RTオフ) 47,079 36,081

 ゲーム性能テストは、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」、「World of Tanks enCore RT」で行なった。もちろん、計測したすべてのテストでスコアが向上している。

 FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークに関しては、各プリセットでXPS 13のTiger Lake版はIce Lake版よりも1つ上の評価まで向上するようだ。快適がとても快適へ、やや快適が快適へ、普通がやや快適へといった具合だ。1,920×1,080ドット、最高品質では2,959ポイントのやや快適にとどまったが、高品質では4,417ポイントの快適評価(30fps前後)を得ている。

 ドラゴンクエストX ベンチマークソフトはかなり軽量なので、1,920×1,080ドットならIce Lake版でも最高品質でとても快適評価が得られる。ただしTiger Lake版はより高いスコアで、より重いプリセットほど性能差が大きくなるようだ。

 World of Tanks enCore RTは画質超高でも良好な結果という評価が得られている。Ice Lake版では許容可能な結果という評価なので、大幅な向上(68.6%)と言える。

 最後にバッテリ駆動時間について見てみたい。PCMark 10のバッテリテスト、Modern Officeシナリオを電源モード(より良いバッテリー)でテストした結果は9時間53分だった。Ice Lake版の結果は10時間42分だったので少し短かったが、代わりにパフォーマンススコアは7,066で、Ice Lake版の5,495よりも高かった。

 おそらく同じ(より良いバッテリー)でもその詳細な設定は異なるのだろう。性能を同じ程度とすればIce Lake版に近い駆動時間になるかもしれない。ただしPCMark 10の負荷でこれだけの駆動時間が得られれば実運用では問題ない。ならばパフォーマンススコアが高いほうが快適ということもあるだろう。

完成度の高さで感心したIce Lake版を超える出来

 Tiger Lake版XPS 13は、デザイン面では洗練されたIce Lake版を継承しつつ、内部はTiger Lake世代へとリフレッシュし、CPU、とくにGPU機能が大きく向上したところがポイントだ。PCMark 10のバッテリ駆動時間テストが示すとおり、モバイル時の性能もよい。モビリティ性能に加え、モバイルでの生産性が向上したことで、リモートワークやワーケーションに最適なモバイルノートと言えるだろう。

 ただし、モバイルでは十分のスペックだが、自宅で運用するさいには機器を追加したほうがよい。ほかのモバイル製品も同様だが、スリムになればインターフェイスが犠牲になる。Thunderbolt 4(USB Type-C)が2ポートなので、USB PDのパススルー充電が可能なUSB Type-C HubないしはThunderboltドックを併用したい。

 デルで言えばUniversal Dock - D6000や、パフォーマンス ドック - WD19DC、あるいはUSB Type-C対応ディスプレイなどだ。それらまで含めるとかなり高価になってしまうが、XPS 13本体を含め得られる快適さは1つ上、次世代を感じられるものになるだろう。

Let's block ads! (Why?)


からの記事と詳細 ( モバイルノートとして完成度が高まった「XPS 13」。16:10の画面でA4用紙以下のポータビリティが魅力 - PC Watch )
https://ift.tt/2L2L0mk

No comments:

Post a Comment