菅首相のあいさつ全文は以下の通り。
内閣総理大臣の菅義偉です。このたびの「Gゼロサミット」の開催をお祝い申し上げます。
ウィズコロナ・ポストコロナ時代の国際情勢は、コロナの対応の中で高まった自国中心主義や米中対立などとも相まって、これまで以上に予見しにくく、また、制御しにくいものとなっていく可能性があります。
そういう状況だからこそ、私は、日本外交・安全保障の基軸たる日米同盟を一層強化していきます。同時に、日本は、基本的価値を共有する国々と連携しながら、「自由で開かれたインド太平洋」を戦略的に推進するとともに、中国をはじめとした近隣諸国との安定的な関係を構築していく考えです。このような私の確固たる外交方針は、今後も変わりません。
そして、新型コロナが人類に未曽有の挑戦を突きつける中、我々は、この危機によって「分断された世界」ではなく、危機を乗り越えるべく「団結した世界」を実現していく必要があります。そのためにも、我が国は、多国間主義を重視し、国際社会が団結・協力して進める取り組みをリードしていく決意です。
まず、世界的な感染拡大の局面を転換していくには、治療薬、ワクチン、診断の開発と普及が不可欠です。日本は、「誰の健康も取り残さない」、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジを推進するため、途上国を含めたワクチンへの公平なアクセスの確保を全面的に支援します。
同時に、先月設立が発表された「アセアン感染症対策センター」をはじめ、途上国の保健医療システムの強化にも取り組んでいます。
こうした取組を通じて、我が国は、引き続き、コロナ禍における「人間の安全保障」の確保に、積極的に貢献していきます。
人々の行動様式が変化するウィズコロナ・ポストコロナ時代の中で、私は、「デジタル化」と「脱炭素社会の実現」を優先課題として進めています。
新型コロナにより「デジタル化」の必要性が明らかとなりました。我が国は、これから設置を予定しているデジタル庁を司令塔に、「デジタル化」の取り組みを加速させていきます。同時に、国際社会においても、日本は、「信頼性のある自由なデータ流通」の考えの下、デジタル貿易に関する国際ルールづくりを主導していきます。
また、持続可能な経済成長を実現していくためには、「脱炭素社会の実現」が不可欠です。温暖化への対応は、経済成長を妨げるものではなく、むしろ、産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながるという発想の転換が必要です。
こうした考えに基づき、私は、2050年までに、温室効果ガスの排出を実質ゼロにする、「カーボン・ニュートラル」の実現を目指すことを宣言しました。革新的なイノベーションを通じて経済と環境の好循環をつくり出し、パリ協定が目指す脱炭素社会の実現に向けて、国際社会の取り組みを主導していきます。
こうした優先課題に加えて、日本は、自由で公正な経済圏を広げ、多角的自由貿易体制を維持し、強化していきます。WTO改革を引き続き推進するとともに、RCEP協定の早期締結や、来年の議長国としてTPP11の着実な実施や拡大により、アジア太平洋自由貿易圏の実現を目指します。
今回の「Gゼロサミット」では、今、私が挙げた分野を含め、ウィズコロナ、ポストコロナの新しい国際秩序のあり方について、有益な議論が行われることを期待します。
ご清聴、ありがとうございました。
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