ピックアップ:sustainability report_2019
重要なポイント:ケニアで圧倒的シェアを誇るモバイル決済サービスM-PESAを運営する通信事業者Safaricomは2,503億Ksh(約23億米ドル)の収益、625億Ksh(約5億8,000万米ドル)の利益を2019年度に上げ、人口約4,800万人のケニアで約3,200万人の顧客を獲得している。これにより、約100万人の直接的・間接的雇用を生み出した。
Safaricomはこれらの顧客に向けて同社のモバイルネットワークやインターネット回線網、M-PESAの送金システムを活用し、様々な分野からケニア人の生活にポジティブな影響を与えるサービスの提供を積極的に推進している。
詳細情報:Safaricomがケニアの人の生活に大きく影響を与えている土台には、通信インフラ設備への投資も非常に大きい。人口に対するネットワークのカバー率は 2Gが96%、3Gが94%、4Gが57% となった。また、2019年度で光ファイバーケーブルの総敷設距離は6,700キロメートルになり、2016年の3,236キロメートルから倍以上の距離となっている。
- 同社ではこれらのモバイルネットワーク、インターネット網、M-PESAのプラットフォームを活用し、「Transform Lives」という目的のもと、農業、教育、医療などの分野を中心に既存のケニア人の生活に変革を起こすサービスの提案・提供をここ数年積極的に行っている。具体的には次のようなサービス群だ。
金融
M-PESA:引き続き同社の主要サービスであるM-PESAは2019年度は2,260万人以上のユーザーが利用し、750億ksh(約7億米ドル)の収益を上げた。2018年からはGoogle、PayPal、Western Unionと提携し、国際送金サービスM-PESA Globalも開始、18万人のアクティブユーザーが利用している。
Fuliza:2019年1月にサービスを開始したFulizaは世界初のモバイル当座貸越サービス。M-PESAアカウントの残額が不足している場合でも、その場で決済取引を完了できるように作られた。1,070万ユーザー、2,900万ksh分の払い出しが行われた。
農業
Digifarm:小規模農家を総合的に支援するプラットフォーム、農業についての知識を学んだり、市場の需要に基づいた作物の栽培量に関するアドバイス、M-PESAを使用した少額の融資、農作物の販売マーケットプレイスといったサービスが利用できる
小規模農家の生産性を向上し収入を増やす目的で、100万人以上が利用し、MAUは30万。 2019年度末までで6万1,435件の融資を実施している。非公式なものを含めると、ケニアの総雇用の60%以上が農業従事者といわれている。
医療
M-TIBA:医療を必要とする人と医療施設、ヘルスケアプロバイダー、保険会社を繋ぐ、ヘルスケア&ファイナンス プラットフォーム。M-TIBAを介してNHIF(政府が運営する健康保険制度)への登録も可能で、煩雑な手続きなどをせず保険制度を利用して安価な医療サービスが受けられる。
医療システムの改革と健康保険の普及を支援し、低所得者層でも手頃な価格の医療サービスにアクセス可能とすることを目的に置く。現在では、400以上の提携クリニックでサービスを提供し、420万件以上の加入者、2億円以上の医療費節約に貢献している。
クリーンエネルギー
M-Kopa:未電化地域や電力供給が不安定なエリアの家庭に小型の太陽光パネルと家電のキットを提供。利用者はM-PESAを介してキットの費用代金を分割で支払い、費用代金の支払い完了後は無料で利用可能。三井物産や住友商事が出資に参画している。「すべての人が手頃な価格で持続可能なエネルギーへのアクセスを確保する」という、2050年までにCO2排出ゼロ企業を目指す取り組みの一環として実施する。50万世帯以上に太陽光パネルを提供し、240万人の生活の向上に貢献している。
M-GAS:2019年に18.96%の株式を取得したCircle Gasと提携し、スマートメーターを使用しM-PESAでの支払い状況によって利用の制御が行える。プリペイド式調理用ガスの提供を2020年1月から開始している。
教育
Shupavu291:ゲーム形式のeラーンニング・プラットフォーム。インターネット環境の悪い場所での利用も想定し、オフラインでも利用できるコンテンツやSMSを利用したクイズ形式の問題なども用意されている。包括的で公平な質の高い教育を確保し、すべての人に生涯学習の機会を提供することを目的に置く。50万人以上のアクティブユーザー、2016年のサービス開始以来これまでに約410万人以上が利用している。
コマース
Masoko:ケニア国内で製造された製品などを中小企業などが販売できる「アフリカのライフスタイルマーケットプレイス」として2017年よりサービスを開始。2019年の11月にベンダー宛にサービスの中止を通知する旨のメールを送っており、現在は中国や韓国製のスマホや周辺アクセサリのみを販売している。
SDGs
Safaricomでは、ビジネスの役割は利益を生み出すことだけにとどまらないと考え、SDGsの取り組みもビジネスのコアに包括することを目指している。上記の事業もほとんどがSDGsのいずれかの目標と関連している。
M-PESA Foundation Academy:経済的に恵まれない学生を対象に、住居や奨学金制度などとともに、ケニアのナショナルカリキュラムを提供する高校。リーダーシップ、起業家精神、テクノロジー、イノベーションを持つ起業家やリーダーとなる人材の育成を目指す。
Fafanuka:非感染性疾患(NCD)の予防・診断・管理・などについて、SMSとUSSDを使用して一般市民、患者、医療従事者、介護者に対し正しい知識の啓蒙や教育を行うサービス。
M-Salama:ケニア赤十字社と提携して運営するSMSによる災害警告システム。
WIT(Women in Technology):様々なバックグラウンドを持つ女性が、テクノロジー関連のキャリアを身に着け、社会進出することを支援するインターンシッププログラム。
※上記各サービスの具体的な数字は、Safaricomの公開している、2019年度のSustainability Reportから引用
背景:2007年3月にサービスを開始したM-PESAは、総取引額がケニアのGDPの50%を占めるまでに普及している。Safaricomのサービスの多くは、SafaricomのSIMカードを持っていれば誰でも利用できることと、スマホのアプリやインターネット回線を必ずしも必要とせず、2Gしか繋がらない環境やガラケーでも使用できることが普及の要因となっている。例えばM-PESAの送金はSMSを介して行われ、相手の電話番号さえ知っていれば送金が可能。
執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代・増渕大志
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August 14, 2020 at 06:31AM
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