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Wednesday, January 1, 2020

塩野七生が“イグノーベル賞医学者”と語る「健康オタクにはなりたくない」 - 文春オンライン

 作家の塩野七生氏は、「文藝春秋」10月号の連載「日本人へ」でこう綴っている。

「私をさらに幸せにしたのが、雑誌『Voice』8月号に載っていた『健康マニアにつけるクスリ』と題された記事だった。書いた人は新見正則という名の医学者で、オックスフォード大学医学博士のくせに、イグノーベル賞というフザけた賞も受賞した人。どんなテーマで受賞したのか知りたいと思うが、この人の言うことがやたらと愉快。『そもそも、身体に悪いことは何でも楽しくて、楽しいことはストレスの解消になります』なんて言ってくれるし」

 このエッセイがきっかけとなって、2人の初対面が実現した。

©文藝春秋

「イグノーベル賞」の最初のメールはゴミ箱に

塩野 新見先生の「健康マニアにつけるクスリ」という文章があまりに愉快だったので、エッセイで無断借用させていただきました。まずはそのことのお詫びを。

新見 とんでもありません。光栄なことです。拝読してすぐにローマにご挨拶に飛んで行きたいと思いました(笑)。1998年に英国から帰国直後に最初に手にした本が『ローマ人の物語』で、それ以来、塩野さんの大ファンでしたから。

塩野 先生は、オックスフォード出の医学博士でいらっしゃるのに、2013年に「イグノーベル賞」(まず人々を笑わせ、それから考えさせる研究に贈られる賞)というフザけた賞も受賞されていますよね。

新見 突然メールが来たんです。最初のメールは、ゴミ箱に入れてしまったんですが、また来たので、ちゃんと読んでみると、ホンモノでした。賞金も、授賞式のための旅費も出なかったのですが(笑)。

塩野七生氏 ©文藝春秋

音楽を聴かせるとマウスは長生きする!?

塩野 お会いできたら、ぜひイグノーベル賞を受賞したという、マウスに音楽を聴かせる実験について詳しく伺いたいと思っていました。

新見 心臓移植をしたマウスは、免疫の拒絶反応によって、平均で7日間しか生きられないのですが、これは音楽を聴かせることでどれだけ延命できるかという実験です。

 一番効いたのは、僕も大好きなヴェルディのオペラ「椿姫」。生存期間が平均で40日間まで伸び、100日以上生きたマウスもいました。次に長かったのは、モーツァルトで、平均20日間でした。

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