楽天モバイルが総務省から割り当てを受けた700MHz帯は、携帯電話エリアの整備に欠かせない周波数帯で、プラチナバンドは通称だ。壁などに当たっても浸透しやすい特性を持つため、エリアの半径を拡大するときに活用しやすい。
通話試験の様子(筆者撮影)
三木谷会長は「海外キャリアの関係者からはプラチナバンドは数千億円の価値がある。よく獲得できたと言われた」と胸を張るが、獲得までの道のりは平坦ではなかった。
当初、楽天モバイルは既存キャリアが持つプラチナバンドの一部再配分を総務省に求めていた。これに既存キャリアが強く反発。議論の末、NTTドコモが妥協案を提示した。それが700MHz帯のガードバンド(干渉防止用の未使用帯域)の活用だった。この“隙間”を削り出す形で、楽天モバイルの700MHz帯が誕生したのだ。
しかし、楽天のプラチナバンドも万能ではない。割当て幅は上下3MHz幅で他キャリアの10MHzより狭くなっている。この帯域幅では、1つのアンテナからの電波を1つの端末で独占したとしても、4G LTEの通信速度は30Mbps程度が限界だと考えられる。10台もつなげると速度がでなくなる計算だ。
つまり、楽天モバイルのプラチナバンドでは、他キャリアのプラチナバンドのように、1つの大きな基地局で広い面積をカバーするような整備の仕方は難しいということになる。
“1局”からと抑制気味の展開計画
楽天モバイルは完全仮想化した携帯電話ネットワークを特徴としている。そのため、基地局の既存設備を流用しつつ、700MHz帯用のアンテナ(RU)を追加するだけで改修工事が完了する。これにより、コストを抑えながらエリアを拡大できる。
とはいえ、アンテナを取り付ける工事が発生するのは変わらない。そのため、迅速なエリア拡大は望めないだろう。
楽天モバイルの計画では、既存の1.7GHz帯を中心に整備を進める。そのうえで、この周波数帯でカバーしきれなかった地点にスポット的に700MHz帯を整備していく方針だ。
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