楽天モバイルはeSIMを不正に利用される事案があったと利用者に注意喚起を行っている。
この記事について
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2024年4月27日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
第三者がフィッシングサイトなどを通じて入手した楽天IDとパスワードによって、My 楽天モバイルでeSIMの再発行を実施。モバイル通信サービスを乗っ取ってしまうという。
SMS認証で本人確認を行う他のサービスなども乗っ取られていくなど、さらなる犯罪に利用されてしまうことも予想される。
そもそも、楽天モバイルの仕組みは楽天IDとパスワードによって、eSIM再発行ができるなど、他社に比べてセキュリティが低いというのが以前から指摘されていた。
他社であれば、切り替えたい回線にSMSを飛ばす、あるいはeSIMを再発行する際、端末の紛失などでSMSを飛ばせない時にはeKYCで再度、本人確認を実施するなどの対策がとられている。
楽天モバイルは利用者に注意喚起を行うだけでなく、早急にシステム改修をして、ユーザーの被害をこれ以上、広げぬよう努力をするべきだろう。
ただ、eSIMの活用に関しては、総務省が「乗り換え促進」のひとつとして、導入をキャリアに煽ってきた点も看過すべきではないだろう。
eSIMの導入、活用に関しては、既存キャリアはかなり慎重な態度を示してきた。NTTドコモなどはeSIMを導入したものの、謎の「メンテナンス期間」を設けるなど、すぐに対応しなかったことがあった。
確かにeSIMが導入されたことで、思い立ったら、すぐにキャリアを乗り換えられるなど、競争促進の面では評価に値すべきなのは事実である。
しかし、楽天モバイルのようにIDとパスワードだけで簡単に乗っ取れるキャリアがあると、eSIMに対する世間の不信感が一気に高まることになる。
eSIM、さらには「スマホは乗っ取られる危険がある」という風潮になると、マイナンバーカードの搭載を敬遠する人も出てくるだろう。
総務省としては、単にeSIMの導入をキャリアに押しつけるのではなく、「きちんと乗っ取り対策がとられているか」などを見極めた上でeSIMの導入を認めるなどの施策が必要なのではないか。
それこそ、楽天モバイルのように甘いシステムを構築しているようなキャリアには「行政指導」をするなどして、きっちりとユーザーの保護に尽力すべきだ。
このままでは、単に総務省が各キャリアに「競争政策の一環だから」とeSIM導入を煽っただけで、何一つケツを拭かないという状況になっている。
総務省もeSIM促進を煽ってきた責任をしっかりと果たし、「安心安全に使えるeSIM環境」の整備をキチンとやっていくべきだろう。
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