オプテージの運営するmineoが、新たなユーザー特典を発表した。新サービスは、これまで同社が実施してきた「ファン∞とく」をアップデートする形で提供される。mineoは、同社を支えるファンを大事にするブランドスローガンを掲げ、2017年に導入された仕組み。端末購入特典や事務手数料無料などの特典が既存ユーザーに付与されていた。一方で、mineoは、このサービスの改定を余儀なくされた。
2019年10月に電気通信事業法が改定されたためだ。この改正では、100万契約を超えるMVNOも大手キャリアと同様に規制の対象になり、長期利用者の優遇や端末の大幅な割引が禁止された。ファンを重視するために設けられたはずのファン∞とくだが、その思いとは裏腹に総務省から“囲い込みの手段”と見なされる恐れがあった。ファン∞とく自体は続けられていたが、契約年数とひも付かない形になっていた。
こうした中、2023年12月27日の省令改正でガイドラインが変わり、IIJmioやmineoといったMVNOが規制の対象から外れた。ファン∞とくのリニューアルは、これを受けたもの。契約から1年経過するごとにコインを付与し、オプションや事務手数料、端末割引などのクーポンと交換できる仕組みを2月28日に導入する。合わせて、2月1日から春商戦向けのキャンペーンを展開する。
そんな同社に、新サービスの意気込みを聞いた。インタビューには、オプテージ コンシューマ事業推進本部 モバイル事業戦略部長の松田守弘氏と、同部 モバイル事業戦略部の田村慎吾氏が答えている。
一律に縛るのではなく、一人一人がニーズに合わせて選べるようにする
―― まず、1年ごとにコインが付与されるという仕組みにした理由を教えていただけますか。
田村氏 今やっているのが「王国コイン」(mineoアプリを50回起動する、スタッフブログに10記事以上コメントするなどの条件を満たすと1枚コインが付与される)という仕組みで、そこからの移行も考えたとき、コインという形にして特典をアップデートした方がスピーディーだったからです。王国コインを持っている方は、ガサっとこれを新しいコインに変えられます。コインをためていた方には、これによっていきなり10枚の特典(端末購入7000円割引)を受けることもできます。
―― それはお得感がありますね。これが今までできなかった理由を改めて教えてください。
田村氏 今までは、契約期間を縛ってオプション系の特典(割引)を付与するということが、ガイドラインではできませんでした。1年後、2年後という期間が特典につながるのがダメということです。料金と関係がないお楽しみコンテンツは別ですが、端末割引やオプション相当額の割引は難しかったですね。
―― そのガイドラインが改定されましたが、有識者会議自体その前から続いていました。こうした結果になることは見越して準備していたのでしょうか。
田村氏 そうなる前提で進めてはいましたが、ならなかった場合も考え、あがきながら決めていきました。ただ、そんなに前から分かっていたわけではなかったので、正直僕らの中では突貫作業で何とか間に合わせています。もちろん、法の趣旨は理解しているので、過度な囲い込みをしたいわけではありません。一律に縛るのではなく、一人一人がニーズに合わせて選べるようにしています。縛りというようなものではないと考えています。その一方で、われわれも「ずっとmineoがいい」と思っていただきたいので、そのバランスを取りながら決めています。
―― コイン1枚で端末割引が500円、2枚で1000円、5枚で3000円、10枚で7000円と4種類の端末割引が用意されています。やはり、端末割引のニーズは高いのでしょうか。
田村氏 高いと思っています。端末の買い替えは定期的に発生しますし、そのときのキャッシュに直接効いてくるからです。この特典は人気が出るのではないかと考えています。
また、端末も強いのですが、ニーズで言うと、eSIMの再発行手数料が無料になるクーポンも用意しています。MVNOだとどうしても再発行にお金がかかってしまいますが、これがコインで無料になります。mineoはドコモ、au、ソフトバンクの3回線を用意していますが、回線を変えた場合、SIMの再発行や郵送が必要になるため、手数料をいただいています。この乗り換えにかかってしまうお金も、コインで無料になります。
―― 端末割引に関しては、コイン3枚が設定されていません。これはなぜですか。
田村氏 特典内容は今後ブラッシュアップしていきます。できれば、年1回ぐらいのペースでアップデートしていきたい。いったんこういうことでという形でやっていますが、今後はお客さまの声を聞きながら改善し、ご要望を取り入れながら運用したいと考えています。
1枚で変えられる特典を多くすることで、手軽に試してもらえる
―― ただ、契約年数に応じてということになると、コミュニティーへの参加を促す力が弱くなってしまう気もしました。
田村氏 その懸念はありました。確かに活動が弱くなるというのはありますが、マイネ王はこれだけというわけでもありません。皆さん、助け合いの精神で集まっています。もちろん、他の仕掛けもどんどん作っていくことが前提にはなりますが、これによってコミュニティーがガタガタになってしまうというような心配はしていません。
―― 王国コインだけが目当てではなかったということですね。
田村氏 全体ではそうですね。
―― 特典一覧を見ると、コイン1枚で交換できるものが非常に多く、充実している印象があります。
田村氏 ここは考えたところで、1枚で変えられる特典を多くすることで、手軽に試していただけるからです。mineoにはいろいろなオプションサービスがあるので、それを少し試していただくことができる。認知度を上げるのがなかなか難しいので、コインでお試しいただけることを期待しています。
―― 単なる料金割引ではなく、オプションのクーポンにしたのはお試し利用を促進するという狙いがあったのでしょうか。
田村氏 そうですね。例えば10分かけ放題を契約する方は、解約率も低くなります。こうした特典を付与することで、mineoの事業にとってもプラスになります。サービスを使っていただき、より長く使っていただければ、さらにお得になり、端末も安くなるのでユーザーとわれわれでウィン・ウィンな施策だと思います。
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