総務省は23日、楽天モバイルに対し、プラチナバンドと呼ばれる700MHz帯を割り当てることを発表した。同日には総務省の総務大臣室で交付式が実施され、鈴木淳司総務大臣から鈴木和洋代表取締役 共同CEOへ認定書が手渡された。
交付式には、矢澤俊介代表取締役社長も出席。交付式の終了後、鈴木氏と矢澤氏が、報道陣の囲み取材に応じた。
鈴木氏は冒頭、「ただいま総務大臣よりプラチナバンド700MHzでの通信サービスに関する認可をいただきましたので、皆さんにご報告をさせていただきます。楽天モバイルとしましては、引き続き高品質で低価格のサービスをできるだけ多くの方に提供できるように努力してまいります」とコメントした。
囲み取材
――モバイル事業は赤字が続いている。認定をどう活かしていくのか。
鈴木氏
今回の700MHz帯の取得によって、さらに高品質なサービスを提供できるようになると考えています。それによって加入者を増加させ、一刻も早い黒字化を目指していきたいです。
――ソフトバンクへのプラチナバンド割当のときは、iPhoneという新しいツールがあったが。
鈴木氏
そういう“飛び道具”的なことよりも、地道な通信技術の改善ですね。これに尽きるのかなと思います。
これまでいただいている1.7GHz帯およびパートナー様とのローミング、それと今回のプラチナバンドということで、その3つの特性をうまく活かしたベストミックスで通信サービスを改善したいと思っています。
――総務省の資料では、商用開始が2026年になっている。決算説明では今年の末にも早ければという説明だったと思うが。
鈴木氏
計画書については、いろいろ慎重に検討をした結果、少し保守的な形式で記載しています。準備は着々と進めていますので、できれば来年中にサービスを開始できればと思っています。
――具体的な時期は。
鈴木氏
我々としては当然、時期の目安は持っていますが、ここでお話をさせていただくのはちょっと控えたい。しっかり準備はしています。
――今回のプラチナバンドは帯域幅が狭い。活用しづらいのではという見方もあるが。
鈴木氏
そういうご意見もありますが、私どもの技術陣の方でさまざまな検討をしておりまして、そこはうまくコントロールできるような形で提供できると考えています。
――具体的にどのような技術なのか。
鈴木氏
そこはちょっと別途時間をいただいて、ご説明する機会を設けさせていただければ。
――今後は設備投資も必要になってくるかと思う。楽天モバイルでは設備投資を抑制する方針も示しているが、十分な投資を続けていけるのか。
鈴木氏
ご存じの通りコスト削減を進めています。コスト削減をした後の設備投資計画の中に、今回のプラチナバンドに対する設備投資は織り込んでいます。その中でやっていくことは可能だと考えています。
――プラチナバンドでは具体的にどれぐらいの投資をしていくのか。
鈴木氏
計画書では、(投資額を)10年間で540億円として申請しています。来年や再来年(の投資)に関しては、その中でということになります。借入金や設備投資などの数字があり、さまざまなオプションでさまざまな角度から、いろいろなシナリオを含めて検討しています。
――加入者数はどう増えていく見込みなのか。
鈴木氏
具体的な加入者の数は公表していませんが、今は500万加入を超えていて、その後も順調に数を伸ばしています。このまま加入者増が続いていけば、早いうちに黒字化は可能だと思っています。
――プラチナバンドのサービスインについて、全国一斉に展開するのか、できるところから着手するのか。
鈴木氏
今、いろいろなオプションがありまして、さまざまな角度から検討しています。どちらかというと、現実的な形式でスタートすると考えています。
――その際にスマートフォン側でソフト更新は必要になるのか。
鈴木氏
必要ありません。
――当初は、通信3社からの均等割当も検討していたと思うが。
鈴木氏
そこは引き続き検討中です。今は具体的なお話をできる段階ではありません。
――プラチナバンドはエリアカバーに使うのか、トラフィックが多いところに使っていくのか。方針は。
鈴木氏
今、技術陣のほうで検討中です。それぞれの特性を活かした最適化、ベストミックスを追求していきます。
プラチナバンドの割当について
総務省では8月29日~9月29日の期間、「700MHz帯における移動通信システムの普及のための特定基地局の開設計画の認定申請」を受け付けた。申請者は楽天モバイルのみだった。今回、電波監理審議会の答申を受け、認定されることが決まった。
総務省は楽天モバイルに対し、条件を付した上で、開設計画に対して周波数を指定して認定した。
割り当てられる予定の周波数帯域は、700MHzの3MHz幅×2。端末側は715MHz~718MHz、基地局側は770MHz~773MHzを用いる。
楽天モバイルの開設計画によれば、サービス開始日は2026年3月ごろ。早期に準備が終われば、期日より前倒しして運用を開始する。
特定基地局の開設数は全国で約1万局。特定基地局開設料が1年あたり9億円で、これが10年間続く。認定期間の終了時、10年後の人口カバー率は全国で83.2%。
設備投資額は10年間の累計で544億円。令和8年度に単年度の黒字化を計画している。
総務省担当者との質疑応答
――楽天モバイルへの条件について詳しく聞きたい。
総務省
今回割り当てる周波数帯はプラチナバンドになります。周波数の特性を活かした、広範でつながりやすい移動通信システムの整備に取り組むとともに、より早期のサービス開始に努めることとされています。
それから財務の健全性では、毎年度の四半期ごとに、財務的基礎に関する事項について、進捗を示す書類を総務大臣へ提出することとされています。
また、今回割り当てる周波数帯は地上デジタル放送や特定ラジオマイク放送との周波数が近いので、既存免許人の開設する無線局との混信を防ぐ措置などの条件を付しています。
――財務の健全性については、赤字が続く楽天モバイルの現状を考慮したのか。
総務省
毎年度の四半期ごとに計画の進捗を提出するのは、そもそも審査基準、開設指針にすでに記載されていますので、それを再度記載したものになります。
――楽天モバイルではサービス開始時期を2024年と言っていて、計画では2026年とされている。ここについて楽天モバイル側から説明があったのか。
総務省
少なくとも開設計画については、2026年3月ごろのサービス開始とされています。「準備が想定より早期に整った場合には、期日より前倒しして運用を開始する」と記載があります。
――比較審査基準のところについて、楽天モバイルに有利な基準なのではという声もあった。
総務省
今回の開設計画では、エリア展開、公平性・競争促進、周波数の経済的価値、高度化、この4つのカテゴリーに分けて比較審査基準を設けました。
各項目について原則24点を基本としていて、エリア展開のみ、道路カバー率に関する目標が新たに設定されたことを踏まえて+4点としています。
「プラチナバンド割当を受けていないこと」というのが、公平性・競争促進として審査項目にありますが、それ以外のカテゴリーでも配点はあります。そこで高い得点を得られれば、すでにプラチナバンドを持っている事業者でも、比較審査基準において申請が通るということは十分可能と考えていました。
からの記事と詳細 ( 楽天モバイル鈴木氏「早期に黒字化したい」、プラチナバンドの交付式後に語られたこと - ケータイ Watch )
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