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Thursday, January 5, 2023

AMD、Zen 4になったモバイルRyzen 7000。RDNA 3 GPUとNPUも内蔵 - PC Watch

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モバイルRyzen 7000シリーズの7040シリーズ。Phoenixのコードネームを採用したZen 4アーキテクチャ初のSoC

 AMDは、1月5日(米国時間)に開幕するCESの前日基調講演に、同社CEOのリサ・スー氏が登壇し、今年投入する新しいCPU/GPUに関する発表を行なった。この中でAMDは、ノートPC向けの「Ryzen 7000シリーズ・モバイル・プロセッサ」(モバイルRyzen 7000)を発表した。

 モバイルRyzen 7000は、7045、7040、7035、7030、7020という5つのシリーズが用意されている。

 このうち、7045はデスクトップPC向けのRyzen 7000シリーズをノートPC向けにした製品、7040は新設計のモノリシックのダイ(開発コードネーム:Phoenix)となっている。PhoenixはZen 4 CPU、RDNA 3 GPU、NPUを内蔵した強力なSoCとなっている。7035と7030は従来製品のリフレッシュ製品となる。

新しい数字のシリーズに別けられたモバイルRyzen 7000、上位の2つがZen 4ベースに

チップレットの仕組みはDT版と共通しているモバイルRyzen 7000の7045シリーズ

 今回AMDが発表したモバイルRyzen 7000は、7045、7040、7035、7030、7020という5つのシリーズが用意されており、以下のような立ち位置になっている。

  • 7045:デスクトップリプレースメント(HXがモデルナンバーの末尾に付く、以下同)
  • 7040:モバイルゲーミングノート(HS/U)
  • 7035:プレミアムモバイルノート(HS/U)
  • 7030:モバイルノート(U)
  • 7020:バリュー向け

 HX(TDP 55W以上)はIntelのCore HX対抗、HS(TDP 35~45W)はCore H対抗、U(TDP 15~28W)はCore P/U対抗と考えると理解しやすいだろう。

モバイルRyzen 7000シリーズのシリーズ構成
7045、7040、7035、7030、7020という5つのシリーズ
Uシリーズ、HSシリーズ、HXシリーズ
【表1】Ryzen 7000シリーズ・モバイル・プロセッサーの4つのシリーズ(AMDの資料などより筆者作成)
シリーズ名 モデルナンバーアルファベット 開発コードネーム CPU世代 チップ構造 CPUコア/スレッド(最大構成) 最大キャッシュ(L2+L3) 製造プロセスノード GPU(Cu数) メモリ USB4 AI Engine TDP
Ryzen 7045 HX Dragon Range Zen 4 チップレット 16コア/32スレッド 80MB 5nm(IODは6nm) RDNA 2(2) DDR5 外付で対応 55W+
Ryzen 7040 HS/U Phoenix Zen 4 モノリシック 8コア/16スレッド 20MB 4nm RDNA 3(12) DDR5/LPDDR5 内蔵 35-45W(HS)、15~28W(U)
Ryzen 7035 HS/U Rembrant-R Zen 3+ モノリシック 8コア/16スレッド 20MB 6nm RDNA 2(12) DDR5/LPDDR5 内蔵 35W(HS)、15~28W(U)
Ryzen 7030 U Barcelo-R Zen 3 モノリシック 8コア/16スレッド 20MB 7nm Vega(8) DDR4/LPDDR4 15W
Ryzen 7020 未公表 Mendcino Zen 2 モノリシック 4コア/8スレッド 6MB 6nm Vega(2) LPDDR5 未公表

 今回ノートPC向けのCPUとして新アーキテクチャで投入されるのは、Ryzen 7045シリーズのDragon Range(開発コードネーム)と、Ryzen 7040シリーズのPhoenix(開発コードネーム)になる。

7045シリーズ

 7045シリーズに採用されているDragon Rangeは、AMDがデスクトップ版Ryzen 7000としてすでに市場に投入している「Raphael」(開発コードネーム)のノートPC版で、ノートPC向けのパッケージと、TDPの枠が55Wに納まるように熱設計の仕様が定義されている製品となる。

 デスクトップPC版のRaphaelと同じく、2つのCCDと1つのIOD(2CuのGPUを内蔵している)から構成されたチップレットになっており、1つのCCDあたり8コアで、2つのCCDで16コアを1パッケージで実現している。

Dragon Range

 ちなみにRyzen 7035シリーズの一部製品は、昨年(2022年)モバイルRyzen 6000シリーズに使われていたRembrant(開発コードネーム)のリフレッシュ版となるRembrant-R、Ryzen 7030シリーズは一昨年(2021年)にモバイルRyzen 5000シリーズに使われていたBarcelo(開発コードネーム)のリフレッシュ版となるBarcelo-Rだ。

 さらにその下のRyzen 7020シリーズは、開発コードネームMendcinoで知られる製品で、CPUコアにZen 2(4コア/8スレッド)、GPUはVega(2CU)というスペックになっており、CPU単体の価格で100ドル以下のバリュー向け市場をカバーする。こちらの製品はすでに9月に発表されており、今回追加の発表はない。

新設計のPhoenixにはRyzen AIというNPUとRDNA 3 GPUを内蔵

7040シリーズのPhoenixの機能

 新発表された製品のうち、7040シリーズに採用されているPhoenixは、完全に新設計となっているモノリシックのSoCで、1チップにCPU(最大8コア)とGPU、そしてI/O(USB4など)、この世代から新たに搭載される新機能としてNPUが1チップに統合されている。

 PhoenixのCPUは、Zen 4世代のCPUが8コア/16スレッドになっており、GPUは先日デスクトップPC向けに単体GPUとして投入されたばかりのRadeon RX 7900シリーズなどで採用されているRDNA 3アーキテクチャに基づいている。

 Radeon RX 7900シリーズの最上位SKUとなるRadeon RX 7900 XTXでは、CU(Compute Unit、演算器のこと)が96個ある形になっているが、このPhoenixに内蔵されているRDNA 3のGPUはCUが12個搭載されている。AMDのGPUアーキテクチャは伸縮が可能なように設計されているので、Radeon RX 7900 XTXの8分の1の演算器を備えたGPUが、Phoenixに内蔵されていると考えることができる。

NPUを内蔵

 また、新しい機能として「Ryzen AI」と呼ばれるAI推論のアクセラレータ、いわゆるNPU(Neural Processing Unit)が内蔵されており、CPUやGPUでAI推論を行なうよりも低消費電力でより高い処理能力を実現できる。

 AMDによれば、このNPUは、AMDが買収したXilinxのFPGAがベースになっており、そのFPGAのロジックがPhoenixのダイに含まれており、プログラマブルになっているのも大きな特徴だ。

 Windows 11 2022 Update(22H2)においてMicrosoftは、Windows Studio EffectsというAI推論を利用した機能を実装しており、今後さらに機能を追加していくという方針を明らかにしている。

 QualcommのWindows向けSoCがこの機能をすでに内蔵。Intelは第13世代Coreにおいて外付けチップで対応し、次世代製品(Meteor Lake)ではCPUに内蔵することを明らかにしている。AMDもRyzen AIをPhoenixに内蔵させたことで、3社のAI推論ソリューションが出揃ったことになる。

 現状はWindows Studio Effectsのみで利用でき、AMDはRyzen AIを使うためのソフトウェア開発キットなどは提供していないと説明している。

 なお、このPhoenixは4nmのプロセスノードで製造される。Raphael/Dragon Rangeは5nmになっていたので、AMD CPUとしては初めての4nm製品となる。もっとも4nmは5nmのバリエーションなので、その意味では5nmの改良版と理解しておけば良いだろう。

 今回発表されたモバイルRyzen 7000は、以下のようなSKUが用意されている。なお、Ryzen 7040シリーズにはHSだけでなく、PhoenixベースのUがあることになっているが、今回発表されたSKUの中にはなかったので今後発表される可能性がある。

【表2】Ryzen 7045シリーズのSKU
モデルナンバー コア/スレッド ターボ時周波数 ベース周波数 キャッシュ(L2+L3) TDP
Ryzen 9 7945HX 16コア/32スレッド 5.4GHz 2.5GHz 80MB 55~75W+
Ryzen 9 7845HX 12コア/24スレッド 5.2GHz 3GHz 76MB 45~75W+
Ryzen 7 7745HX 8コア/16スレッド 5.1GHz 3.6GHz 40MB 45~75W+
Ryzen 5 7645HX 6コア/12スレッド 5GHz 4GHz 38MB 45~75W+
【表3】Ryzen 7040 HSシリーズのSKU
モデルナンバー コア/スレッド ターボ時周波数 ベース周波数 キャッシュ(L2+L3) TDP
Ryzen 9 7940HS 8コア/16スレッド 5.2GHz 4GHz 40MB 35~45W
Ryzen 7 7840HS 8コア/16スレッド 5.1GHz 3.8GHz 40MB 35~45W
Ryzen 5 7640HS 6コア/12スレッド 5GHz 4.3GHz 38MB 35~45W
【表4】Ryzen 7035シリーズのSKU
モデルナンバー コア/スレッド ターボ時周波数 ベース周波数 キャッシュ(L2+L3) TDP
Ryzen 7 7735HS 8コア/16スレッド 4.75GHz 3.2GHz 20MB 35W
Ryzen 5 7535HS 6コア/12スレッド 4.55GHz 3.3GHz 19MB 35W
Ryzen 7 7735U 8コア/16スレッド 4.75GHz 2.7GHz 20MB 15~28W
Ryzen 5 7535U 6コア/12スレッド 4.55GHz 2.9GHz 19MB 15~28W
Ryzen 3 7335U 4コア/8スレッド 4.3GHz 3GHz 10MB 15~28W
【表5】Ryzen 7030シリーズのSKU
モデルナンバー コア/スレッド ターボ時周波数 ベース周波数 キャッシュ(L2+L3) TDP
Ryzen 7 7730U 8コア/16スレッド 4.5GHz 2GHz 20MB 15W
Ryzen 5 7530U 6コア/12スレッド 4.5GHz 2GHz 19MB 15W
Ryzen 3 7330U 6コア/12スレッド 4.3GHz 2.3GHz 10MB 15W
【表6】Ryzen PRO 7030シリーズのSKU
モデルナンバー コア/スレッド ターボ時周波数 ベース周波数 キャッシュ(L2+L3) TDP
Ryzen 7 PRO 7730U 8コア/16スレッド 4.5GHz 2GHz 20MB 15W
Ryzen 5 PRO 7530U 8コア/16スレッド 4.5GHz 2GHz 19MB 15W
Ryzen 3 PRO 7330U 8コア/16スレッド 4.3GHz 2.3GHz 10MB 15W

 AMDによれば、Ryzen 7045シリーズは2月から、Ryzen 7040シリーズは3月から、搭載ノートPCが市場に登場する見通しだ。それ以外のシリーズの投入時期に関しては特に明らかにされていない。

7045シリーズは2月から搭載システムの出荷が開始
7040シリーズは3月から搭載システムの出荷が開始

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