フランスでは、民間団体の講師が学校で思春期世代向けの性教育講座をしばしば催す。少年少女らに、自分の体やその変化を知り、それを前向きにとらえつつ、自分も他者も尊重しながら互いに成長してもらうためだ。私も今月、11~12歳の女子を対象にした講座に保護者として参加した。そこでは同性の親子が一緒になって学ぶのだが、主催者のある「狙い」があった。
体の変化を前向きに学び、互いに尊重し成長していく
この講座は、学校の教員が担当する保健体育の授業ではない。個人やグループ、学校などからの申し込みに応じて、思春期世代の性教育に熱意を持つ民間団体の講師がやってきて展開する。彼らの多くは別に仕事を持っており、教育関係者や助産師、保健師、医療従事者など関連性のある職業の人たちだけで構成されているわけではない。
私の場合、子どもの学校予定表に組み込まれていたので申し込んだ。参加は任意だが、保護者の出席を強く推奨するとあった。男子は父親と、女子は母親と参加し、男性陣は1階の各教室で、女性陣は2階の各教室で、クラス別に行われた。当日は午前9時から正午、昼食休憩1時間を挟み、午後1時から3時半までのスケジュールだ。
さて当日、クラスに計26人の母子が集まった。子どもの後ろに親が立ち、みんなで輪になって自己紹介から始まった。子どもたちは、名前、習い事などの好きなこと、得意なことを話すように言われ、親には参加の動機と、我が子の長所を一つ挙げるように言われた。母親たちは、一つでいいと言われた長所を、幾つも挙げて誇らしげに語る。
数人の親は、過去に同講座に参加経験があった。年上の子どもがいてすでに受講済み、という人や、個人的に仲良しのママグループで、講師を呼んで受けたことがあるという人たちもいた。
質疑応答 全員参加型の講座
雰囲気が和んだところで、本題の始まりだ。プリントなど読む資料はいっさいない。
まず、自分の体を大切に扱うという話から始まった。下着で隠れる場所は、他人が勝手に触ってはいけない極めて私的な場所であるから、安易に他人に見せたり触らせたりしてはならない。もし見ようとしたり、触ろうとしたりする人がいたら、キッパリとノーを突きつける大切さを講師は強調した。
次に、カラフルな布や小物などを使って、子宮や卵巣、膣(ちつ)などをかたちづくっていった。パネルにはそれぞれの組織の名前が書かれてある。それぞれどのような役割があるのか、子どもたちはクイズに答えながら、当てはまる箇所にパネルや小物を置いていく。子どもたちに考えさせながら、月経の仕組みを理解させる。
「相手に好意を持つと、何をしますか?」。講師が質問すると、…
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からの記事と詳細 ( フランスで受けた性教育講座 同性の親子が一緒に学ぶワケ | 現代フランス健康事情 | 竹内真里 - 毎日新聞 )
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