コロナ禍で我が社のオフィスは大きく模様替えをした。それまであった社員の個人デスクをなくし、どこにでも座れる「フリーアドレス」となった。席のスタイルもさまざまで、4人程度で1つのテーブルを共有するものから、窓際で1人で座るカウンターのようなタイプ、Web会議向けには防音の個室タイプや周囲がボードで囲まれた席などが用意される。また、一部のデスクには、据え置きのモニターも用意されている。
フリーアドレスになるということは、同時に全員ノートPCになるわけで、そうなるとノートPCの小さい画面では作業効率が悪いので、据え置きモニター付きの席に人気が集まる。そのためいざ使おうと思っても、モニター付き席は満席ということも少なくない。となるとノートPCの画面1枚で仕事することになるわけだが、自宅ではマルチディスプレイにしているだけに、狭い画面での仕事はストレスそのもの。むむぅ、せめてもう1枚画面が欲しい!!
そこで今回は、思い切ってモバイルモニターを購入してみた。
5年保証の国内ブランド品なのに手頃な価格のモバイルモニターを発見
Amazonで調べると、モバイルモニターの類いはそれはそれはたくさん出てくる。いくつかは見知ったブランドの製品も出てくるが、そのほとんどが聞いたことのないブランドばかりだ。どれも似たような製品が多いが、やはり名の通ったブランドの製品は少し価格がお高めという印象だ。
見比べてみると、主に画面のサイズ、解像度(フルHDか4Kかなど)、パネルの種類(IPSとかTNとか)、内蔵バッテリーの有無、内蔵スピーカーの有無、インターフェース(HDMIやUSB Type-Cなど)、本体の大きさ、重さ、スタンドの形状…… あたりが違いになるようだ。
そんな中、筆者が選んだのはマウスコンピューターでiiyamaブランドの15.6インチモバイルモニター「ProLite X1670HC」だ。選んだ理由は国内ブランドの信頼性(標準で3年保証、ユーザー登録すればなんと5年保証!!)と、それでいて2万円台(※記事執筆時の価格、筆者が買ったときは1万円台だった)という、ほかの無名ブランドのものと遜色ない価格だ。初めてのモバイルモニターということで、手頃なところで選ぼうと思ったが、iiyamaブランドでこの価格ということで即決。
そもそもゲームをするわけではないので、リフレッシュレートなどそこまでハイスペックなものはいらない。ノートPCをつないで使うのでスピーカーも不要。ただ、写真を選んだりするので、IPSパネルの液晶にはしたかった。サイズは手持ちの14インチノートPC「ThinkPad T480s」と同程度のサイズで、カバンにノートPCと重ねて入れられるもの。それとThinkPad T480sはUSB Type-Cでの映像出力と給電に対応しているので、ケーブル1本で接続できるタイプ。そうなると内蔵バッテリーは不要だ。バッテリーがなければその分軽くなる。
こうした条件に見事にマッチしたのが「ProLite X1670HC」だった。価格が手頃な分、入力はUSB Type-Cのみで、HDMI入力さえないというシンプルな製品だが、筆者の環境では全く問題ない。今後はUSB Type-Cでの映像出力はスタンダードになるだろうから、将来的にPCを買い換えてもたぶん問題にはならないだろう。ただし、注意点として、同じUSB Type-Cであっても、中には映像出力(DisplayPort Alternate Mode)に対応していないものもあるので、自分のPCが対応しているのかは事前に確認しておこう。
ケーブル1本でデュアルディスプレイ、2本でトリプルディスプレイ&給電も!!
ということで接続。事前に調べていたとは言え、もし映像出力のバージョン違いとかで映らなかったらどうしようかと思っていたが、付属のUSB Type-CケーブルでPCとつなぐと、問題なく映すことができた。
分かっていたことだが、ケーブル1本で済むというのは、余計な荷物も増えないしすこぶる便利だ。
電源供給も問題ないようで、ケーブル1本の接続で給電も映像出力もできている。試しにノートPCを電源から外してみたが、バッテリー駆動でもノートPCのバッテリーだけで稼働した。もちろんその分バッテリーの減りは早くなるだろうが、電源のないところでも使えるのは使い処が増えそうだ。以前レビューしたAnkerのPD充電可能なモバイルバッテリーと組み合わせれば、機動力はさらに高くなりそうだ。
ちなみに、この場合ノートPCからモバイルモニターへ給電が行われているが、最近の据え置きモニターだと、同じUSB Type-C接続でも、モニターからノートPCへ給電できるタイプも少なくない。2つあるUSB Type-Cポートを使ってそういったタイプと組み合わせるとどうなるのだろう。
ということで検証。2つあるUSB Type-Cポートの1つをiiyamaのモバイルモニターに、もう1つをPD給電対応の手持ちの4Kモニターにつないでみると、見事両方のモニターにも映像出力ができた。もちろん4Kモニターから給電もされているので、ケーブル2本のディジーチェーン状態で、3枚のマルチディスプレイ&給電が可能となる。
さらにノートPCのHDMI出力にもう1枚のモニターをつないで4画面にできるか試してみたが、こちらはあえなく撃沈。おそらくこれはPCのスペックにもよるのだと思うが、ThinkPad T480sの場合、本体のディスプレイを含めて3画面までが限界のようだ。Type-Cの4Kモニターを外してHDMI接続したらHDMI側からも出力した。
さすがに4画面は無理だったが、とは言っても、会社でモニター付きの席を使えたときには3画面で作業できるのだから頼もしい限りだ。
本音を言えば、もっと高性能なもの、多機能なものもあるよなーと思いつつ、初めてのモバイルモニターだし、そんなに高価なものじゃなくてよいか、というやや消極的選択ではあった。しかし実際に手にしてみると、まさに必要にして十分。サイズ感も大きすぎず小さすぎず、ちょうどいいし、今どきにしては広めに感じる額縁も、持って歩くのにはむしろ安心感がある。そして何よりケーブル1本での接続で、給電までOK。余計な電源を持って歩く必要もない。スタンドも安定している。強いて言えば縦置きにできたらもっとよかったとは思うが、ノートPCの画面の狭さに辟易している人で、かつPCがUSB Type-Cの映像出力に対応している人にはオススメできる製品だと思う。
からの記事と詳細 ( 第39回:USB Type-Cケーブル1本で繋がるモバイルモニターが便利!! どこでもマルチディスプレイで仕事効率アップ - INTERNET Watch )
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