森ビルの再開発事業の集大成で〝ヒルズの未来形〟と位置づける東京都港区の「虎ノ門・麻布台プロジェクト」が、来年の開業に向け着々と進んでいる。メインの高さ約330メートルの超高層タワー「A街区」は鉄骨が組み上がり、4月下旬には上棟式も行われた。ここに移転する医療施設も開設準備に余念がない。コンセプトに掲げる「健康」をテーマに、商業施設に入る多彩な店舗誘致も本格化する。
今年2月末、森ビルの社員40人に米系医療機器、アボットジャパン合同会社(東京都港区)の持続血糖測定器など最新機器が渡された。4月末までの2カ月間、日常的な血糖変動や日常生活における活動データ、精神状態などのヘルスデータを収集するためだ。
グリーン(緑)とウェルネス(健康)を柱に街づくりを進める虎ノ門・麻布台のA街区5、6階に「慶応義塾大学病院予防医療センター」の移転拡張を決めた同大との共同研究の第1弾だ。両者が目指す「予防医療・ウェルネスサービス」に役立てるとともに、収集したエビデンス(根拠)を開業後の人間ドックや健診プログラムに生かす。
参加者は健康意識が高いだけでなく、自分のヘルスデータがこの街に住み、働く人々の健康づくりに貢献できることに意義を感じたという。
参加した平野文尉(のりやす)・営業本部ウェルネス推進部長はスリムな体形ながら2キロやせた。「血糖値の変動をリアルで確認でき、管理栄養士によるアドバイスもあって食生活を改善することができた。習慣化して維持する」と意欲的だ。
加えて「出店するレストランなどと健康メニューを一緒に開発したい。健康に関心を持つ店舗を募っていく」とウェルネス推進の担い手としての顔をのぞかせる。
虎ノ門・麻布台では予防医療センターとの連携を生かしながら、この街に進出するレストランやフードマーケットなど食関連のほか、スパ、フィットネスクラブといった健康増進施設ともつながる仕組みの構築を目指す。
平野氏は「うまく連携すると街全体で健康づくりを進めることができる」と強調する。その上で「虎ノ門・麻布台での成果を(六本木ヒルズなど)各ヒルズにも展開したい」と話す。勝手に呼んでいるという「ヒルズ・ウェルネス構想」の実現にも力を入れていく考えだ。
虎ノ門・麻布台プロジェクトは、総事業費が約5800億円で、令和元年8月に着工した。約8万1000平方メートルの区域にオフィスや商業施設だけでなく、ホテル「アマンレジデンス 東京」、インターナショナルスクール「ブリティッシュ・スクール・イン東京」も入居するなど、多彩な都市機能を一体的に整備する。緑も多く、約6000平方メートルの中央広場を含む緑化面積は約2万4000平方メートルに上る。(松岡健夫)
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