江崎グリコは24日、取締役会を開き、江崎勝久氏(80)が社長を退任し、後任に長男で専務執行役員の悦朗氏(49)が昇格する同日付人事を決めた。40年ぶりの社長交代を受けて大阪市内の本社で開いた記者会見で、悦朗氏は健康分野や海外事業に注力する方針を示した。業績が頭打ちとなるなか、新たな収益源の確保を急ぐ。
勝久氏は代表権のある会長となり、新社長をサポートする。悦朗氏について「マーケティングや研究開発に優れた知見があり、後任にふさわしい」と述べ、期待感を示した。
新社長の前に課題は山積している。売上高は近年、3500億円前後で横ばいが続く。人口減少に伴う国内市場の縮小に、コロナ禍で訪日外国人の需要が消えたことが追い打ちをかけ、主力の菓子・冷菓事業が伸び悩む。
それでも、2024年までの3年間の中期経営計画では、売上高で年平均3~5%の成長と強気の目標を掲げる。悦朗氏が会見で「成長のドライバー(推進力)」と強調したのが、健康に貢献できる商品だ。
ビタミンEが豊富な飲料「アーモンド効果」や低糖質の食品「SUNAO」は健康意識の高まりもあって好調な売れ行きで、健康分野の21年の売上高は前年比で2割伸びた。
海外でも、人口の多い東南アジアを中心に健康分野を強化する。悦朗氏は「たまに口にする菓子から毎日食べてもらえる商品にシフトし、消費者との接点を増やしていく」と述べ、経営資源を集中させる考えを示した。
創業100周年の節目に、父から会社のかじ取りを託された。創業者で曽祖父の江崎利一が残した行動指針「グリコの七訓」を引用し、「お客様のために社員が協同一致して、努力と創意工夫で価値を創出する」と決意を語る。
サントリーなどを経て2004年に入社し、4年後には30歳代半ばで取締役として経営陣に入った。12年にマーケティング本部長となり、アーモンド効果やSUNAOなどの展開を主導して、健康分野の礎を築いてきた。
海外事業の経験も豊富で「グローバルな視点を備えた人材」(幹部)と評され、社内外で長く後継者とみられてきた。
就任記者会見では、「お客様の求めるものの変化に柔軟に対応し、持続的な成長を実現していく」と抱負を述べた。原料価格の高騰など逆風が強まる中、目に見える形で成長を実現できるか。今年から3年間で取り組む中期経営計画が試金石となる。(佐藤一輝)
95年慶大総合政策卒、04年江崎グリコ入社。16年から代表取締役専務執行役員。兵庫県出身。
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