新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」が猛威を振るい、感染拡大の「第6波」が止まらない。感染力が強い半面、重症化する割合が低いとされるオミクロン株。封じ込めには隔離が理想とされ、多くの自治体では無症状者や軽症者らに対し、宿泊・自宅療養の方針がとられている。京都府は、宿泊療養施設として京都市内に3カ所(計1126室)確保しているホテルのうち一つを報道向けに公開。療養者はどのような生活を送るのか、詳細が明らかになった。
非常時に備え訓練も
「(酸素飽和度の)数値が低いですが、具合はいかがですか」「しんどいです」
ビデオ通話機能を使って、タブレット端末の画面越しにやり取りが交わされた後、防護服姿の看護師が部屋を訪問した。看護師は、端末越しに医師の助言を仰ぎながら療養者の鼻に酸素供給の管を装着していく。
宿泊療養者の容体が急変した場合を想定した訓練の様子だ。
訓練や設備が公開されたのは、ホテルヴィスキオ京都(京都市南区)。令和2年5月から療養施設として稼働し、4~8階の270室を割り当てている。療養者の容体急変に備え、看護師や医師が1日約30人の態勢で、24時間のサポートを行う。
昨夏の「第5波」の際には、7~8割の部屋が埋まった。ある看護師長は「多くの応援が入って、チームの顔ぶれが毎日変わっていたほどだった」。こうした経験を踏まえ、ミスが起きないようシミュレーションを繰り返し、容体急変など緊急時の酸素供給などの手順を確認し続けている。
非接触、スマホは必須
宿泊療養施設においても、感染防止の最大の対策は「非接触」。療養者は原則10日ほど部屋を出ることができず、看護師らとの対面の接触は容体急変などの非常時に限られている。
看護チームはタブレット端末の通話アプリ「LINE(ライン)」のビデオ通話機能を使って、朝晩の2回、健康観察を行う。そのため、このホテルではラインが使える端末を持っていない療養者にスマートフォンの貸し出しも行っているが、ほかのホテルでは内線電話で代用することもあるという。
画面越しとはいえ看護師の顔が見えることで安心する人もいるだろう。電話のみでの健康観察に不安を覚える療養者は、スマホなどを持ち込むほうがいい。
ネット通販もできる
食事は1日3食弁当が出るが、単調な生活の中での食べる楽しみを考慮して、差し入れも受け付けている。
ただし生ものは厳禁。療養者が増えて担当者が事務作業に追われると差し入れも受け付けにくくなるため、カップ麺やスナック菓子など、好みの補食を持ち込んでおくほうが無難だ。当然ながら飲酒は禁止されている。
こうした中で、意外な手段がネットショッピング。療養する自室を宛先に、生活用品を注文する人もいるという。ネット通販でも、生ものは不可。「配送後にトラブルが発生しそうな物品は避けてもらいたい」と府の担当者は語る。
部屋にはノートパソコンなども持ち込めるため、無料のWi-Fiでネットサーフィンも可能だ。過去には療養期間中、仕事をしていた人もいたという。
生活で間違いなく不便になるのは洗濯だ。コインランドリーがないため、洗剤を持ち込んで洗面所や風呂場で手洗いするほかない。下着など必要な衣類は十分な量を持ち込むほうがよさそうだ。
常に一人で室内にこもりっきりになる療養者。ある看護師長は「家に帰りたいという話を聞いてあげると、気分転換になったという人がいるし、一切構ってほしくないという人もいる」と現場の難しさを語る。いかに療養者の心に寄り添うかは、今も課題だという。
宿泊療養に携わる看護師や医師たちの戦いは続いている。ここは医療現場と同様、コロナの最前線だ。(平岡康彦)
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