テレワークが普及し、自宅で仕事をする機会も増え、PCやテレビの需要は高まったものの、デジカメなど外で使用する機会が多い機器はコロナ禍で手痛い打撃を受けた。モバイルバッテリもその一つ。特に昨年の3月~8月にかけては前年比で半減以上の販売数にとどまった。9月にはGoToトラベルなどの影響もあり、一時的に販売が持ち直したものの、感染者数の増加に伴って販売が再び減少に転じていた。
今年に入ると、昨年大幅に売り上げを落とした3月~5月は反動増で、前年比は大幅に伸びたが、8月には再び前年を下回り、9月は昨年大きく売り上げを戻した反動減で大きなマイナスを記録した。しかし、この10月、11月と2桁増のペースに戻している。感染者数が大幅に減少し、感染防止に伴う規制が徐々に緩和されてきたことも影響しているようだ。
モバイルバッテリ全体の動向では、このところ大容量化が進んでいる。特に3年前は1割程度しかなかった1万mAh以上の大容量製品が、この11月では40.5%を占めるまでになり、主流になりつつある。製品別でも売れ筋上位10製品のうち、6製品が1万mAhクラスの製品で占めており、残りが5000mAhクラスの製品という構造だ。価格帯としては、1万mAhクラスの製品が税抜き(以下同)で3000円前後、5000mAhクラスの製品が2000円前後という状態だ。
メーカーシェアでは売り上げを伸ばしてきたマクセルがトップ。11月時点で24.6%の販売数シェアを記録した。2位はエレコム。6月までトップを走っていたが、4月以降急速に勢いづいてきたマクセルに押され、トップの座を明け渡した。この2社がトップを奪い合っている状況で、3位以下の各社は1桁シェアで争っている。
新型コロナウイルスの状況は流動的だ。感染者数が少ないまま推移すれば、売り上げは徐々に戻るだろう。しかし、新しい変異株まん延の恐れもあり、予断は許さない。再び行動制限を求められるような事態になれば、再び売り上げが伸び悩むことになりそうだ。(BCN・道越一郎)
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