ソニーが進める選択と集中の目的とは Photo:PIXTA
ソニーはモバイルやオンラインゲーム開発のGSN Gamesを米スコープリーに約10億ドルで売却すると発表した。今後の注目は、ソニーの選択と集中が成果につながるか否かだ。世界経済の変化は激烈を極めている。ソニーといえども変化への対応が遅れれば、事業運営体制が不安定化するリスクは否定できない。(法政大学大学院教授 真壁昭夫)
知的財産分野へ
経営資源を集中する狙い
ソニーグループ(以下、ソニー)傘下のソニー・ピクチャーズ エンターテイメントは、傘下のGSN Games(GSN)を米スコープリーに約10億ドル(約1100億円)で売却すると発表した。GSNはモバイルやオンラインゲームの開発を主な業務としてきた。今回の売却の背景には、ソニーが重視するコンテンツIP(知的財産)分野へ経営資源の集中する狙いがあるとみられる。
一方、同社は半導体などハードウエアの分野でも台湾積体電路製造(TSMC)との共同で新工場の建設を行うなど、自社の市場シェアや収益性、成長性などを評価の軸にして選択と集中を進め、今後、より効率的な事業運営体制の確立を目指している。
今後の注目点は、ソニーの事業戦略が成果につながるか否かだ。これまでの業績を見る限り、コンテンツ事業の強化などは同社の市場シェアの拡大と収益性の向上に寄与する可能性は高いだろう。
ただ、世界経済の変化の速度は恐ろしいほど増している。特に、デジタル化の加速や脱炭素への取り組みなど、世界の経済環境の変化は激烈を極めている。そうした大きな変化の中、ソニーといえども変化への対応が遅れれば、事業運営体制が不安定化するリスクは否定できない。
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