（ブルームバーグ）： 投資家は人の健康問題がもたらす甚大なリスクをほぼ無視している。新型コロナウイルスのパンデミック（世界的大流行）の時代にあって、明らかな落ち度だ。
責任のある投資を訴える英国の非政府組織（ＮＧＯ）「シェアアクション」の最新報告書によると、気候変動と同様、健康問題は投資家が「脱却して分散化できない」システミックリスクをもたらす。資産運用会社30社からの聞き取り調査を通じ、大半が人の健康を守る方法で投資していないことが分かった。
新型コロナのパンデミックで健康と景気の関係が明確になった。また、資産配分で環境・社会・企業統治（ＥＳＧ）を考慮すると公言する投資家に多くの盲点があることも判明した。金額だけで換算してもリスクは大きい。市民の健康問題で英国は毎年、国内総生産（ＧＤＰ）で約3000億ポンド（約45兆円）を失っている。
シェアアクションで健康分野担当のジェシカ・アタード氏は「パンデミックで人々の健康状態が経済繁栄に与え得る影響が鮮明になった」とした上で、「良好な健康は投資家がもはや無視できない経済的資産だ」と論じた。
報告書によると、大半の資産運用会社は「資産管理手法で健康問題を現行の優先課題に据えておらず」、たばこや酒類のメーカー、ギグワーカーに頼る企業、大気汚染をもたらす企業など健康被害につながる可能性のある分野を排除していない。除外措置を講じているかもしれない倫理的なファンドでさえ、「健康に好影響を与える企業に積極的に投資する傾向はない」という。
原題：In Covid Era, ESG Investors Found to Have Health ‘Blind Spot’（抜粋）
(c)2021 Bloomberg L.P.
Alastair Marsh
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